ホーム 緊急情報 ベネズエラ概観 二国間関係 大使館案内 文化班案内
リンク集 お知らせ ご意見・ご要望      

 

 政治月報

 (バックナンバー)

 経済月報

 (バックナンバー)

 文化情報

 ベネズエラ略史

 プロフィール

  ・国旗・紋章

  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成20年 2月)

 

     


   

政 治 概 況

1.内  政

(1)ルセナ全国選挙評議会(CNE)委員長は、暫定的としながらも、地方選挙の実施が11月23日となる旨発言した。

(2)チャベス大統領が結成を呼びかけているベネズエラ統一社会党(PSUV)所属の、アスアヘ国会議員が、バリーナス州政府(州知事はチャベス大統領の実父であるウゴ・デ・ロス・レジェス・チャベス)の公金不正使用等でチャベス大統領親族に対する調査を検察庁に要請した。

2.外  交

(1) 27日12時30分頃、FARC人質4名が解放され、ロドリゲス・チャシン内務司法大臣やコルドバ・コロンビア上院議員、国際赤十字を初めとする救出ミッションに引き渡されるとともに、ベネズエラに到着した。

(2)カストロ・キューバ国家評議会議長の引退を受け、19日、チャベス大統領は、同議長の健康状態が思わしくないと述べるとともに、キューバが今後もベネズエラの全面的な支持を得られることを明言した。

             

内 政

1.11月地方選挙

(1)18日、ルセナ全国選挙評議会(CNE)委員長は、暫定的としながらも、地方選挙の実施が11月23日となる旨発言した。最終的な決定には、CNE委員5名による投票で3票以上獲得する必要があるが、棄却される可能性はない。ルセナ委員長は、最終的に確定した日程が発表されるのは、3月1週目から2週目の間となると発言した。

  CNEによる暫定的な選挙日程によると、立候補の期間は8月5日〜12日で、選挙運動期間は投票及び政治参加組織法に基づき、投票日の60日前である9月23日より開始される。

(2)23日、PSUV結成推進委員長であるロドリゲス前副大統領は、同日に開催されたPSUVの第5回結成総会において、全会一致でチャベス大統領が党首に選出されたと発言した。今後チャベス大統領による承認を経て、全国執行部役員候補者リストが作成され、3月8日あるいは9日の投票で同役員が選出される予定である。なお、今回選出される役員は暫定的なものであり、11月の地方選挙終了後に最終的な役員が選出される。

(3)25日、ルシアン会計検査院長は、11月実施予定の地方選挙における立候補資格停止者リストをルセナ全国選挙管理委員会(CNE)委員長に提出した。ルシアン院長によれば、400名に上るこれらの人々に対しては会計検査院で行政処分の審査が行われているところであり、公職への立候補を行うことが出来ない。この400名の中にはレオポルド・ロペス現チャカオ市長(首都区長官への立候補を表明)やエンリケ・メンドーサ前ミランダ州知事等が含まれている。 

                  

 

       

2.チャベス大統領親族の汚職疑惑

(1)18日、ウィルメル・アスアヘ国会議員が、バリーナス州政府(州知事はチャベス大統領の実父であるウゴ・デ・ロス・レジェス・チャベス)の公金不正使用等でチャベス大統領親族に対する調査を検察庁に要請した。

    同議員は、チャベス大統領の弟にあたるアルへニス・チャベスとナルシソ・チャベスの両名が、州情報局の資金を使って、11月に実施予定の地方選挙への立候補に関する宣伝活動を行っていることを示す関連書類を、26日に国会に提出すると述べた。またチャベス大統領の親族に対する調査を求める文書では、チャベス・バリーナス知事が入札無しで50以上の事業の契約を結んだことについても追求されている。

(2)更にアスアヘ議員は、バリーナス州の17の大農園が他の名義人を介しつつも、実質はチャベス一家の所有となっていると述べ、大統領の親族が政府及び「ボリーバル」革命に害を与えていると批判するとともに、27日に国会会計検査委員会に調査を要請すると発言した。

(3)アスアヘ議員自身は、心からの「ボリーバル革命」支持者であると主張しているが、チャベス大統領の親族と対立したこと、また先走って地方選挙への立候補を表明したことにより、政治上の盟友であるウィルメル・ペレス議員、フレンチ・ディアス・ペドゥラサ市長、チャベス・バリナス市長とともにベネズエラ統一社会党(PSUV)から追放される可能性もある。

