ホーム 緊急情報 ベネズエラ概観 二国間関係 大使館案内 文化班案内
リンク集 お知らせ ご意見・ご要望      

 

 政治月報

 (バックナンバー)

 経済月報

 (バックナンバー)

 文化情報

 ベネズエラ略史

 プロフィール

  ・国旗・紋章

  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成20年 8月)

 

     


   

政 治 概 況

1.内  政

(1)大統領授権法失効前日である7月31日、チャベス大統領が、同法に基づいて26の大統領令を公布し、1日にその事実が発表された。

(2)同大統領令に関し、野党側は、期日を過ぎての発表であること、及び内容が07年12月に否決された憲法改正案のダミーであることを理由に、憲法違反であるとして批判。

(3)8日及び9日、最高裁は、裁判所の判決なしに会計検査院長が会計検査院法に基づいて公務員の活動を停止することを合憲と判断し、また、ロペス・チャカオ市長他、同法に基づいて11月選挙立候補資格を停止された者の訴えを退けた。これにより、ロペス市長他の立候補が不可能となることが確定。

(4)12日、全国選挙評議会(CNE)は立候補登録を締切。同日時点で、与党連合は11州知事77市長、野党連合は19州知事155市長選において統一候補擁立で合意した。

2.外  交

(1)4日、チャベス大統領はブエノスアイレスにおいて、ルーラ・ブラジル大統領及びフェルナンデス・アルゼンチン大統領と三者会談を行い、南米ガスパイプライン建設等を提案した。

(2)15日、チャベス大統領はパラグアイを訪問し、ルゴ新大統領の就任式に出席した。

(3)25日、ホンジュラスが米州ボリーバル代替構想(ALBA)加盟宣言に署名し、ALBA加盟国は7ヶ国に拡大。チャベス大統領も式典に出席した。

(4)ベネズエラ政府は、ペルーに対して実施していた眼科治療援助プログラム「ミラクル・ミッション」を中止した。

(5)オバマ、マケイン両次期米国大統領候補の中南米政策ブレーンが、両候補の対ベネズエラ政策に言及。オバマ候補はチャベス大統領との対話を模索。

             

内 政

1.26の大統領令

(1)チャベス大統領は、大統領授権法失効前日である7月31日に、同授権法に基づいて、ボリバリアーナ国軍組織法、食糧の主権及び安全に関する法、行政法、領海法等、26の大統領令を新たに公布し、その事実が1日に発表された。右大統領令のうち、20が新法、6が既存法の改正である。これにより、18ヶ月間に及ぶ大統領授権法期間中、合計67の大統領令が承認されたことになる。

(2)4日、カリサレス副大統領及び官報による発表によって、26の大統領令の内容が明らかにされた。同副大統領は、これらの大統領令は憲法改正の実施を待っていたものの、昨年12月に否決されたため、現行憲法に沿うよう内容を修正したと述べた。また、26の大統領令のうち、15は、公的財政、銀行、食糧農業部門等、経済分野を直接規制するものであり、右からは、社会主義プロジェクトの実施完遂のために不可欠であるとする、経済分野における新定義確立に向けた大統領の意志が伺える。また、その他11の大統領令は、行政及び公的機関に関するものであるが、複数の法については文中で「資本主義モデルから社会正義のための新モデルへの移行」が言及されており、全体的に政府の中央集権化及び権力拡大の意向が伺える内容となっている。

(3)右大統領令に関し、国会はその内容を合憲として支持しているのに対し、「12月2日運動」(昨年12月2日、国民投票により憲法改正案が否決されたことを受け、オテロ「エル・ナシオナル」紙社主等反政府派を中心に結成された民主主義擁護を目的とする市民運動)等反政府側や主要大学は、大統領令公表が授権法の期日外であったこと、及び内容が昨年12月の国民投票によって否決された憲法改正案のダミーであることから、憲法違反であるとして批判している。また、31の同業者組合が、本件のOASへの提出のため、100万人の署名収集を開始した。

