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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成20年 4月)

 

     


   

政 治 概 況

1.内  政

(1)11月に実施予定の地方選挙に向けてベネズエラ統一社会党(PSUV)内で同党地方委員の選出が進んでいるが、地域住民の意志により選出された地元有力者が党中央の意向によりリストから除外される等したため、批判が相次いだ。

(2)チャベス大統領は、悪化する治安問題に対処するため、大統領授権法を通じた国家警察組織法の公布を発表し、地域住民参加型の新たな警察組織の形成を主張した。

(3)昨年チャベス大統領が高騰する医療費につき、引き下げがみられないようであれば民間医療セクターを国有化すると発言したのを受け、国会は、薬品代、医師への謝礼等を含めた民間医療費の規制に関する法律制定に向けた動きを開始した。

2.外  交

(1)14日、当国を訪問したジョビン・ブラジル国防相は、チャベス大統領と会談し、南米防衛評議会創設につき協議した。ジョビン大臣は同大統領との会談後、右評議会創設に向けた第一歩は、加盟国に武器を供給する南米軍事工場建設に向けた人材養成であると発言するとともに、年内にも評議会が創設される予定であると述べた。

(2)20日付政府コミュニケによると、チャベス大統領はフェルナンド・ルゴ・パラグアイ大統領候補の勝利直後連絡を取り、選挙当日が民主的な一日であったことを認め、右はパラグアイ国民が政治的に成熟したことを示すものだと祝意を示した。

(3)11日、米国ウォルターズ麻薬取締局(ONDCP)長官はEU諸国に対し、ベネズエラがFARCと麻薬取引を行わないように圧力をかけるよう要請した。これに対し12日、チャベス大統領は、米国はベネズエラと麻薬・テロを結びつけようとしていると批判した。

             

内 政

1.ベネズエラ統一社会党内対立

(1)チャベス大統領親族の汚職を追及しているウィルメル・アスアヘ国会議員は、自身と親しいカレーニョ前内務・司法大臣やウィルメル・ペレス国会議員等が、PSUVバリナス州地方委員に選出されたにもかかわらず、アダン・チャベス教育大臣(チャベス大統領実兄)によって同委員リストから外されたと糾弾した。アスアヘ議員は、PSUVバリナス州担当副党首を務めるチャベス大臣が身内びいきを党内に持ち込んだと批判した。

(2)バリナス州知事への立候補を表明しているレジェス市長は、チャベス大臣の行為は、カレーニョ前大臣等を地方委員に選出した同州住民に対する敬意を欠くとし、事情説明を求めた。同様にマチャド前国家土地院(INTI)バリナス支部長は、自身が地方委員選出基準である30位以内に位置していたにもかかわらず、リストから除外されたとし、PSUV内でチャベス政権以前の「第四共和制」の悪習が再生産されていると批判した。

(3)22日、タスコン国会議員は、PSUV内では革命を支持する者に均等に機会が与えられていないと批判し、リベルタドール市長職への立候補を表明した。同議員は、PSUVが掲げる下からの民主主義にもかかわらず、上からの「ご指名」の文化が駆逐されていないと批判した。右立候補発表を受け、ミューレル・ロハスPSUV第一副党首は、党の規律に反したとして、タスコン議員の同党からの除名を正式に発表した。

                  

 

       

2.国家警察組織法の公布

(1)9日夜、チャベス大統領はテレビ・ラジオの全国放送(通称「カデナ」)を通じて、大統領授権法を通じた国家警察組織法(Ley Organica de Policia Nacional)の公布を発表した。同大統領は、警察組織に関する概念を刷新する必要があると述べるとともに、地域住民警察(Policia Comunal)が目標とする形態であると述べた。地域住民警察につきチャベス大統領は、従来の抑圧的な警察組織に代わる、予防的、人間的且つ地域住民参加型組織であると発言した。

(2)チャベス大統領は、迅速、情報収集、有能、協力、人権重視を新警察組織に期待すると述べるとともに、こうした目標達成に向けて有能な若者の参加を呼びかけた。

  

 

   