  

 

 

3.徴税監督庁長官の交替

(1)1日付けで、ビエルマ・モラ徴税監督庁(SENIAT)長官が辞任した。辞任の理由は明らかとなっていない。ビエルマ・モラ氏は2003年5月13日より徴税監督庁長官の職にあった。徴税及び同制度の刷新における同長官の有能さ故に、今次交替は驚きをもって受け止められた。

    ビエルマ・モラ長官は本年の地方選挙におけるアラグア州知事候補あるいは首都区庁長官候補とも噂されていた。

(2)1日、イセア財務大臣は、ビエルマ・モラ長官の後任として、カベージョ・インフラ大臣が暫定的に同職に就任すると発表した。また、ビエルマ・モラ長官の今後については、「ボリーバル革命」の中で新たな職務につくであろうと述べたものの、具体的なポストは明らかにしなかった。

 

 

   

外 交

     

1.FARC人質解放問題

(1)1日夜、コロンビアの民放Noticias Uno局が公開したコミュニケによると、FARCは元コロンビア国会議員のグロリア・ポランコ・デ・ロサダ、ルイス・エラディオ・ペレス及びオルランド・ベルトランの3名を解放すると発表した。同ニュースに基づき、解放予定の人質家族12名が、4日、ベネズエラに到着した。

(2)9日、チャベス大統領はバリーナス州庁舎において、先般FARCが解放を発表したコロンビア国会議員人質3名の家族と会談した。会談においてチャベス大統領は、人質の健康状態は良好であるとしつつ、ロドリゲス・チャシン内務司法大臣を本件調整役に指名したと述べた。

(3)アラウッホ・コロンビア外相は、17日、マドゥーロ外相がマリン駐ベネズエラ・コロンビア大使と会談し、コロンビアにおいて米国政府関係者がベネズエラを経由した麻薬取引が増加していると述べたことに困惑していると伝えた旨発言した。

    15日、ブラウンフィールド駐コロンビア米大使が、ベネズエラを通過する麻薬が年間20〜30トンだったものが200トン〜300トンに増加したと発言したのを受け、同日、ベネズエラ外務省は、同大使及びウォルターズ米麻薬取締局(ONDCP)長官の発言(チャベス大統領を「コカイン取引のファシリテーター」と称した)を拒絶する旨のコミュニケを発出した。

(4)20日、チャベス大統領は大統領府に於いてクシュネール・フランス外務大臣と2時間にわたって会談を行った。同外相は会談後、チャベス大統領が自身に対し、先般FARCが解放を約束したコロンビア元国会議員の人質3名に加え、更にもう1名が解放されることを認めた、と述べた。同外相は、人質解放については今後、チャベス大統領から発表されるだろうと述べ、右1名も元国会議員であることを示唆したが、詳細は明らかにされず、また解放が数日後か数週間後かは誰も知らないと述べた。

(5)25日、チャシン内務司法大臣は記者会見を開き、FARCが解放を約束した元国会議員の人質4名の居場所を入手しており、コロンビア政府がベネズエラ側関係者の入国を承認するならば、27日にも人質が解放される、と述べた。

(6)27日午前7時20分、人質4名の確保のため、ヘリコプター2機が当国タチラ州の飛行場からコロンビア南部に向けて飛び立った。ヘリコプターには、チャシン内務司法大臣、同日未明にベネズエラに到着したコルドバ・コロンビア上院議員の他、国際赤十字委員会メンバー及び医師が同乗した。

    同日12時30分頃、両国関係当局は人質4名(グロリア・ポランコ、オーランド・ベルトラン、ルイス・エラディオ・ペレス、ホルヘ・エドワルド・ヘーチェン)が解放され、また4名が移動できる健康状態にあることを確認した。

         

              

2.カストロ国家評議会議長の引退表明に対するベネズエラ政府の反応(19日)

(1)チャベス大統領発言

(イ)キューバ国民は、キューバ革命がある特定の個人に依存しているのではなく、キューバで起こり、キューバの本質的な部分に種蒔かれたことを、世界及び米帝国に示してきた。キューバ国民は永遠に我々ベネズエラ国民を頼りにすることができる。