(4)右大統領令のうち、主なものの内容は以下のとおり。

(イ)「財及びサービスへのアクセス法」

  食糧品等基礎物品の生産及び流通に不可欠なものを全て公共及び社会的利益と定めており、これにより、国による接収が国会の承認なく可能になる。

(ロ)「ボリバリアーナ国軍組織法」

  国軍にチャベス大統領の政治プロジェクトである「ボリーバル」の名称を付した上、「予備役」を変更して「ボリーバル国民軍」とし、右は国軍を補完するものではないと定めている。同法により、緊急事態の場合、兵役を終えた者あるいは予備役に参加している全ての成人ベネズエラ人を動員することが可能である。

(ハ)「行政法」

  大統領に対し、中央政府が定めた計画を実施できる権限及び予算を持った「地域長官」の任命を可能にしている。

                  

 

       

2.会計検査院による立候補資格停止措置を巡る動き

(1)ルシアン会計検査院長が、行政違反行為を行った公務員に対する公務執行停止決定権限を定めた会計検査院法第105条を根拠に、11月実施予定の地方選挙における立候補資格停止者リストを作成し全国選挙評議会(CNE)に提出していた件につき、8日、最高裁憲法法廷は同105条を合憲と判断した。また、9日には、最高裁行政法廷が、ロペス・チャカオ市長(カラカス首都区長選候補予定)、ウスカテギ候補(バルータ市長選候補予定)等が申し立てた立候補資格停止取り消し要求を棄却し、全国選挙評議会は右決定を受け入れる旨発表した。これにより、裁判所による判決がなくても、会計検査院の判断により、公務員の職務遂行を規制することができることになり、また、ロペス市長他の11月選挙立候補が不可能となることが確定した。

(2)右決定に対し、ロペス市長等反政府勢力は、メルコスール人権委員会に訴えるなどして抗議している。また、ペニャ・メルコスール人権委員会委員長は、個人の資格においてベネズエラを訪問し、ロペス市長等から事情聴取した(ルシアン院長は会見を拒否)。

  

 

 

 

3.11月地方選挙

(1)12日、CNEは地方選挙立候補登録を締め切った。但し、地方議会候補については、候補者が定数に達さなかったため、締切が14日まで延長された。12日時点で、与党連合は11州知事77市長、野党連合は19州知事155市長選において統一候補擁立で合意した。

(2)25日、CNEは有権者登録を締め切った。右登録に基づき、9月8日に有権者リストを発表し、一定の申し立て期間を設け、9月23日から25日には確定リストを発表する運びとなった。

(3)16日付エル・ナシオナル紙は、Datanalisis社が5月に実施した世論調査結果につき以下のとおり報じた。

(イ)自身をどう捉えるか。

  政府・反政府ともに属さない/中道

46.4%

  政府派/チャベス派

26.4%

  反政府派/反チャベス派

19.7%

  わからない/無回答

7.5%

(ロ)社会主義は私有財産を尊重すべきか

 

政府派

   無党派

 反政府派

 はい

87.4%

81.5%

89.8%

 いいえ

6.5%

6.0%

6.7%

 わからない

3.8%

9.5%

2.4%

 無回答

2.3%

3.0%

1.1%

(ハ)今次調査によれば、対象者全体の67%(政府支持者では60%)が私企業への雇用を希望、50%が資本主義を前向きなもの、43%が社会主義を前向きなものと捉えており、ヒルDatanalisis社長は、チャベス大統領が国民に資本主義を拒絶させようとした試みは失敗し、どちらかといえば国民は欧州、ブラジル又はチリ型の社会民主主義を望んでいるのではないかと分析している。

(ニ)また同社長は、特に06年には55%であった無党派層における社会主義支持率が、今次調査で低下しているとし、チャベス大統領が成果を示すことができなかったために社会主義への支持が減少しているのではないかと分析している。

 

   

外 交

     

1.対中南米諸国関係

(1)対コロンビア関係

(イ)7月31日、ベネズエラ政府は、同月23日にアマソナス州に潜伏しているところを国家警備軍により拘束されたクルマ・オルティスFARC幹部をコロンビアへ送還した旨発表した。今次送還はコロンビア治安当局の要請に基づくもので、同人には反逆罪等の理由により昨年2月14日より逮捕命令が出されていた。但し、同氏がFARC内で財務及び国境問題を担当する幹部である「ギジェルモ」と同一人物であるかについては確認されていない。