3.民間医療費の規制

(1)23日、ティルソ・シルバ国会議員は、国会本会議が承認すれば、薬品代、医師への謝礼等を含めた民間医療費の規制に関する法律が今年中には通過すると発言した。シルバ議員は、一ヶ月半後には国会財政委員会に法案を提出し、同委員会及び本会議が承認するようであれば、90日後には民間病院経営陣に同法が通達されるであろうと発言した。

  同議員は、民間病院で医療費の引き上げがこれ以上継続することは認めないと述べるとともに、昨年の場合と異なり、今年は民間病院側の意向を聞くことはないと発言した。また昨年、軽工業・貿易省は医療費規制の機会があったにもかかわらず、それを実施しなかったため、今回は国会のイニシアティブで規制に乗り出すと発言した。同議員は、国会財政委員会の主要議員は、自身の提案に賛同を示していると言及した。

(2)これに対し、イポリト・ガルシア・ベネズエラ民間病院連盟会長は、国会との対話に応じる準備があるとし、価格規制が対話に基づくものであることを希望すると発言した。また、インフレ状況は昨年とは異なるとし、再度対話を持つことの必要性を強調するとともに、病院側が患者より受け取る費用は、病院の利益として銀行に預金されるわけではなく、再投資に回されると主張した。

(3)本件は昨年チャベス大統領が高騰する医療費につき言及し、引き下げがみられないようであれば民間医療セクターを国有化すると発言したことに端を発する。その後、国会が調査特別委員会を設置するとともに、徴税監督庁(SENIAT)による民間病院の査察や一部閉鎖等が行われてきた。昨年末に右調査特別委員会は、適正価格をまとめた報告書を軽工業・貿易省に提出したが、そこから規制に至ることはなく、議論は停止状態にあった。

 

 

 

外 交

     

1.対ラ米諸国関係

(1)対ペルー関係

(イ)チャベス大統領主導のALBAに関連するとみなされる事務所が、ペルー国内でベネズエラ政府による内政干渉であるとの批判を受けている。しかしながら、ALBAの責任者でもあるサンス基礎産業・鉱業大臣は、5日、ベネズエラ政府がこれらの事務所に資金援助を行っている事実を否定した。サンス大臣は、ペルーにおけるALBA事務所の設置は同国地方政府による個別のイニシアティブに基づくもので、ベネズエラ政府はいかなる指示も出していないと発言した。また各地方首長が、ALBAの機能やメリットを地域住民に教示するために事務所を開設しているとし、内政干渉を否定した。

(ロ)ペルーのエル・エスプレソ紙によると、ALBA事務所は、プーノ地区以外にも、クスコ、アヤクーチョ、ランバイェケ、サン・マルティンその他の地域にも開設が続いている。これに対し、ペルー議会は同事務所調査に向けた超党派の委員会を設置している。

 サンス大臣は、これら事務所開設は地方自治体や地元の社会運動団体の自由意志によるものであり、禁ずることも出来ないと述べた。

(2)対ブラジル関係

(イ)14日、当国を訪問したジョビン・ブラジル国防相は、チャベス大統領と会談し、南米防衛評議会(Consejo Suramericano de Defensa)創設につき協議した。ジョビン大臣は同大統領との会談後、右評議会創設に向けた第一歩は、加盟国に武器を供給する南米軍事工場建設に向けた人材養成であると発言した。

(ロ)ジョビン大臣は、4ヶ月後には加盟国参加の総会を開催し、年内にも評議会が創設される予定であると述べた。また、昨年4月16日にベネズエラで開催された第一回南米エネルギー・サミットの際にチャベス大統領が提案した南米防衛評議会創設が、コロンビア国軍のエクアドル領侵攻を契機にルーラ大統領によって再提起されたと発言した。

(3)対エクアドル関係

(イ)18日、エクアドルを訪問したマドゥーロ外相は、サルバドル同国外務大臣と会談し、右会談に於いて食糧主権及び安全保障に関する協力合意に署名したことを明らかにした。この合意により、両国間の食糧取引の容易化及び同分野における各種協力プログラムの実施が予定される他、食糧の需要及び供給についての情報交換の実施が見込まれている。