(ロ)フィデルは「引退」したわけではなく、キューバ革命の闘いの中で彼(フィデル)が占めなければならない地位へと移っただけである。キューバ革命はある一人の指導者、その時々の状況に依存するようなものではない。フィデルの決断は権力にしがみつこうとする者に対する教訓である。今日、フィデルの引退を告げるエル・ムンド紙を読んだ。残り4日もすれば国家評議会議長に再選することが確実であるにもかかわらず、後続の者に道を譲るため、(引退を)早めたのである。仮に自分(チャ)がフィデルの立場にあったとしたら、同じことをしたであろう。

(ハ)残念ながらフィデルは健康状態は回復していない。今回のような決断によりフィデルの無私無欲が評価されている中、彼のような人間を権力欲に憑かれた者と批判しようとする者がいる。全くの的はずれである。人間はそれぞれ自らの役割を果たしているのである。フィデル自身が言うように、彼は辞任するわけでも、何かを放棄してしまうのでもない。

(2)マドゥーロ外務大臣発言

    フィデルはここ50年の世界の歴史において第一級の歴史的な役割を果たしてきた。ラ米及び人間性(humanidad)の過去50年に及ぶ歴史を学ぶ者は、常にキューバ革命前後の状況、つまりフィデル・カストロの前と後の状況を踏まえなければならないであろう。その意味で、フィデル・カストロは人間性に関する彼の使命を終えたと言えるであろう。

(3)イサーラ通信・情報大臣発言

    フィデル・カストロ司令官の国家評議会議長引退によりキューバ革命に新たなプロセスが開かれる。

   

       

3.対ラ米諸国関係

(1)対エルサルバドル関係

(イ)エルサルバドル政府は、チャベス大統領が同国野党FMLNの選挙運動に対する資金援助を行おうとしている意図について事情を聴取するため、ラファエル・エルナンデス駐ベネズエラ臨時代理大使を召還した。

(ロ)今次事情聴取の実施は、5日マコーネル米国家情報長官が米国上院情報委員会に提出した資料に基づくもので、この米国の資料は「2009年大統領選挙のために、チャベス大統領がFMLNの選挙活動に対し資金援助を行うと予見している」と述べている。

(ハ)サカ大統領は地元紙のインタビューに対し、今次召還は状況を把握するためであり、不用意な非難は行いたくないと述べている。他方でFMLN側は、「米国の見解を強く否定する」としている。

(2)対アルゼンチン関係

(イ)12日、チャベス大統領はアルゼンチン政府及び企業から成る代表団と会談した。アルゼンチン側からは、デビド公共事業相、チェピ農業技術学院長、エスピノサENARSA総裁等が出席、ベネズエラ側からはカリサレス副大統領、マドゥーロ外相、ラミレス・エネルギー・石油大臣、ハウナ農業・土地大臣、オソリオ食糧大臣、コントレーラス軽工業・貿易大臣、エル・トゥロウディ企画開発大臣が同席した。

(ロ)会談においては、両国間の総括協力協定について、小麦、牛肉、乳製品といった新たな農産物、及び各種トラックが協力品目として追加され、右文書がラミレス・エネルギー・石油大臣及びデビド・アルゼンチン公共事業相の間で締結された。これにより、アルゼンチンはベネズエラに対し、月1000トンの牛肉輸出を直ちに開始することになる。

         

       

4.対イラン関係

(1)イランの通信社IRNAによれば、同国を訪問中のベネズエラのサンス基礎産業・鉱業大臣及びモレホン国民経済大臣は、5日、アフマディネジャード大統領と会談し、経済、産業及び銀行分野を中心とする二国間協力を進展させるとの合意を再確認した。

(2)アフマディネジャード大統領は、会談に於いて、両国は相互に助け合い、一方の利益は他方にも属するものであると述べ、経済、産業、農業等の分野における経験・能力を、ベネズエラに対して提供することに何ら制限はないと述べた。

(3)これに対してサンス大臣は、人材育成等の分野におけるイランの能力や経験を役立てたい、鉄・アルミの冶金や工具、自動車部品製造分野において両国は協力しうると述べた。またモレホン大臣は、銀行分野における効果的な協力を打ち立てることの重要性を強調した。

 

 

     

ベネズエラ概観のトップへ