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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成20年 7月)

 

     


   

政 治 概 況

1.内  政

(1)15日、反政府諸政党は記者会見を開催し、11月に実施が予定されている地方選挙の各州知事「統一候補」を発表した。1月23日に反政府勢力間の共闘が合意されたが、この5ヶ月の間に得られた合意はわずか7州のみとなった。

(2)17日、ベルナル・リベルタドール市長(PSUV所属)は、11月に実施予定の地方選挙後に同党が、チャベス大統領の連続再選実現に向けた国民の発議に基づく憲法修正を目指すと発言した。

(3)20日、チャベス大統領は、皆のための祖国党(PPT)やベネズエラ共産党(PCV)他が参加する与党間選挙協力の強化を発表し、これら政党との会談の場の設置をミューレル・ロハスPSUV第一副党首に命じた。

2.外  交

(1)3日、チャベス大統領は、ベタンクール元大統領候補、米兵3名他、15名のFARC人質解放に関して知らせを聞いたときは仰天したと述べつつ、祝意を表明し、FARCに非武装化を呼びかけた。

(2)5日、独立記念パレード終了後、チャベス大統領は外交団席へ近付き、ダディ駐ベネズエラ米大使と和平実現や両国関係の対話再開につき話し掛け、同大使に2006年8月より中断されている米国との麻薬対策協力を再開させたい旨伝えた。

(3)チャベス大統領は22日から26日にかけてロシア、ベラルーシ、ポルトガル及びスペインを訪問し、各国首脳と二国間協力等につき協議した。スペインでは昨年11月のイベロアメリカ・サミットで「黙ったらどうだ」との批判を受けたフアン・カルロス国王と会談した。

             

内 政

1.2008年地方選挙

(1)15日、反政府諸政党は記者会見を開催し、11月に実施が予定されている地方選挙の各州知事「統一候補」を発表した。発表されたのは、アプーレ州、カラボボ州、ヌエバ・エスパルタ州、スクレ州、トゥルヒージョ州、バルガス州、スリア州の7州知事候補。1月23日に反政府勢力間の共闘が合意されたが、この5ヶ月の間に得られた合意はわずか7州のみとなった。

 会見には民主行動党(AD)、勇敢な民の同盟党(ABP)、急進大義党(Causa-R)といった政党が欠席した。また、旧二大政党であるADとキリスト教社会党(COPEI)のライバル関係も統一候補選出の遅滞の原因となっている。バルボサUNT党首は22日に更なる統一候補の発表を行うと発言した。

(2)チャベス大統領は、20日、自身のテレビ・ラジオ番組「アロー・プレシデンテ」で、皆のための祖国党(PPT)やベネズエラ共産党(PCV)他が参加する与党間選挙協力の強化を発表した。同大統領は、可能な限りの同盟を追求すると述べ、11月に実施予定の地方選挙で対象となる地方議会議員候補擁立につき、これら連立与党の参加を保障すると発言した。チャベス大統領は、これら政党との会談の場を設けるとし、ミューレル・ロハス・ベネズエラ統一社会党(PSUV)第一副党首に準備を命じた。

(3)29日、与党間選挙協力「愛国同盟」の会合が、統一社会党(PSUV)を含めて開催され、11月に実施予定の地方選挙に向けた統一候補について協議された。会合後の会見で、カベージョ・ミランダ州知事(PSUV)は、会合が実のあるものだったとし、9州(アンソアテギ、ファルコン、ララ、メリダ、ミランダ、モナガス、ヌエバ・エスパルタ、バルガス、スリア)知事及び首都区候補について、皆のための祖国党(PPT)、ベネズエラ共産党(PCV)等、同盟参加8政党のコンセンサスが得られたとする宣言を発表した。