(ロ)エル・アイサミ当国内務司法次官(当時)は、ベネズエラ政府とコロンビア政府との関係を悪化させるために、ベネズエラ側が同FARC幹部を匿っているかのような報道がなされていたと述べるとともに、ベネズエラ政府は全ての国内・国際法に準拠した行動をとっており、何ら隠し立てすることはないと強調した。

(2)対アルゼンチン、ブラジル関係

(イ)4日、ブエノスアイレスにおいて、チャベス大統領は、ルーラ大統領及びフェルナンデス大統領と三ヶ国首脳会談を行った。右会談において、チャベス大統領は、三ヶ国は、食糧、産業、エネルギー及び金融部門における潜在能力の発展のために共同して対処している「南米の中軸」であり、関係を強化していくことが望ましいと述べ、三ヶ国間の同盟関係を強化するため、南米ガスパイプライン構想の再開及び域内鉄道建設構想を提案した。

(ロ)三ヶ国首脳は、南米諸国連合についても議論したほか、9月6日にブラジル・ペルナンブーコにおいて、エネルギー及び肥料をテーマに再び首脳会談を開催することで合意した。

(3)対アルゼンチン関係

(イ)チャベス大統領は、4日、アルゼンチンを訪問し、ベネズエラが約1週間前にアルゼンチン国債10億ドルを購入したことを明らかにした。ベネズエラは、アルゼンチンに対する最大の資金提供国の一つであるが、2005年に債務のリストラを完了した後は国際市場で起債は行っていない。

(ロ)また、同大統領は、製鉄会社Sidorの国有化のためにTechintグループに支払う金額に関して友好的な合意にいたる自信を示しつつ、Sidorがベネズエラ政府に売却する株式譲渡対価について最終的な調整が必要であり、価格は同社を監査して決定されると述べた。

(ハ)更にチャベス大統領は、国立産業技術院(アルゼンチン) と軽工業貿易省(ベネズエラ)間の協力協定に調印した後、年末までにアルゼンチンと2国間基金を設立する可能性がある旨述べ、アルゼンチンの技術によりベネズエラにおいて49の工場を設立する可能性に言及した。

(ニ)石油分野では、チャベス大統領及びフェルナンデス大統領は、製油所及び原油・石油製品の備蓄・輸送設備の建設に関する覚書に調印した。製油所の生産能力は8万〜10万バレル/日とされる。

更に、チャベス大統領がアルゼンチンに提案したLNG気化施設の技術概念設計(費用6億ドル)の開始が発表された他、食料分野で、肉、穀物、油料種子、果物、野菜の生産について合意がなされ、また建設、エレクトロニクス、情報技術、自動車、プラスチック、金属、機器、繊維等の広範囲に亘る分野で契約が締結された。

(4)対ボリビア関係

(イ)5日、チャベス大統領は、フェルナンデス大統領とともに、ボリビア・タリハ市を訪問し、モラレス大統領との三カ国首脳会談を予定していたが、治安上の理由により右訪問を中止した。同大統領はその理由を、タリハ市において、両国の先遣隊及びベネズエラのメディア関係者が襲撃に遭ったこととした。三ヶ国首脳は、右会談にて、タリハ市における石油精製プラント建設に関する合意書に署名する予定であった。

(ロ)チャベス大統領は、10日にボリビアで実施予定の大統領罷免投票について、すべての世論調査がモラレス大統領の勝利を示していると述べ、野党側が右結果を受け入れることを望むと述べた。

(ハ)10日、当国外務省は同日ボリビアで実施された不信任国民投票の結果について、以下のとおりモラレス大統領の勝利を祝うコミュニケを発出した。

「チャベス大統領はベネズエラ国民とともに、今日のボリビア国民及びモラレス大統領の勝利を祝する。チャベス大統領はモラレス大統領に祝意を表明するとともに、ボリビア政府の推進する革命へ協力を継続する用意があることを伝えた。今日、モラレス大統領による国家解放プロセスにおいて先人の改革の力が再生し、多様性の容認や新政治・経済・社会モデルの模索に基づいた新正義秩序の確立により、ボリビアは再建の時を迎えている。ボリビア国民の意思が反映された今次投票により、真実が帝国の運動に勝ったのである。」

