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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成20年 12月)

 

     


   

政 治 概 況  

1.内  政

(1)18日、大統領再選制限を撤廃をする憲法修正案が国会の第一次審議を通過。全国選挙評議会(CNE)は、国民投票の暫定日程を09年2月15日と発表。

(2)4日、通信情報大臣及びインフラ大臣が交代。10日、大統領府大臣が交代。

(3)4日、保健省がミランダ州にある州管轄の21の主要病院を政府管轄に移譲することを発表するなど、野党が勝利した州における政府の締め付けと見られる事案が発生。

2.外 交

(1)13日、ラウル・カストロ・キューバ国家評議会議長が当国を訪問し、チャベス大統領と首脳会談を実施。右訪問は同氏が08年2月に国家評議会議長に就任以来初の外遊。

(2)16日、チャベス大統領はブラジルで開催された、ラ米・カリブ諸国首脳会合に出席し、本会合に米国が参加していないことを評価。

(3)1日、ベネズエラ国軍とロシア北洋艦隊による海上合同軍事演習が開始。

           

内 政

1.大統領再選制限を撤廃する憲法修正国民投票

(1)チャベス大統領発言

(イ)1日、チャベス大統領はベネズエラ統一社会党(PSUV)に対して、遅くとも2月には、大統領再選制限を撤廃する憲法修正案を提出できるよう、即座に準備を開始するよう要請した。また、今回のスローガンを「ウ、ア、チャベスは去らない」(注:これまでの大統領罷免投票及び大統領選挙等で累次にわたり使用されてきたもの)とすることを発表した。同時に07年の憲法改正案は、複雑かつ広範囲に及ぶものであった上に、実施時期を読み誤ったために国民投票で否定されたとの見方を示し、今次憲法修正案は簡潔に大統領再選制限撤廃条項のみを国民投票で問うと述べた。

(ロ)6日、チャベス大統領は自身の大統領選挙勝利(注:1998年12月6日)10周年記念行事において、憲法修正は憲法に規定されている国民の権利であるとした上で、自身は今後100年間大統領職に就くことを要請しているのではなく、6年ごとに再選に向けて立候補することを可能にすることを要請しているのみであり、大統領を永久に続けたいわけではないと発言した。

(ハ)7日、チャベス大統領は、憲法修正が実現されれば12年の大統領選挙に立候補するのはチャベス大統領自身であり、今後少なくとも10年は今次革命プロセスを遂行する義務を負っていると発言した。

(2)国会による憲法修正案審議

(イ)9日、146名(注:議員総数167名)の国会議員が署名をした、大統領再選制限を撤廃する憲法修正案が国会本会議に提出された。修正案を提出したエレーラ議員(PSUV)は、第230条を「大統領任期を6年とし、大統領は再選されることができる」と修正すると発表した。尚、今次修正案について、連立与党、ベネズエラ共産党(PCV)が賛同したのに対し、「皆のための祖国」党(PPT)及び社会民主主義党(Podemos)は発議に加わらなかった。

(ロ)18日、国会特別審議に於いて、大統領再選制限を撤廃する憲法修正案が第一次審議を通過した。今後の審議日程については、PSUVが少なくとも第二次審議が1月13日までに実施されることを希望していることから、2月15日までには国民投票が公示される見通しである。これに対しボリーバル民主行動党(AD・野党)党首は、「NO」への投票キャンペーンを実施する政治的な活動に加えて、国会の修正案発議及びCNEが右を受理することの違憲性を最高裁で争うという法的手段にでる可能性も示唆した。

(3)CNEによる投票日の発表

19日、ルセナCNE委員長を始めとする同評議会委員は、フローレス国会議長及びイセア議員(共にPSUV)らと会談し、憲法修正国民投票を、憲法第341条に基づき、国会が正式に憲法修正案をCNEに提出した後30日を経過した日以降に実施するとし、投票日は来年2月15日を暫定日程とする旨発表した。右日程に国民投票を実施するためには、同案が1月15日までに国会第二審議において承認され、CNEに提出される必要があるが、同日までに審議が終了しなかった場合には、カーニバル休暇期間(注:2月23日の週)を避けた、3月8日以降に実施の見通しである。なお07年12月の憲法改正国民投票を鑑みると、今次投票の実施は、約6億ボリーバル・フエルテの経費が必要と試算されている。