(ロ)マドゥーロ外相はコレア大統領とも会談し、両者は両国が共同で生産及び商業化できる72品目を強調した。マドゥーロ外相によれば、ベネズエラは今後エクアドルから米、牛乳といった食品につき大量購入を行う予定である。

(ハ)また、今次合意フォローアップのための常設協議委員会が両国外務省間で設置され、両国間の食糧生産及び消費バランスの評価、食品供給のための商業化ルートの建設等を行うことが予定される。

(4)対パラグアイ関係

(イ)20日付政府コミュニケによると、チャベス大統領はフェルナンド・ルゴ・パラグアイ大統領候補の勝利を知るやいなや、新たに選出された大統領に祝意を表明するため連絡をとった。両者は友好的な会談を行ったが、この中でチャベス大統領は、20日が民主的な一日であったことを認め、右はパラグアイ国民が政治的に成熟したことを示すものだとした。

(ロ)またチャベス大統領はルゴ候補に対し、自身はフランシスコ・ソラノ・ロペス氏の子孫であるパラグアイ国民の英雄的歴史に尊敬の念を抱いていると述べた他、両者は、国民の闘いの歴史を基盤とし、南米共同体(UNASUR)の建設を継続していく必要性があるとの点で合致した。

(ハ)両首脳は、両国間の協力計画及び補完性について話し合うため、早期に会談したい意向を表明した。チャベス大統領はルゴ候補に対し、両国民が発展を分かち合えるように協力していくつもりであることを確認した。

         

              

2.対米関係

(1)11日、米国ウォルターズ麻薬取締局(ONDCP)長官はEU諸国に対し、ベネズエラがFARCと麻薬取引を行わないように圧力をかけるよう要請した。同長官は、米国政府はチャベス大統領と協力する用意があるが、同大統領がそれを拒否しているとし、ベネズエラと良好な関係にあるEU諸国の協力を求めた。また、米国への麻薬流入は減少しているものの、コロンビア産コカインがベネズエラを経て欧州諸国へ流入していると批判した。米政府のデータによると、ベネズエラから欧州へ流入する麻薬の量は2006年の43,328sから2007年の58,148sへと30%増加している。

(2)これに対し12日、チャベス大統領は、ベネズエラ国内における麻薬撲滅キャンペーンの成功にもかかわらず、米国はベネズエラと麻薬・テロを結びつけようとしていると批判し、帝国がベネズエラを孤立させようとしていると批判した。また、インスルサOAS事務総長が、米国上院議員に対して、ベネズエラとテロを結びつける明確な証拠は存在しないと述べた(10日)ことについて、これは尊厳ある態度であると評した。

   

       

3.その他諸国との関係

(1)トゥルク・スロベニア大統領のベネズエラ訪問

(イ)4日、チャベス大統領はトゥルク・スロベニア大統領と大統領府で会談し、宣言文書に署名した。同宣言では、貧困削減、気候変動等に関する大陸間アジェンダを議論し、相互協力推進の場となるような首脳会合を開催することが強調された。両首脳は、国々の発展及び国際安全保障に繋がる友好関係を築くための、有効な多国間システム構築に向けて努力し、また相互に大使館を設置する可能性について検討していくことで合意した。

(ロ)会談後の合同記者会見で、チャベス大統領は、ラ米諸国の声が一つにまとまる必要性があることを強調した。また、5月13日〜17日にかけてペルーで開催予定のEU・ラ米首脳会談について、南米銀行やテレビ局「Telesur」等のイニシアティブが生まれている中でラ米にとってEUとの同盟を結ぶための有益な機会であるとし、他のモデルを真似しないまでも、南米にも共通の機構、声、通貨が必要であると述べ、右文脈においてルーラ大統領は南米防衛評議会を提案しているものであると評価した。

(ハ)これに対してトゥルク大統領は、EU・ラ米首脳会談は、EUがラ米に対して実施している様々な協力を強調するとともに、貧困削減、平等・社会統合推進といった諸点に関する政策を立ち上げる良い機会であると述べた。