(5)対パラグアイ関係

(イ)15日、チャベス大統領は、パラグアイを訪問し、同国のルゴ大統領の就任式に出席した。同式典でチャベス大統領は、「ルゴ大統領とともに、解放の神学がよみがえる。」と述べ、ルゴ大統領が掲げる改革政策を称えた。なお同日、チャベス大統領は就任式出席のために同国を訪れていたモラレス・ボリビア大統領及びコレア・エクアドル大統領と会談した。

(ロ)16日、チャベス大統領はルゴ大統領とサン・ペドロ県に於いて会談し、エネルギー安全保障条約、協力枠組合意、食糧の主権及び安全に関する協力プログラム合意等、産業、エネルギー、教育及び農業に関する12の合意書に署名した。右会談の中で、チャベス大統領は、「パラグアイが国民、産業及び農業の発展のために必要とするすべての石油を供給する用意がある」と述べた。右合意により、ベネズエラからパラグアイへの1日あたりの石油供給量は、現在の18,600バレルから25,000バレルまで増加する見込みである。また、パラグアイからベネズエラへの輸出品目の関税引き下げ、及びベネズエラからの投資によるパラグアイにおける肥料、大豆、農業機械の生産工場建設の可能性についても言及した。

(6)対コスタリカ関係

(イ)11日、コスタリカのペトロカリブ加盟に向けて、同国代表団とPDVSA代表が初の会合をコスタリカで開催した。コスタリカ側からはドブレス環境エネルギー大臣、レオン・デサンティ石油精製公社総裁が、PDVSA側からはルイス・リバス局長が出席した。

(ロ)ドブレス大臣は、今次会合が財政状況に関する技術的なものであったと述べるとともに、次回9月にカラカスで開催予定の会合ではより具体的な提案事項が提出されるとの見方を示した。また12月に開催予定のペトロカリブ首脳会合迄の加盟を目指すと述べた。

(ハ)ドブレス大臣は詳細への言及を避けたものの、会合では同時にコスタリカにおける石油及び天然ガスの採掘や同国太平洋岸への石油備蓄ターミナル建設等といった両国の関心事項についても協議された。

(7)対ウルグアイ関係

(イ)17日、マドゥーロ外務大臣は、マンティージャ厚生・社会開発大臣、コントレラス軽工業・貿易大臣及びアリアス外務次官(ラテンアメリカ・カリブ担当)とともにウルグアイを訪問し、同国のフェルナンデス外務大臣との会談において、両国関係及び署名済みの合意の見直しが行われた。

(ロ)右会談において、ベネズエラ政府は、ウルグアイ製品のうち、主に農畜産物について、214品目の関税を直ちに引き下げることを決定し、これについてマドゥーロ外相は、右措置は、ウルグアイがベネズエラのメルコスール加盟を承認した最初の国であることへの謝礼であると説明した。

(ハ)この他、会合では、ウルグアイの国営企業Obras Sanitarias社が製造する57の浄水設備をベネズエラが買い上げ、ウルグアイ側のコンサルティングにより同設備を一カ所ベネズエラに建設すること、ベネズエラにおける再生産バイオテクノロジー、畜産遺伝学及び技術者養成のためのセンター、及び遺伝子実験場の建設、インシュリン生産施設をベネズエラに、インシュリン研究機関をウルグアイに設立し、相互に協力して活動すること、及びウルグアイの国営電力会社UTEとベネズエラの同電力会社Cadafeの協力プロジェクト拡大が合意された。

(8)対ホンジュラス関係

  25日、チャベス大統領は、ホンジュラスの米州ボリーバル代替構想(ALBA)加盟式典に参加するため、同国を訪問した。ホンジュラスの加盟により、ALBA加盟国は7カ国(ベネズエラ、キューバ、ボリビア、ニカラグア、ハイチ、ドミニカ国、ホンジュラス)に拡大した。

(9)対ペルー関係

(イ)30日、ラグーナ駐ペルー・ベネズエラ大使は、ペルーの「ラ・プリメラ」紙に対し、ペルー保健省の指示により、2ヶ月前から同国における「ミラクル・ミッション」を通じた眼科治療援助を中止したことを明らかにした。ベネズエラ政府は同国北部に患者移送のための輸送機を飛ばしていたが、7月、同国航空局の指示でタラポト市へのベネズエラ航空機の着陸が行えず、以来、実施が中断した状態となっている。