 同盟は候補擁立に関して困難なケースに対処するための実務者レベル委員会創設を決定し、右は、カベージョ・ミランダ州知事(PSUV)、リナ・ロン・ベネズエラ愛国同盟党(UPV)党首、アルボルノスPPT書記長、フィゲラPCV書記長等により構成される見込みである。なお、アルボルノスPPT書記長は、問題は解決されたと述べたが、グアリコ、ポルトゥゲサ、カラボボ等、統一候補について合意がない地域には言及しなかった。

                  

 

       

2.チャベス大統領の連続再選問題

(1)17日、ベルナル・リベルタドール市長(PSUV所属)は、11月に実施予定の地方選挙後に同党が、チャベス大統領の連続再選実現に向けた国民の発議(iniciativa popular)に基づく憲法修正(enmienda)を目指すと発言した。同市長はベネズエラの政治プロセスにとってチャベス大統領は必要不可欠な存在であると述べた。

(2)ベルナル市長は、PSUVが組織的に統合され、明確な指導者を有した最強の政党であると述べたものの、党内の結束が崩れると、反政府側につけこまれることになるとし、初心に帰る必要があると発言した。

  

 

   

外 交

     

1.チャベス大統領の外遊

(1)ボリビア訪問

(イ)18日、ベネズエラ政府及びブラジル政府は、ルレナバケ地区からボリビアのアマゾン地域を横断し、首都ラ・パスにつながる高速道路建設のために6億ドル(両国がそれぞれ3億ドル)を拠出する旨発表した。右融資の署名式典は、同国リベラルタ地区で3国首脳臨席の下執り行われた。アルセ・ボリビア財務大臣は、今次融資が低金利の優遇条件のものであると発言した。

(ロ)この他ブラジル政府はボリビアとブラジルを結ぶ2つの橋梁建設にも協力予定である。またベネズエラ政府は、米州ボリーバル代替構想(ALBA)の枠組みに基づき、ボリビアとの合弁企業設立に関する合意文書に署名した。チャベス大統領によると、右合意によりボリビアに牛乳精製工場3箇所、トウモロコシ精製工場2箇所を建設することが予定されており、投資総額は4,100万ドルに及ぶ。チャベス、ルーラ両首脳とも南米統合の必要性を主張した。

(2)ニカラグア訪問

(イ)19日、チャベス大統領はニカラグアの首都マナグア市で開催されたサンディニスタ革命29周年式典にオルテガ同国大統領とともに出席し、記念演説を行った。チャベス大統領は、何者もラ米人民の解放に向けた動きを制止することは出来ないと述べ、次期米国大統領がラ米大陸では革命が進行中であることを認識することを希望する旨発言した。なお同式典には、ルゴ・パラグアイ次期大統領、セラヤ・ホンジュラス大統領等が出席した。

(ロ)チャベス大統領は、セラヤ・ホンジュラス大統領から同国が「米州ボリーバル代替構想(ALBA)」へ加盟することを決定した旨の報告を受けたと発言した。チャベス大統領は、世界の多極化に向けて、これまで存在しなかった新たな地政学が台頭しつつあると発言した。

(3)ロシア訪問

(イ)22日、チャベス大統領はロシアを訪問し、メドヴェージェフ大統領と会談した。会談後の記者会見でチャベス大統領は、ベネズエラがロシアから300億ドルの武器購入を行うとのInterfax通信社の報道を否定しつつ、米国の脅威を受けてベネズエラ国軍の軍備強化が進んでいるとして、今後もロシアからの武器供給は継続すると述べ、今回の訪露で、両国間の軍事協力進捗状況について確認を行ったことを明らかにした。同大統領によれば、戦闘機Sukhoi-30のロシアからの引渡しが完了しようとしており、今後は対空防衛システムについて検討される見込みである。

(ロ)また、チャベス大統領は米国の第4艦隊に対する批判を繰り返すとともに、ロシア軍については同じビジョンを共有する同盟国であり、ロシアがベネズエラに軍事基地を建設したいのであれば歓迎すると述べた。