             

      

2.大臣の交代

(1)4日付官報は、ジェシー・チャコン前大統領府大臣の通信情報大臣任命及び、ディオスダード・カベージョ前ミランダ州知事のインフラ大臣任命を発表した。なお、チャコン大臣については03年7月から04年9月にかけて通信情報大臣を、カベージョ大臣については02年末から04年半ばにかけてインフラ大臣を務めた経験を有している。両名は、08年11月23日に実施された統一地方選挙における、PSUVからの首都区スクレ市長及びミランダ州知事各候補であった。

(2)10日、チャベス大統領は全国一斉放送において大統領府大臣にルイス・レジェス前ララ州知事を任命した。

 

 

 

3.野党知事州における政府の対応

(1)1日、国会理事会の命令により首都区議会本部(注:国会所有であるものの、過去8年にわたり、首都圏区議会本部として使用されてきた)が国家警備軍によって封鎖され、立ち入り禁止となった。封鎖の理由は明確にされていないものの、同日予定されていた第1回目の同議会審議が実施不可能となり、さらにレデスマ次期カラカス首都区長官(野党・勇敢な民の同盟党(ABP))の宣誓式典及び新就任議員らの就任式典実施も困難となった。右に関しサンチェス同区議会議員(野党・正義第一党(PJ))は、今回の措置は突然とられたものであり、国会が議会本部の明け渡しを要請することについて事前になんら情報も得ていなかったと発言した。

(2)4日、保健省はミランダ州にある州管轄の21の主要病院を政府管轄に移譲することを発表した。これに対しカプリレス・ミランダ州知事(PJ)は、右措置は地方分権化に対する攻撃であると批判し、本件に対する仲裁を最高裁に求めるつもりであると述べた。

(3)4日、カラボボ州ミランダ市において、サラス次期知事(野党・プロジェクト・ベネズエラ(PV))の宣誓式典が本来知事の宣誓を行うべき同州議会(注:与党PSUVが過半数の議席を占める)が招集をかけられているにもかかわらず、同日になっても定足数に達しないため、マルティン高等裁判事に対して実施された。これに対し、州議会執行部役員を務めるPSUV議員らは特段の理由を有しないにもかかわらず、州議会での宣誓を行わず、判事を前にした宣誓を行ったのは違法であるとし、同州判事に対して調査を求めた。

 

 

   

4.世論調査

9日、当地調査会社であるアルフレッド・ケラー社が、大統領の無制限再選に関する世論調査結果を過去のものから時系列的に発表した。(対象人数1,200名)

(1)大統領任期及び無制限再選に関する意識

(イ)大統領の無制限任期を可能にする憲法修正案(06年第4四半期)

(a)賛成 26%    
(b)反対 73%

(ロ)大統領任期を7年に延長及び、連続及び無制限再選案(07年第3四半期)

(a)賛成

40%    
(b)反対 58%

(ハ)大統領任期を7年に変更及び、チャベス大統領のみ連続再選可能案(07年第4四半期)

(a)賛成 33%    
(b)反対 65%

(ニ)大統領無制限連続再選を可能にする憲法修正案(08年第3四半期)

(a)賛成 25%    
(b)反対 73%

(ホ)大統領無制限再選を可能にする国民投票を09年3月に実施(08年第4四半期)

(a)賛成 31%    
(b)反対 68%

(2)大統領支持率及び無制限再選支持率

(イ)06年第4四半期

(a)大統領支持率 60%       
(b)連続再選支持率 26%

(ロ)07年第3四半期

(a)大統領支持率 57%     
(b)連続再選支持率 40%

(ハ)07年第4四半期

(a)大統領支持率 49%     
(b)連続再選支持率 33%

(ニ)08年第3四半期

(a)大統領支持率 47%     
(b)連続再選支持率 25%

(ホ)08年第4四半期

(a)大統領支持率 52%     
(b)連続再選支持率 26%

 

 

 

外 交

 