(ロ)ラグーナ大使は、ガルシア政権との理解ある関係を維持していると述べつつも、ペルー政府が、ベネズエラ政府が実施している医療援助と、同国内で「ALBA事務所」が行っている援助を混同していると述べた。同大使は、ベネズエラ政府とALBA事務所との関係を否定し、ALBA事務所とチャベス政権の関係を調査している同国国会委員会を批判した。

         

              

2.対ユダヤ人関係

(1)13日、チャベス大統領は、大統領府において、ローダー・世界ユダヤ人協会(CJM/WJC)会長、ターピンズ同協会ラ米代表、及びレビー・ベネズエラ・イスラエル協会会長等と会談を行った。右会談は、フェルナンデス・アルゼンチン大統領の仲介により実現したもので、一行に同行したTimerman駐米アルゼンチン大使も同席し、チャベス大統領にとってユダヤ人コミュニティとの初めての会談となった。

(2)同駐米亜大使によれば、会談は、全体的に良好な雰囲気の中で行われ、両者の協力促進について話し合われたが、ユダヤ人協会側が、近年、ベネズエラにおいて、マスメディア及び政府によるユダヤ人への攻撃が見られることに懸念を表明していることに関連して、チャベス大統領は、自身が反ユダヤ主義的発言を行っているとの事実を否定し、中南米全体において反ユダヤ主義が根絶されることを望むと述べた。また、ベネズエラの対イラン関係については、同協会側からチャベス大統領に対し、右関係を活用して、アフマディネジャード大統領発言に対する懸念を表明してほしいとの要請がなされた。

   

       

3.対米関係

(1)21日、ベネズエラを訪問中のスペクター米国上院議員は、オルテガ国会第一副議長と会談し、両国友好議連設置等につき協議した。また、同議員は、22日にはマドゥーロ外相とも会談し、二国間関係、麻薬対策、米国大統領選挙等について協議した。

(2)オバマ候補の中南米政策ブレーンであるレストレポ氏が、オバマ候補がチャベス大統領との直接対話を望んでいると発表。これに対し、31日、マケイン候補の中南米政策ブレーンが、同候補はチャベス大統領を脅威と認識していると発言した。

    

 

       

4.対英(ロンドン市)関係

(イ)2日、マット・ブラウン英国ロンドン市広報部長は、ベネズエラと結んだ同市内交通への安価な燃料供給合意につき、同国より受けた優遇価格の差額分1,400万ドルを返却する旨発表した。右合意は、昨年2月20日、リビングストン前市長在職時にロンドン市及びベネズエラ政府機関の間で締結されたものであり、同市がカラカス市の交通渋滞緩和等に向けたアドバイスを行う見返りとして、ベネズエラから同市に対し3,200万ドル分のディーゼル・オイルを安価で提供する内容となっている。右合意は今月20日に期限が切れるが、継続の予定はない。

(ロ)昨年よりロンドン市のバス停留所には、ベネズエラ政府が同市の貧困層25万人の乗車料金半額を負担しているとの広告が掲示されていた。5月末にジョンソン新ロンドン市長は、ベネズエラ政府との上記合意を継続する意志がない旨発表したが、これに対して今のところチャベス大統領及びベネズエラ政府からの反応は無い。

(ハ)27日、リビングストン前ロンドン市長は、チャベス大統領の招待によりベネズエラを来訪し、同大統領及びベネズエラ統一社会党(PSUV)から出馬予定の首都区の各市長候補と会談した。同前市長は、ジョンソン現ロンドン市長が、ベネズエラとの間の燃料供給合意を更新しなかったこととは無関係にベネズエラ政府との関係を強化していくとともに、同前市長の技術チームが、治安、交通等、カラカスの都市整備に対するコンサルタントを継続する旨述べた。

(ニ)また、同市長は、ベネズエラとの合意は14万人のロンドンの貧困層を援助してきたものであり、労働党員として、英国の労働組合がジョンソン市長に右合意を更新するためのプレッシャーをかけるよう働きかけると述べた。

    

 

    

ベネズエラ概観のトップへ