(ハ)さらに同大統領は、ベネズエラとロシアの二国間銀行創設を発表するとともに、今次訪問に於いて、投資保護協定、ベネズエラ石油公社(PDVSA)及びGazprom社のアヤクーチョ第3鉱区における共同調査にかかる協定、PDVSA及びTNK-BP社間の合意、PDVSA及びLukoil社間のフニン第3鉱区における超重質油生産にかかる協定が結ばれたことを明らかにし、右詳細については本年10月に実施予定の二国間ハイレベル委員会で協議されると述べた。

(4)ベラルーシ訪問

(イ)23日、ベラルーシを訪問したチャベス大統領は、ミンスク市内のシモン・ボリーバル広場において、ルカシェンコ大統領より「国民間の友情」賞授与を受け、ベネズエラ及びベラルーシは米国という共通の敵に対して闘っているとし、帝国主義を打ち破るためにベラルーシと協力すると述べた。

(ロ)これに対しルカシェンコ大統領は控えめのトーンであったが、多極的世界の創設のための両国同盟を賞賛し、チャベス大統領による対ベラルーシ協力を評価した。

(ハ)大統領府の発表によれば、両大統領は、ベネズエラ国内で新たに3カ所(アンソアテギ州及びスリア州)において石油生産を両国共同で行うための覚書に署名した。右共同事業に対し、ベラルーシ側のBelarusneft社はベネズエラ政府に対し、3千9百万ドルの支払を行う予定である。チャベス大統領は、両国合弁会社Bielovenezolana社による石油生産が、右合意により、2万バレル/日から3万バレル/日に増加することが期待されると述べた。

(5)ポルトガル訪問

(イ)23日、欧州外遊中のチャベス大統領はポルトガルを訪問し、ソクラテス同国首相と会談した。右会談では、両国間の通信郵便分野における協力及びベネズエラにおける住宅建設に関する覚書、ラ・グアイラ港拡張・近代化(予算6億5840万ドル)、ドス・ボカス・ダム及び水利施設建設(同7千万ドル)及び対ベネズエラ医薬品供給(計2千万ドル)に関する契約の計5つについて署名がなされた。

(ロ)翌24日には、チャベス大統領は大統領府においてカヴァコ大統領と会談し、二国間の共通関心テーマについて協議した。会談後、チャベス大統領はリスボン市内においてシモン・ボリーバル生誕を記念し、献花を行った。

(ハ)チャベス大統領は記者会見において、欧州で採択された移民法は「蹂躙」であり、これに対してラ米諸国は黙ってはいないとして、ポルトガルとスペインに対し、右規則の改正に向けた協力を呼びかけた。また、対米関係については、米国の新大統領がオバマ候補又はマケイン候補のいずれであれ、世界及びラ米情勢に理解のあることを期待すると述べた。更に、石油価格の高騰については市場における投機を批判し、石油価格は100ドル/バレル前後であるべきだと述べた。

(6)スペイン訪問

(イ)25日、チャベス大統領はスペインを訪問し、チリで開催されたイベロアメリカサミット以来初めて、フアン・カルロス国王とマジョルカ島の国王滞在先において会談した。国王はチャベス大統領を入り口で出迎え、両者は肩を抱き合い、チャベス大統領から国王に対し、「ビーチに行かないか(Por que no vamos a la playa?」と冗談を述べる一面も見られた。大統領は右会談を「とても快いもの」であったと評価し、二国間関係が正常化したとし、国王を来年に向けてベネズエラに招待したことも明らかにした。

(ロ)同会談後、チャベス大統領はマドリッドにおいてサパテロ首相と会談した。会談後の記者会見で大統領は、欧州の移民法につき、欧州諸国でもラ米と近しいスペイン及びポルトガルとの間で作業会合を開くことを提案し、サパテロ首相の支持を受けたと述べた。また政府関係者によれば、右会談では、ベネズエラがスペインからの技術移転と引き替えに、同国に対し石油を100ドル/バレルで1万バレル/日を輸出することを検討するワーキング・グループの創設が合意された。右グループはセバスティアン・スペイン産業大臣及びラミレス石油エネルギー大臣が長をつとめる予定であるが、実施日付は定められていない。

