2.対ラ米諸国関係
(1)ドミニカ国首相の来訪
(イ)10日、ベネズエラを訪問したスケリット・ドミニカ国首相は、チャベス大統領と2時間にわたり会談した後、同国がALBAへ正式加盟する意向を表明した。ドミニカ国は昨年2月20日にALBA加盟に関する了解覚え書きに署名していた。
(ロ)チャベス大統領は、技術的な調査は既に終えているため、近い将来、ドミニカ国に東カリブの諸国への石油供給を可能とする精油所の建設が開始されると発表した。また、カリブ地域の統合促進に向けて、両国間の混合委員会が設置されることが合意された。
(2)チャベス大統領のコロン・グアテマラ大統領就任式出席
(イ)14日、チャベス大統領は、グアテマラを訪問し、コロン大統領就任式に出席した。チャベス大統領は、石油に対する大きな需要は継続すると述べ、コロン大統領に対し、ペトロカリブへの参加を促した。これに対しコロン大統領は、優遇価格で燃料を調達出来るペトロカリブに完全に賛同しているとし、ペトロカリブへの加盟につき検討すると発言した。
(ロ)チャベス大統領は、グアテマラの空港に到着するや、FARCにより誘拐されたコロンビア人及び米国人を解放するための協力を各国に求めたが、FARCやELNをゲリラ組織のリストから外すようにとの11日の呼びかけについては言及を避けた。このほか同大統領は、サルコジ仏政権の特派大使であるラマ・ヤド外務・人権問題担当閣外大臣より、今次人質解放仲介に対するサルコジ首相による謝意表明の書簡を受領した。
(3)チャベス大統領のホンジュラス訪問
(イ)15日、チャベス大統領は、初めてホンジュラスを公式訪問し、セラヤ大統領と会談した。両首脳は、ホンジュラスがベネズエラより2年間、年額7億5千万ドル分の石油、ディーゼル油、ガソリンを優遇価格で購入するための仮合意に署名した。チャベス大統領によると、ホンジュラスは代金の60%を90日以内に支払い、残りの40%については、ペトロカリブの返済方式(報道によると、2年間の支払い猶予期間の後、1%の利子で25年間かけて返済)に則ると発言した。
(ロ)チャベス大統領は、3千万ドルにおよぶベネズエラのホンジュラスに対する80年代の債権を放棄すると発言した。また、ホンジュラスのペトロカリブ加盟につき、セラヤ大統領は、自国のエネルギー問題解決に向けた最良の手段であると発言し、チャベス大統領は、ホンジュラス国会がペトロカリブ加盟を承認することを希望すると述べた。更にチャベス大統領は、セラヤ大統領に早期のベネズエラ訪問を招請するとともに、両国間関係強化に向けた二国間混合委員会の設置を提案した。
(4)チャベス大統領のニカラグア訪問
(イ)16日、ニカラグア訪問中のチャベス大統領は、オルテガ大統領とともにマナグア市内のホテルで、ニカラグア企業及び協同組合組織との会合に出席した。この会合において、チャベス大統領は、来る25日にALBA首脳・閣僚会議を開催予定であること、また同会議においてALBA銀行が創設される予定であると述べた。
(ロ)同大統領は、2008年も米国やベネズエラ国内オリガルキーが、牛乳、食肉の不足といった問題を継続させると発言した。また昨年はブラジルから40億ドル、コロンビアより50億ドル分の食糧輸入を行ったが、ニカラグアからの輸入を早急に開始したいと述べた。ブカルド・ニカラグア農牧相によると、同国は今年6千トンの黒豆、6千トンの食肉及び2万3千トンのモロコシをベネズエラに輸出予定である。
(5)第6回ALBAサミットの開催
(イ)26日、チャベス大統領は、ベネズエラで開催された第6回ALBAサミットの席上、米国が経済危機に直面していると述べ、加盟諸国に米国銀行における保有外貨を南米銀行やALBA銀行に移転するよう呼びかけた。ニカラグアのオルテガ大統領はチャベス大統領に同調し、資本主義モデルは持続不可能で、失敗に終わったと述べ、社会主義こそが唯一の選択肢であると主張した。
また、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、キューバにより、資本金10億ドル、事業資金20億ドルのALBA銀行設立合意が署名された。
(ロ)同日署名された共同政治宣言では、米国政府の好戦的な態度やラ米諸国政府への攻撃に対する非難がなされた。更に、エネルギー安全保障条約の締結を通じた多国間エネルギー企業の設立、食糧安全保障協定、キューバ・ベネズエラ間海底ケーブルの設置、ホンジュラスのペトロカリブ正式加盟、及びドミニカ国のALBA正式加盟等7つの合意に署名がなされた。
(ハ)サミットにはモラレス・ボリビア大統領、オルテガ・ニカラグア大統領、ラヘ・キューバ国家評議会副議長、スケリット・ドミニカ首相、スペンサー・アンティグア・バーブーダ首相、ゴンサルベス・セントビンセント・グラナディーン首相及びエクアドル、ホンジュラス、ハイチの代表団が出席した。
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