1.大統領再選制限を撤廃する憲法修正国民投票
(1)チャベス大統領発言
(イ)1日、チャベス大統領はベネズエラ統一社会党(PSUV)に対して、遅くとも2月には、大統領再選制限を撤廃する憲法修正案を提出できるよう、即座に準備を開始するよう要請した。また、今回のスローガンを「ウ、ア、チャベスは去らない」(注:これまでの大統領罷免投票及び大統領選挙等で累次にわたり使用されてきたもの)とすることを発表した。同時に07年の憲法改正案は、複雑かつ広範囲に及ぶものであった上に、実施時期を読み誤ったために国民投票で否定されたとの見方を示し、今次憲法修正案は簡潔に大統領再選制限撤廃条項のみを国民投票で問うと述べた。
(ロ)6日、チャベス大統領は自身の大統領選挙勝利(注:1998年12月6日)10周年記念行事において、憲法修正は憲法に規定されている国民の権利であるとした上で、自身は今後100年間大統領職に就くことを要請しているのではなく、6年ごとに再選に向けて立候補することを可能にすることを要請しているのみであり、大統領を永久に続けたいわけではないと発言した。
(ハ)7日、チャベス大統領は、憲法修正が実現されれば12年の大統領選挙に立候補するのはチャベス大統領自身であり、今後少なくとも10年は今次革命プロセスを遂行する義務を負っていると発言した。
(2)国会による憲法修正案審議
(イ)9日、146名(注:議員総数167名)の国会議員が署名をした、大統領再選制限を撤廃する憲法修正案が国会本会議に提出された。修正案を提出したエレーラ議員(PSUV)は、第230条を「大統領任期を6年とし、大統領は再選されることができる」と修正すると発表した。尚、今次修正案について、連立与党、ベネズエラ共産党(PCV)が賛同したのに対し、「皆のための祖国」党(PPT)及び社会民主主義党(Podemos)は発議に加わらなかった。
(ロ)18日、国会特別審議に於いて、大統領再選制限を撤廃する憲法修正案が第一次審議を通過した。今後の審議日程については、PSUVが少なくとも第二次審議が1月13日までに実施されることを希望していることから、2月15日までには国民投票が公示される見通しである。これに対しボリーバル民主行動党(AD・野党)党首は、「NO」への投票キャンペーンを実施する政治的な活動に加えて、国会の修正案発議及びCNEが右を受理することの違憲性を最高裁で争うという法的手段にでる可能性も示唆した。
(3)CNEによる投票日の発表
19日、ルセナCNE委員長を始めとする同評議会委員は、フローレス国会議長及びイセア議員(共にPSUV)らと会談し、憲法修正国民投票を、憲法第341条に基づき、国会が正式に憲法修正案をCNEに提出した後30日を経過した日以降に実施するとし、投票日は来年2月15日を暫定日程とする旨発表した。右日程に国民投票を実施するためには、同案が1月15日までに国会第二審議において承認され、CNEに提出される必要があるが、同日までに審議が終了しなかった場合には、カーニバル休暇期間(注:2月23日の週)を避けた、3月8日以降に実施の見通しである。なお07年12月の憲法改正国民投票を鑑みると、今次投票の実施は、約6億ボリーバル・フエルテの経費が必要と試算されている。 |