(2)第5回ベネズエラ・イラン・ハイレベル混合委員会の開催

(イ)22日、第5回ベネズエラ・イラン・ハイレベル混合委員会に出席したチャベス大統領は、イランとのアルミニウム製造プラント建設を計画していると発言し、イランは同分野における実績があり、ベネズエラは成長の過程にある同国が必要とするアルミや鋼鉄の莫大な埋蔵量を有していると発言した。またイランと種々の合意につき協議中であり、中でも、食糧、トラクター、自動車、自転車等に関する200の工場設置が注目されると述べた。

(ロ)23日、ハイレベル混合委員会閉会式に出席したマドゥーロ外相は、両国の関係につき、「将来の多極的世界実現のための基礎を築く同盟」であると称した。工業、農業、エネルギー、住宅建設、インフラ、スポーツが最重要の6分野で、地方における産業の発展を目的としている。

 コントレラス軽工業・貿易大臣は、両国政府合同で食糧製造工場の設置を目指すと発言した。またパレデス基礎産業・鉱業次官は、ベネズエラの工業部門強化に向けて、短期間でベネズエラ50%、イラン50%の分担比率で30億ドルの投資を行うと発言した。同次官は、ベネズエラの有する一次産品を利用した工業コンプレックスを15〜20年程度を目安に創設するとの考えを示した。

(3)クシュネール仏外相の当国訪問

(イ)30日、チャベス大統領は、FARC人質解放のための合意について協議するため、大統領府に於いてクシュネール仏外相と会談した。会談には、Hadelin de La Tour du Pin駐ベネズエラ仏大使及びパルフェ仏外務・欧州問題省米州・カリブ局長が同席した。

(ロ)記者会見に於いてクシュネール外相は、会談で今般のコロンビア、エクアドル及びベネズエラ訪問の成果について述べ、フランス政府として右三カ国の関係正常化のため、協力する用意があると述べた。また、会談においては、チャベス大統領とベタンクール・コロンビア元大統領候補を含む全人質の解放の可能性について協議し、会談は前向きであったと述べ、フランス政府として人質解放のために全手段を尽くすつもりであると述べた。

    

     

 

人 事 関 係

     

(1)15日、オルテガ国会外交委員長は、国会本会議が、駐国連代、OAS、寿府代各大使の交替を承認した旨発言した。それによると、ホルヘ・バレロ外務次官(北米・国際機関担当)(駐OAS大使兼任)が国連代表部大使に、ロイ・チャデルトン駐メキシコ大使が駐OAS大使に、またヘルマン・ムンダライン前護民官が寿府代大使にそれぞれ就任する。

(2)16日、ロベルト・エルナンデス国会第一副議長(PSUV所属)は、15日夜にチャベス大統領から労働大臣就任を打診され、右を引き受けたことを明らかにした。右任命は16日付官報に発表された。

 同氏は労働大臣として、労働関係法の改正を優先事項にすると述べるとともに、今回の自身の任命は、労使問題の解決にあたっている労働省における、チャベス大統領の挑戦であろうと述べた。

(3)24日、国会は全会一致で、ロベルト・エルナンデス議員(現労働大臣)の後任として、サウル・オルテガ議員(国会外交委員会委員長)を国会第一副議長に任命することを承認し、同時に同議員を司法職推薦委員会委員長に任命することを承認した。外交委員長には、ロイ・ダサ議員が就任する。

 また同日、チャベス大統領はマリア・レオン国立女性院長に対し、女性問題担当大臣就任の宣誓を行った。同時に大統領は、「地域の母(Madres del Barrio)」ミッション及び女性銀行の管轄を女性問題担当省に移行することを発表した。

(4)29日、チャベス大統領は閣議の席上で、実兄であるアダン・チャベス教育大臣に代わってナバロ科学・技術大臣を教育大臣に任命する旨発表した。ナバロ大臣は1999から2000年にかけて教育大臣職にあった。

 チャベス大統領は、アダン・チャベス氏が今後はベネズエラ統一社会党(PSUV)のバリナス及びアプーレ州担当副党首として、党務に専念することを期待すると発言した。

 

 

 

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