1 習近平中国国家主席の当地訪問
(1)20−21日,習近平中国国家主席が当地を訪問,国立霊廟にて献花式,大統領府にて首脳会談,チャベス前大統領霊廟訪問,国会にてカベージョ国会議長と会談,軍事士官学校にて二国間協定文書への署名式等の行事に出席。
(2)マドゥーロ大統領は記者会見にて,「両国関係は,チャベス前大統領就任以降,全面的発展の段階に入った。両国の外交関係は,政治的・人間的な信頼・協力関係,及び相互尊重の視点を共有しつつ強化されている。中国との間で,自動車産業における関係強化,中国資金を通じたラ米で最大級となる家庭用電気供給プラントの建設,住宅建設に関する中国からの技術移転,火力発電所の建設,当国における中国メーカーによるバス車両生産工場の建設,及び三機目となる新たな人工衛星製造等について合意した。中国とは,1+3+6方式(1:2015−2019年中国・中南米カリブ諸国協力計画,3:経済発展に関する3つの要素(投資,財政協力,及び貿易),及び6:エネルギー・資源,インフラ,情報通信技術,科学技術,製造業,農業等の分野に寄与する経済的発展に不可欠な分野)に従い,新たな戦略的関係を模索する。中国は,独自の方法で,独自の社会主義への道を見いだしており,当国もチャベス前大統領が遺産として残した社会主義計画の強化を通じ,同様に社会主義の道を進む」旨発言した。
(3)二国間協定文書は,19−20日,当地にて開催された第13回中国・ベネズエラ・ハイレベル合同委員会で協議され合意に至った協力プロジェクトに関するもので,共同資金融資基金,中国製乗用車輸入,交通,文化,テクノロジー,産業,通信,エネルギー,鉱業等に関わる38件の協定への署名がなされた。
(4)両国協力関係の深化に鑑み,現状を適切に反映するため,両首脳は,中国・ベネズエラの二国関係を戦略的パートナーシップ関係から,包括的戦略パートナーシップ関係へと昇華させる内容の共同宣言を発出した。
2 BRICS・UNASUR首脳会合,BRICS・CELAC首脳会合及びCELAC中国首脳会合
(1)16日,BRICS・UNASUR首脳会合がブラジリアにて行われ,マドゥーロ大統領は,BRICS開発銀行の設立を祝福すると共に,同銀行と南米銀行との間で将来的に経済・財政に関する戦略的な同盟関係を結ぶことを提案する旨,また,アルゼンチンの残存債務問題について,同国は資本主義による不当な干渉を受けており,あらゆる国家が同様の被害に遭う可能性がある旨発言した。なお,この機会にマドゥーロ大統領はプーチン・ロシア大統領と会談,エネルギー分野での二国間関係の進展を強調しつつ,ロシアによる新たな原油分野での投資実現について話し合った他,16日,ズマ南アフリカ大統領と会談,二国間関係を深化させることで合意。17日,サントス・コロンビア大統領とブラジリアにて会談,密輸問題等について協議,次回会合は8月1日コロンビアにて予定。
(2)17日,BRICS・CELAC首脳会合,及びCELAC中国首脳会合がブラジリアにて行われ,マドゥーロ大統領は,本件会合が対話と行動により具体的な成果を挙げた旨述べ,マレーシア航空機撃墜事件を含むウクライナ情勢に言及しつつ,ラテンアメリカの独立の重要性を強調,多極化世界が誕生しつつある旨発言。更に,ALBA及びペトロカリベ域内の発展のための経済圏構築のための取り組みに増して,更に重要な位置付けとして,メルコスール,米州ボリバル同盟(ALBA),及びペトロカリベ加盟各国との間に同域内の発展のための大経済圏を創設する構想を語った。
3 第46回メルコスール首脳会合
28日行われたメルコスール共同市場理事会(CMC)を経て,29日、第46回メルコスール首脳会合(議長国:ベネズエラ)が外務省にて開催,マドゥーロ大統領ら加盟国,準加盟国,及び特別招待国の国家元首らが出席。ALBA・ペトロカリベ,カリコムと連繋した経済圏の創出に向けた決意,南米銀行開行に向けた進展への祝意,南米銀行とBRICS銀行との協業関係の重要性,イスラエルによるガザ地区侵攻への非難等を内容とする共同声明・宣言を発出。
4 ベネズエラ・米国関係
(1)3日,アルベライス駐米ベネズエラ臨時代理大使がワシントンに赴任。9日,リー・マクリニー駐カラカス米国臨時代理大使が着任。
(2)30日,米国務省は,ベネズエラにおける人権侵害に関与したとされる司法関係者,警察幹部,軍関係者,閣僚,大統領顧問等24名(氏名非公開)への査証発給制限措置を発表。
5 パナマとの国交正常化
1日,アレアサ副大統領は、バレーラ・パナマ新大統領就任式に出席,記者団に対し「本日、パナマとの外交関係を再開した」旨発言,ベネズエラ政府の宣言により3月5日から断絶していた両国の関係が正常化。
6 アルーバにおけるカルバハル元当国軍諜報部長官拘束問題
23日,アルーバ当局は,在アルーバ・ベネズエラ総領事として赴任し,米国がオランダ政府に対し身柄引き渡し要請を行っていた,カルバハル元当国軍諜報部長官を,麻薬密売容疑でアルーバ空港到着時に拘束。アルーバ司法当局は当初,オランダ政府が同氏を領事として承認していなかったことから米国への身柄引き渡しを行う方向で手続きを開始したが,27日,突如オランダ政府がカルバハル氏の処遇に関して,領事関係に関するウィーン条約を適用することが可能であるとの見解を示し同日釈放,同氏はベネズエラに帰国。米国務省は,28日,犯罪者引き渡し条約の規定に則った手続きにより麻薬密売の容疑のある同氏の拘束を要請したにも関わらず,カルバハル氏が釈放されたとし,オランダ政府による決定は外交特権の枠を外れた処罰逃れであるとして,強い遺憾の意を表明。
7 その他
(1)マドゥーロ大統領は,19日,ニカラグア訪問,第35回サンディニスタ革命記念式典に出席。29日,1月まで二国間関係を絶っていたカルテス・パラグアイ大統領と会談,あらゆる関係において両国国民や要人等の間での人間関係に根ざした経済・金融関係強化を進めることで合意。
(2)ハウア外相は,3日,OAS外相特別協議会に出席,アルゼンチンの債務支払い問題に関し,NY判事の命令は不当でありアルゼンチンを全面的に擁護する旨表明。同外相は,4日,エルサルバドルを訪問,サンチェス・エルサルバドル大統領との非公式会談,及びマルティネス同外相との二国間会談を通じ,開発協力の深化及び経済通商関係の推進について意見を交換。10月に「第1回エルサルバドル・ベネズエラ技術協力混合委員会会合」を開催することで一致。
(3)29日,セーチン・ロスネフチ総裁が当国を訪問,ラミーレス石油鉱業大臣兼PDVSA総裁等と会合,二国間協力関係強化の一環として,オリノコベルト地帯の開発,及び海底資源探鉱の促進等につき合意。
(4)28日,当地にてチャベス前大統領生誕60周年記念式典を実施,ボリビア,ニカラグア,エルサルバドル,ドミニカ国等から国家元首らが出席。
(5)15−18日,マルガリータ市にて,国際機関及びNGO団体等を主たる対象とし,プレCOP準備会合が行われ,ハウア外相ら政府関係者,国内外の国際機関,大学,研究所及びNGO団体関係者約300名が参加。気候変動に関するマルガリータ宣言を採択。
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