(ハ)訪問終了後、チャベス大統領は国営テレビ局VTVのインタビューに答え、RepsolYPF社との間でオリノコ地帯における同社の活動拡大について合意したと述べるとともに、スペインは、ベネズエラからの石油供給により今後100年間の石油を保証されていると述べた。

(ニ)なお同大統領は27日、自身のテレビ番組「アロー・プレシデンテ」でも今次スペイン訪問に触れ、国王とは友人であり、今次会談をよいものであったと評価した。また、メディアがイベロサミット会合での出来事を大げさにしたと述べつつ、国王から贈られた「黙らないか(Por que no te callas?)」と書かれたTシャツを公表した。

         

              

2.対ラ米諸国関係

(1)チャベス大統領のメルコスール首脳会合出席

(イ)1日、サン・ミゲル・デ・トゥクマン市(アルゼンチン)で開催された第35回メルコスール首脳会合において、出席したアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、チリ、ボリビア及びベネズエラ各国首脳は、世界的な食糧及びエネルギー危機に対するラ米諸国の潜在能力を強調するとともに、世界的需要にブロックとして対峙するための地域統合の必要性について一致した。また、各国首脳はEU議会が承認した移民対策法を非難した。

(ロ)出席したチャベス大統領は、域内の農業生産推進のための基金創設を提案し、石油価格が100ドル/バレルを超えた場合、ベネズエラが輸出する石油1バレルにつき1ドルを同基金に寄付すると述べ、右が年間9億2千万ドルになるとの見込みを示した。

(ハ)また同大統領は会合の場で、米国がカリブ及びラ米海域に第四艦隊を派遣する計画の必要性に疑問を呈し、右はラ米諸国に対する脅威であるとした。EUの移民政策に対しては、欧州各国政府に再考を求めたいとした上で、右に対抗して欧州の投資を追放する法律をベネズエラ国内で定める可能性についても言及した。

(ニ)会談後、チャベス大統領はオリノコ製鉄会社(SIDOR社)国有化問題に言及し、同社の株式価格に関してTECHINTグループとの間でほぼ合意に達し、亜側のTERNIUM社が株式の10%保有で合意したと述べた。他方、同社関係者は同日、会合は開催されておらず、合意にも達していないと述べた。アルゼンチンのラ・ナシオン紙によれば、TERNIUM社は合意に達しない場合、国際投資紛争解決センターに提訴する可能性もあると報じている。SIDOR社のベネズエラ政府への権限譲渡は1日に予定されていたが、実際には1日に始まる週の内に行われる見込みである。

(2)ペトロカリブ首脳会合の開催

(イ)12日及び13日、マラカイボ市にて第5回ペトロカリブ首脳会合が開催され、加盟17ヶ国及びグアテマラ、コスタリカの代表団が出席した。中でもグアテマラのペトロカリブ加盟が今次会合の中心的話題となった。13日の首脳会合に先駆け、12日開催の閣僚会合でラミレス・エネルギー石油大臣は、同国の加盟の重要性を強調するとともに、コスタリカが今後オブザーバーとして参加することについても言及した。

 ラミレス・エネルギー石油大臣は、ペトロカリブの枠組みに基づき、日量20万バレルの原油及び関連商品が加盟各国に供給されており、それに必要な貯蔵施設や輸送インフラ等も整備されてきていると発言した。また2005年のペトロカリブ創設から今日に至るまでに1億ドルの社会投資を行ってきたと述べた。

