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第13話 魅惑の大地ベネズエラ
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私の任地バリーナス州オビスポ村は首都カラカスから西へ約500km、ジャノと呼ばれる大草原に位置し、穀物、熱帯果樹栽培と畜産の盛んな一大農業地帯です。
日本の皆さんには馴染みのないところと思われますが、ここオビスポで生産されるカカオは日本に輸出され、チョコレートに加工されています。 |

(ジャノ(サバンナ)の風景) |
ベネズエラは世界有数の産油国。石油のおかげで経済も発展し、首都カラカスは高層ビルが立ち並び、首都高速が街を貫く一大都市。日本と変わらぬ生活ができます。
しかし、その裏で収入効率の悪い農業は置き去りにされ、小規模農家は「同じ国なのにこんなに違うの?」というような厳しい生活を送っています。なかにはそんな生活を捨て都市に向かうが、満足な仕事も得られず、スラム街に住みつき、犯罪に手を染める人も多いのが現状です。
そんな小規模農家の収入向上、生活改善が私に課せられた課題でもあります。
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まず私は、村内の集落を巡回して、農村の主婦を対象に食品加工の講座を開きました。そんな中、目をつけたのはこの地域で栽培されているグアバ。日本ではバンシロウともいわれ沖縄などで栽培され、ジュースやジャムに加工、さらに葉は乾燥させて健康茶に利用されている熱帯果樹です。 |

(コミュニティーの主婦を対象にした食品加工講座風景) |
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(グアバ果実)

(グアバ収穫風景)

(グアバジャム、ボカディージョ) |
バリーナスでは現在、数十軒の農家が栽培をしていますが、果実は衝撃に弱く痛みやすいので、すぐに商品価値がなくなってしまいます。そのため、少し青いうちに収穫し、出荷します。また、市場価格の変動が大きく、安定した収入が得られないことも、悩みの種です。
このグアバの利点は、ビタミンCをはじめ多くの栄養成分を含んでおり、他の果物と異なり、灌漑設備があれば1年中収穫できることです。
つまり、商品価値の低い完熟果や小粒果を利用し、グアバの加工品を製造し販売することにより、完熟グアバの有効利用と生産農家の収入向上につながればと思っています。
そこで、私が現在行っている活動はモデル農家に協力してもらい、熟してしまい商品価値がなくなったグアバを利用して、ジャムやボカディージョと呼ばれる羊羹のようなお菓子を製造し、村の商店やパン屋に卸し販売してもらっています。これらのものを製造するには逆に熟していた方が加工に適しています。 |
最初、製造方法を紹介するときには微生物と腐敗の関係、食品衛生について等、商品として販売するために必要なことを盛り込んだりし工夫しました。
現在はまだ、おままごとの延長のような規模ですが、いままでグアバを直接出荷することしか選択肢がなかった農家に、新たな収入の可能性を引き出せたことが重要なのではないかと思っています。
現にこの活動をはじめたことにより、以前はよくグアバの出荷価格についての不満を口にしていた農家が、最近ではグアバ加工品の将来性についてよく話をしてくれます。
ただ、この地域では家族以外の人に対しての信頼関係が築きにくいという問題があり、効率的な加工品製造ということで、果実加工生産組合を作ろうと思い打診したのですが、話は進みませんでした。
この点がこれからのこの地域での課題でもあると思います。
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任期も残り3ヶ月に迫り、今までお世話になったオビスポ村に対し、何か出来ないかと思い、以前からやりたかった「日本文化紹介イベント」を計画しました。私たち日本人はベネズエラ人から見るとみんな中国人に見えるのです。(ベネズエラ国内にいるアジア人はほとんどが中国人なので)
ある日常の会話です。
ベネ人:「エーパレ!チーノ」(やぁ!中国人)
私:「ケパソー?グリンゴ」(どうしたの?米国人)
ベネ人:「ノーソイグリンゴ」(米国人じゃないよ)
ここからベネズエラとアメリカの違いを例に日本と中国の違いの説明を始めるのです。 |

(文化紹介にて同僚のキューバ人と) |
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(ハッピを着飾った子供たち) |
そんな彼らにオビスポ村に初めて住む日本人として、日本のことをもっと知ってもらいたいくて、このイベントを開きました。
イベントでは、ビデオ紹介、折り紙講座、書道、沖縄三線の演奏などを行いました。日本の四季を紹介するビデオでは、ベネズエラと日本の自然の違いに子供たちは驚いていました。また、はじめて手にする折鶴や書道の経験は良い思い出になったことと思います。 |
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イベント当日は遠いところを駆け付けてくれた隊員の援助の下、習字ブース、日本のおもちゃ・おりがみブース、浴衣・ハッピ体験ブースは子供たちで大賑わい。
日本を紹介したパネル展示を見入る大人の姿も。
さらに隊員による立礼式の茶道実演では抹茶が彼らの口には苦かったのか砂糖はないかと聞いてくる人もちらほら。
空手デモンストレーションではちびっ子が熱心に隊員のまねをして拳を突き出していました。
最後に大使館河本書記官とベネズエラ太鼓協会のエリアサル氏の和太鼓コンサート、彼らと隊員の共演日本民謡コンサートで大盛況に終わりました。
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(抹茶の味を体験)

(太鼓と沖縄三線の共演) |
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(ヘルプに駆け付けてくれたメンバーと) |
最後に片付け、掃除をして会場を元に戻すと、担当者の人から「最後に掃除をして返してくれたのは君たちが初めてだよ」と驚きと共に感謝されました。
ここでは公共の場をきれいに保つということが、まだまだ馴染みの薄いことなのです。
こんなささいなことですが、日本人に対していい印象を持ってもらえたのかなぁと思い、嬉しくなりました。 |
日本とベネズエラ。地理的にも文化的にも遠い二国間ですが、その距離が少しでも縮まったのではないかと思います。
河本書記官をはじめ在ベネズエラ日本大使館の皆様、JICA、ベネズエラ国内で活動中の協力隊員、オビスポ村役場、ベネズエラ農協銀行をはじめ多くの方々の協力により無事にイベントを開催できたことに感謝します。
赴任当初は約束を守らなく、言い訳ばかりするここの人々に対しイライラすることも多かったのですが、今では常に明るく情熱的で喜びを表現することがとても上手で家族をとても大切にする、そんなベネズエラ人がとても好きです。
いろんな問題を抱えつつも、生き生きとした活力に満ち溢れた国ベネズエラ。日本に帰国後も何かしらの形でベネズエラという国を日本の人々に紹介できたらなぁと思っています。
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18年度1次隊 農畜産物加工
バリナス州オビスポ村
渡辺嘉顕
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