1.対ラ米関係

(1)対コロンビア関係

(イ)8日、チャベス大統領は、ベネズエラ訪問中で最近コロンビア革命軍(FARC)の人質から解放されたベタンクール元大統領候補と会談を行った。同人の今次訪問は、依然FARCによって拘束されている人質の解放要請を目的とした南米遊説の一環であり、チャベス大統領に対してFARC人質の全員開放に向けた闘いの継続を求めた。なお、同女史はチャベス大統領との会談に関して、コロンビア情勢から他国首脳との会談内容について多岐にわたる対話がなされたことを明かし、大変前向きなものであったと評価した。

(ロ)20日、豪雨被害の激しいコロンビアに対し、14トンの食糧及び水の人道支援を実施した。

(2)対キューバ関係

13日、ラウル・カストロ議長が当国を訪問し、チャベス大統領と首脳会談を行った。会談では両国のこれまでの協力関係の発展を賞賛するとともに、経済、政治、社会、技術関係強化のための三つの覚書と、総額約20億ドルに及ぶ173のプロジェクトに合意した。今次訪問は、同氏が08年2月に国家評議会議長に就任以来初の外遊となる。

(3)多国間関係

(イ)9日、カラカスにおいて米州ボリーバル代替構想(ALBA)閣僚理事会が開催され、ALBA域内の共通通貨圏構想の進展に向けた作業を進めるための6委員会設立が合意された。

(ロ)16日、チャベス大統領はブラジル・サルバドールで開催された、ラ米・カリブ諸国首脳会合に出席し、本会議に米国が参加していないことを評価し、米国はもはやラ米及びカリブ諸国を支配できる存在ではなく、ラ米諸国が独立するために重要なことは、帝国の参加なくして会合を持つことであり、その意味で本会議は新しい歴史及び時代の幕開けとなるものであると述べた。

 

  

2.対ロシア関係

1日、ベネズエラ国軍とロシア北洋艦隊による海上合同軍事演習「Ven-Rus 2008」が開始され、国防省の発表によると、同演習は、カリブ海上のアベス島北部及びロス・ロケス諸島北西部付近において行われた。今次演習の主な目的は、公海上での両国艦隊の統一指揮系統下における活動を確認することにあり、右活動は、対空防衛、燃料補給、船舶追跡、ヘリ及び航空機による共同作戦、対テロ及び麻薬密輸対策作戦を対象としている。またロシア北洋艦隊司令官であるイワノビッチ・コロリノフ(Ivanociv Kolorinov)海軍中将は、対テロ及び麻薬密輸対策強化のため、ベネズエラ国軍に対し、次回は北海のロシア領海内における両国の合同軍事演習実施を公式に提案することを明らかにした。

            

       

 

3.対欧米関係

22日、マドゥーロ外相は、米国ワシントン・ポスト紙、イタリアLa Stampa紙及びスペインEl Mundo紙が最近掲載したベネズエラを巡る記事は「ベネズエラの安定及び民主主義を揺るがすための国際的陰謀」であるとして、フレミング外務省欧州担当次官名で3紙に対し反論文の掲載を要求することを発表した。本件は、ワシントン・ポスト紙が「チャベス大統領は、不正や暴力を使わない限り憲法修正国民投票に勝つことはできない」との19日付社説を掲載し、La Stampa紙は、イランの武器不正輸出に対するベネズエラの関与疑惑に関する21日付記事を掲載していた。また、El Mundo紙は、21日、スペインのテロ組織「バスク祖国と自由(ETA)」が、「チャベス大統領を信奉する」ベネズエラのテロ組織「ベネズエラ解放軍(FBL)」と協力合意を結び、ETAがFBLメンバーの訓練をする代わりに、ベネズエラ国内でFBLによる庇護を受けることになった旨報じたことに対応している。

  

 

4.対イスラエル関係

ベネズエラ政府は08年末から悪化しているガザ情勢に対し、27日付外務省声明において「イスラエルがガザ地区に於いてパレスチナ人に対して行っている犯罪的な爆撃に対し、強い憤慨の念」を表明すると共に、パレスチナ人に対し連帯の意を示した。また、米国に関し「唯一の共犯者であり、この攻撃は、現米国政府が継続して行ってきた犯罪的行為の最終的な姿である」と非難した。

   

 

 

    

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