(ロ)13日の首脳会合の席上では、加盟諸国首脳より昨今の原油高に関する憂慮が表明された。通常、支払額の50%を90日以内に支払い、残り50%を(2年間の支払い猶予期間の後、1%の利率で)25年間で完済することとなっているが、チャベス大統領は、要請を受け、原油価格が1バレル当たり100ドル以上を維持する場合、それぞれの比率を前者40%、後者60%とする旨発表した。更に油価が150ドルに達した場合、その比率は各々30%、70%となる。

 この他、ゴンサルベス・セント・ビンセント首相の要請を受け、チャベス大統領は加盟諸国に農業用肥料10万トンを市場価格より40%割引で供給すると発表した。またオリノコ地帯の数ブロックを加盟国に割り当て、そこから生産される原油を加盟国で精製する可能性を示唆した。

(ハ)チャベス大統領は、加盟諸国の負債は財、サービスあるいは農産物等により支払い可能であると強調し、加盟国内での市場網を整備する必要性を主張した。また、4億6千万ドルの拠出でベネズエラが食糧基金を設置すると述べ、油価が1バレル100ドル以上の場合、1バレルにつき1ドルを食糧関連への投資に回すと発言した。

(3)対ボリビア関係

(イ)1日、在ボリビア・ベネズエラ大使館はコミュニケを発出し、6月21日にモラレス政権に批判的なテレビ局UNITELが爆破された事件への関与を否定し、ベネズエラに対する批判が悪意と不公正に満ちたものであるとした。モンテス大使名で発出された右コミュニケによれば、こうしたベネズエラ批判は、米国政府によって企てられた組織的な国際キャンペーンの一環であり、ベネズエラの革命やラ米国民が選択した統合と主権確立に反対するものであるとしている。

 野党Podemos所属のキロガ元ボリビア大統領は、在ボリビア・ベネズエラ大使館が借り上げた車両からUNITELに向けてダイナマイトが投げ入れられており、ベネズエラ大使館が計画し爆薬も用意したと発言した。爆破事件は、タリハ県で実施された自治憲章に係る県民投票前日に発生した。

(ロ)第197回独立記念日にあたる5日、モラレス・ボリビア大統領は、当国国会で記念演説を行った。同大統領は、炭化水素資源の国有化を延期するようにとのチャベス大統領及びカストロ前キューバ国家評議会議長の進言にも関わらず、国有化を進めたことにより、国家歳入が2006年の3億ドルから2007年の19億ドルへの増収となった旨発言した。これにより、2006年には17億ドルでラ米最下位だった外貨保有も2007年には70億ドルに達したと述べた。ボリビア国内情勢につき度々言及したモラレス大統領は、こうした税収により「汚い経済戦争」を乗り切ることが出来ると発言した。またチャベス大統領が8月6日のボリビア独立記念式典に出席する可能性もあると言及した。

 独立記念日の国会では、2006年、キルチネル亜大統領(当時)が外国首脳として初めて演説を行っている。

 モラレス大統領に続いて演説したチャベス大統領は、欧州議会で承認されたEUの移民政策が実施された場合、欧州の投資を追放すると発言した。国会演説の前にモラレス大統領と軍事パレードに出席したチャベス大統領は、米国がカリブ及びラ米海域に第四艦隊を派遣する計画の必要性に疑問を呈し、いかなる勢力も革命を制止することはできないと発言した。

(ハ)12日、モラレス・ボリビア大統領は、ベネズエラから同国に対する資金援助は中央銀行等を経由することなく直接在ボリビア・ベネズエラ大使館より供与されている旨発言した。同大統領によると、右手続きはモラレス大統領がチャベス大統領に依頼したもので、これにより、国内での官僚主義的手続きを回避し、各種プロジェクトに迅速に対応出来る。

(4)対コロンビア関係

(イ)3日、マルガリータ島で4日まで開催中の非同盟諸国通信・情報大臣会議に出席したチャベス大統領は、ベタンクール元大統領候補、米兵3名他、15名のFARC人質解放に関して知らせを聞いたときは仰天したと述べつつ、祝意を表明し、FARCに非武装化を呼びかけた。また更なる人質解放、コロンビアにおける和平実現に向けた協力を約束した。

