1.コロンビア国軍によるエクアドル領内のFARC拠点への攻撃
(イ)1日、コロンビア軍がエクアドルとの国境におけるFARC掃討作戦において同国側に越境して攻撃を行い、FARCのNo.2であるレジェス幹部を含むFARCメンバー計17名が死亡した件について、2日、チャベス大統領はコロンビア国境への部隊派遣、在コロンビアの大使館閉鎖を命じるとともに、もしコロンビアがベネズエラ領において軍事的侵略を行えば開戦も辞さないと発言した。
(ロ)3日、外務省は「ベネズエラ政府は、主権と国民の尊厳擁護のため、駐ベネズエラ・コロンビア大使及び同大使館員の即座の国外退去を命じることを決定した」とのコミュニケを発出し、マドゥーロ外相は同日、国会で右を明らかにした。
同外相は国会において、ベネズエラはエクアドルを支持し、同国が攻撃されれば曖昧で臆病な態度ではいられないと述べるとともに、コロンビアは戦争の計画を立てており、ウリベ大統領は主権や国境は存在しないという防衛戦争の教義を押しつけようとしている、として非難した。
(ハ)5日、チャベス大統領は、ベネズエラを訪問したコレア・エクアドル大統領と共同記者会見を開き、コロンビアからの対ベネズエラ投資には興味はないと述べ、国有化できる企業があるか検討するつもりであると述べた。更に圧力計工場(カルタヘナ)の売却及び両国間ガス・パイプラインの供給停止の可能性にも言及した。また、コレア大統領に対して全面的支持を表明するとともに、ウリベ大統領に対しては好きなように国際刑事裁判所に自身を訴えるよう述べた。
(ニ)7日、リオ・グループ首脳会合に出席したチャベス大統領は、ウリベ大統領及びコレア大統領に続いて発言し、各国首脳に対し、今なら未だ大混乱を防ぐのに間に合うと述べ、再考し冷静になるよう呼びかけた。また自身がFARCに対し武器及び資金援助しているとのコロンビア政府側の主張を否定した。
また、新たにFARC人質6名の生存証拠を持っていることを明らかにし、人質交換のための友好グループを結成することを呼びかけた。チャベス大統領は、サルコジ・フランス大統領が右に参加する用意があると述べるとともに、アルゼンチン、エクアドル、スイス、ブラジル、ボリビア、イタリアに加え、米州機構(OAS)及び国連も支援を行う意向を持っていると述べた。
(ホ)9日、ベネズエラ政府は、コロンビアに対しベネズエラ外交団を再派遣し、コロンビア政府に対しては外交団受け入れの用意がある旨通知したことを発表した。また同日、マドゥーロ外相は、通商関係の正常化及び今回国境に配備された国軍を撤退させる旨明らかにすると共に、チャベス大統領提案の和平グループ構想に対する期待を示した。
(へ)コロンビアのフェルナンド・マリン駐ベネズエラ大使は、11日にベネズエラに帰任した。他方で在コロンビアのベネズエラ大使館員11名は、10日にコロンビアに帰任した。なお、パベル・ロンドン駐コロンビア大使は昨年11月に本国に召還されたままであるが、マドゥーロ外相は同大使をコロンビアには戻さないと述べた。外務省筋によれば、右人事は昨年、FARCが解放を予定していた人質の幼児エマヌエルがFARCの手元になかった件について、ロンドン大使が適時に本国に報告しなかった責任による由。
(ト)13日夜、コロンビア政府は、チャベス大統領とウリベ・コロンビア大統領が電話で会談し、両国の立場の相違を克服するための話し合いを近く行うべく、日程を調整することで合意したと発表した。発表によると、チャベス大統領がウリベ大統領に電話をし、両首脳は、両政府間の関係改善及び両大統領間の信頼回復の意思を確認した。また両国が暴力的組織の被害者とならないような、信頼関係・協力関係の構築を改めて確認した。更に、両大統領は、全てのラ米諸国政府の関係強化を目的とし、近く会談を行うべく、日程を調整することで合意した。
(チ)17日、マドゥーロ外相は、ワシントンにて開催された第25回OAS外相協議会に出席した。同会合では、14時間にわたる議論の末にコロンビア及びエクアドル政府間の相違が克服され、米国の留保はありつつも、コロンビアによるエクアドル領侵犯を非難する決議が採択された。
マドゥーロ外相は、今回の決議は好戦的な立場を示すいくつかの国に対し、平和と正義の勝利を示すものであるとし、同決議は米国政府の「ボイコット、サボタージュ、陰謀に対する明確なメッセージ」を含んでいると述べた。また、今回OASにおける勝利は建設中の道を強固にするものであるとし、ラ米諸国に対し、団結して取り組み、勝利を勝ち取ることを呼びかけた。
(リ)25日、チャベス大統領は大統領府で行われた外国プレス特派員との会談に於いて、ウリベ大統領と近く首脳会談を行うことで合意しており、右にはオルテガ大統領も出席する用意がある他、コレア大統領が参加して4カ国首脳会談となる可能性もあるとした。また、数日中に駐コロンビア大使を任命予定であると述べた。
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