1.チャベス大統領の動き
(1)4月30日からキューバに滞在していたチャベス大統領は,11日,同国での放射線治療を終えマイケティア国際空港に到着,空港で約20分間の演説を行い,「この数日間で,医師が計画していた放射線治療の全行程を成功裏に終えた。この手の治療につきもののいくつかの困難はあったものの,治療を中断しなければならないようなことには至らなかった。」と述べた。
(2)18日,チャベス大統領は当地国営テレビの番組に電話を通じて出演し,自身の体調について,「私は受け入れなければならない。国民に告白する。残念ながら,私はもう暴れ馬(caballo
desbocado)ではいられなくなった(これまでの様に精力的に活動することはできないとの意)。今は,ダイエットを継続して,毎日8時間働いている。馬である前に水牛(bufalo)の力強さを与えてくれるよう神にお願いする。今週(14日の週)は,放射線治療後の医師の指示に厳格に従い,(執務室に)閉じこもって働いていた。」と述べた。
(3)22日,チャベス大統領は大統領府で約2時間にわたる閣議を主宰し,6月1日−11日の登録期間中に全国選挙評議会(CNE)に自身の大統領候補者登録を行う,10月7日の大統領選挙に勝利した後の政府の最初の課題は経済の改善(8%の経済成長及びインフレ率を一桁に抑える)である,6月から治安対策に関する新たなミッション(Gran
Mision A Toda Vida)を開始すると述べた。
(4)29日,チャベス大統領は大統領府において約4時間にわたる閣議を主宰し,ハウア副大統領に対し,陪審員制度の撤廃や簡易裁判所の増設を含む刑事訴訟基本法の改正を急ぐよう要請するとともに,10月の大統領選挙に勝利する,野党(カプリレス野党統一候補)が掲げる政策案は不十分でとてもベネズエラ国民に見せられるものではないと述べた。
2.カプリレス野党統一候補の動き
(1)カプリレス野党統一候補は5月中,スクレ州,アンソアテギ州,バリーナス州,スリア州,アマソナス州,カラボボ州,アプレ州,ポルトゲサ州を遊説し,有権者各家庭の戸別訪問(casa
por casa)を行った。
(2)9日,コロンビアのボゴタ市で行われた在留ベネズエラ人を対象とする講演会において,自身が政権に就いた際には,石油生産量を日量600万バレルに増産させ,国内産業を多角化し,アンデス共同体(CAN)への再加盟を目指す旨述べた。
(3)16日,野党国会議員は,現政権が実施する各種社会支援ミッションから政治色を排除し,より多くのベネズエラ人に裨益者を拡大させるのを趣旨とする「全員平等のミッション法案」(proyecto
de la Ley de Misiones para Todos por Igual)を国会に提出した。
(4)27日,カラカスにおいて,100万の若年雇用の創出を目標とする「第一雇用計画」(Plan
Primer Empleo)を発表した。
(5)29日,カラカスにおいて,犯罪予防,警察の質・量の改善,司法制度及び刑務所制度の改革を趣旨とする「全ての人のための治安計画」(Plan
Seguridad para Todos)を発表した。
3.国家評議会の設立に向けた動き
(1)4月30日,チャベス大統領は,国家評議会(Consejo
de Estado)を設立して,同評議会でベネズエラの米州人権委員会からの脱退について検討するよう要請した。国家評議会は,憲法第251条において「国家及び政府の最高諮問機関」と位置づけられているが,1999年12月に現行憲法が発効されてから約13年間,設立されずに今日に至っている。
(2)9日,国家評議会のメンバーとして,ハウア副大統領(同評議会議長),ビセンテ・ランヘル元副大統領,ロイ・チャデルトンOAS大使,ヘルマン・ムンダライン国連大使,ラファエル・ジアコピーニ海軍中将,ルイス・ブリトー大学教授(作家),エアルレ・エレラ与党PSUV所属国会議員(国会代表),モラレス最高裁長官(最高裁代表),ホルヘ・ガルシア・バルガス州知事(全州知事代表)の計9名が選出された。
4.カラカスにおける刑務所騒動
(1)4日,バレラ刑務所大臣は,カラカス首都区リベルタドール市所在のラ・プランタ刑務所の囚人を他の刑務所に移送すると発表したが,これを拒む約1,600名の囚人が同刑務所内に立て籠もり,刑務所への突入を試みた警察当局との間で銃撃戦が発生,流れ弾により付近の住民1名が死亡,他数名が負傷した。
(2)18日,バレラ刑務所大臣は,ラ・プランタ刑務所に残っていた囚人全員を別の刑務所に移送した旨発表した。 |