 チャベス大統領は、11日にカラカスで実施予定のウリベ大統領との会談につき、これまでの舌戦は既に過去の出来事であり、兄弟のようにウリベ大統領を受け容れる準備があると述べた。また、「チャベス大統領及びコレア・エクアドル大統領はコロンビアの民主主義とウリベ大統領の正当性を尊重するという条件で人質解放に参加すべき」とのベタンクール氏発言に対してはコメントを残さなかった。

 他方、国会も今次FARC人質解放に祝意を表明し、仏、西、スイス、伯等、コロンビアの紛争問題解決にむけた諸外国の協力を評価する決議を採択したが、審議の場において、一部国会議員がウリベ政権による今回のオペレーションを「見せ物」「でっちあげ」であるとして批判する場面も見られた。

(ロ)11日、ベネズエラを訪問したウリベ大統領はパラグアナ精油所(プント・フィホ、ファルコン州)を視察し、チャベス大統領と会談を行った。会談後の共同記者会見でチャベス大統領は、今次会談で両国間の外交問題を克服し、関係の再出発を決定したと述べた。また、各大臣に対し、両国間でペンディングとなっている課題に取り組むよう指示したと述べた。コロンビア側が提案している両国間をつなぐ鉄道建設については、すばらしい案であるとし、14日にはマラカイボ市で右プロジェクトの礎石を置くと発表した。

 これに対しウリベ大統領は、会談の詳細は明らかにしなかったが、チャベス大統領から(FARC人質解放に関するチャベス大統領の)仲介の突然の中断理由を問われたことを明らかにした。また、両国の大使館業務を再開することが重要であると述べた。

(ハ)17日、マドゥーロ外相は、イングリッド・ベタンクール元コロンビア大統領候補他FARC人質の解放作戦において、国際赤十字のロゴ・マークが利用されたことを憂慮する旨発言した。同外相は、国際和平の象徴に対する敬意は絶対的なものであり、それが遵守されない場合、武装紛争時に適用可能なルールを危機にさらすことになると述べた。 

   

       

3.対米関係

(1)独立記念パレード終了後、チャベス大統領は外交団席へ近付き、ダディ駐ベネズエラ米大使と和平実現や両国関係の対話再開につき話し掛けた。モラレス・ボリビア大統領を伴ったチャベス大統領は、今次パレードで披露された武器が戦争のためではなく、和平のためのものであると述べた。また米国大統領選挙については、誰が当選したとしても、クリントン大統領時代のように対話の席に着くことが出来ると発言した。

 チャベス大統領は、在ボリビア米国大使館に公使参事官としての在勤経験があるダディ大使を含む外交団に対し、ボリビアに対する支持を呼びかけた。また、モラレス大統領が自身に対する罷免国民投票を提案している件につき、野党側が国民投票実施反対の姿勢を示す等、曖昧な態度を取っていることを指摘したが、モラレス大統領の罷免否決を確信していると発言した。

 チャベス大統領は、ダディ大使に2006年8月より中断されている米国との麻薬対策協力を再開させたい旨伝えた。同大使は4日、ベネズエラを利用した麻薬取引の増加に憂慮を示していた。

(2)16日、チャベス大統領は、オバマ米大統領候補が勝利したとしても、ベネズエラと米国の関係が改善される見込みは薄いと発言した。同大統領は、オバマ候補もマケイン候補もともに「帝国の利益を代表する者」であり、両国関係改善は期待出来ないと述べた。チャベス大統領は、米国主導の自由貿易や同国の対ラ米政策を厳しく批判し、オバマ候補にラ米の現状を知るよう促すとともに、ベネズエラは誰にも屈しないと発言した。

    

 

     

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