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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成21年 1月)

 

     


   

政 治 概 況  

1.内  政

(1)5日、チャベス大統領は憲法修正案において大統領のみならず、全公職者(知事、市長、国会議員及び州議会議員)を再選制限撤廃の対象とすることを提案。

(2)14日、国会に於いて憲法修正案が第二次審議を経て承認。16日に全国選挙評議会(CNE)に提出され、2月15日に国民投票を行うことが決定。

(3)20日、ルセナCNE議長は国民投票の終了時間を規定に定められている午後4時から午後6時とする旨発表。

2.外 交

(1)14日、ベネズエラ政府はイスラエルのパレスチナ攻撃を非難してイスラエルと国交断絶。

(2)16日にルーラ伯大統領が、22日にフェルナンデス亜大統領がベネズエラ訪問。チャベス大統領と会談し、多岐にわたる協定に署名。

(3)24日、チャベス大統領はコロンビアを訪問し、ウリベ・コロンビア大統領と首脳会談を実施し、2国間経済基金の創設及び統一通貨創設を提案。

 

           

内 政

1.憲法修正国民投票

(1)再選制限撤廃対象者の拡大

(イ)5日、チャベス大統領は今次憲法修正案において大統領のみならず、全ての公職者を再選制限撤廃の対象とすることを提案した。これにより大統領の任期を規定する憲法第230条に加え、知事(第160条)、市長(第174条)、国会議員(第192条)及び州議会議員(第162条)の任期を定めた各条項の修正案も第二回国会審議に付されることになる。

(ロ)同日、野党執行部が記者会見を実施し、グアニパ正義第一党(PJ)幹事長が、国民投票で反対票を投じることは国内の政治対立を葬るとし、再度憲法修正案に反対の意思を表明した。

(ハ)7日、フローレス国会議長は、大統領のみの再選制限撤廃を規定した当初案に、対象者を全公職者に拡大した条項を付帯することは、原案の基本概念を変更するものではないと強調し、国民投票では各条項を分けることなく、全公職者に対する再選制限撤廃の賛否を1つの質問として問うと発言した。

(2)国会による第二次憲法修正案審議

 14日、国会特別審議に於いて、全公職者に対する再選制限撤廃を可能にする憲法修正案が、賛成多数で承認され第二次審議を通過した。国民投票における質問の文言は「国民投票による選挙を通じて公選職務を遂行するため、男女いずれの市民も、同一の役職において憲法上規定された任期中の立候補を可能にし、国民の政治的権利を拡大する、国会発議による憲法第160、162、174、192及び230条の修正を承認しますか?」

(3)国会からCNEへの国民投票実施法案の提出

16日、CNEは、国会特別委員会より国民投票実施法案を提出されたと発表し、2月15日(日)に憲法修正国民投票を実施する旨発表し、国会ホームページ公表文書によれば国民投票で可決された場合の新条文は以下の通り。新条文は原文から各下線部分を削除したものとなる予定。

 1.第160条【知事への就任要件、任期】

 各州の政治及び行政は、知事の責務である。知事への就任要件は、ベネズエラ人であること、25歳以上であること、及び聖職に就いていないことである。知事は、4年の任期であり、投票者の過半数により選出される。知事は、一回に限り次期に再選されることができる。

 2.第162条【州議会の権限、州議会議員への就任要件】

 (一部省略)州議会議員は、4年の任期で選出され、最長で連続2期まで再選されることができる。州議会の組織及び機能に関する制度については、国の法律でこれを規律する。

 3.第174条【市長の責務、就任要件】

 市の管理及び運営は、市長の責務であり、市長は、市における文民の最高権威でもある。市長への就任要件は、ベネズエラ人であること、25歳以上であること、及び聖職に就いていないことである。市長は、4年の任期であり、投票者の過半数の賛成で選出される。市長は、1回に限り次期に再選されることができる。

 4.第192条【国会議員の任期】

 国会議員は、5年の任期であり、最長で連続2期まで再選できる。

 5.第230条【共和国大統領の任期、再選】

 大統領の任期は6年とする。共和国大統領は、新たな任期について、連続して1回に限り再選されることができる。

(4)CNEの各種発表

(イ)20日、CNEはテレビ及びラジオ上での投票キャンペーンの実施について、21日午後4時までにCNEに届け出た団体のみが、事前にCNEから許可を受けた投票コマーシャルを1日1放送局において3分間放送することが可能であるとした。またチャベス大統領の投票キャンペーンの参加に関して、大統領を含む全ての公職者は、選挙活動のための広告及び宣伝に関する規範により、公的機関に於いて投票キャンペーンを行うことは禁止されると指摘した。

(ロ)また投票結果に関しては、全投票終了後2、3時間を目処にCNEが第一次発表を公表するとし、それ以前にメディアが結果や得票情勢の報道を行うことを禁止した。

(ハ)同日、ルセナCNE議長は国民投票の終了時間を午後6時とする旨決定したと発表し、右措置は選挙及び政治参加基本法を修正する必要なく実施できるとの見解を示した。

(5)世論調査による見解

(イ)28日、当地調査会社Datanalisis社による、憲法修正国民投票に関する世論調査結果において「賛成」が51.5%、「反対」が48.1%という結果が出、政府系調査会社以外では初めて「賛成」が優勢な結果となった。

(ロ)31日、当地調査会社Hinterlaces社による憲法修正国民投票に関する世論調査において45%が賛成、54%が反対に投票すると回答し、投票に「必ず」もしくは「おそらく」行くとの回答は79%に上った。同社の分析によれば、今次憲法修正案に十分な支持が得られていない背景として、チャベス支持派がチャベス大統領の政治的な「やり過ぎ」に嫌悪感を抱いていることに加え、またその施政に於いて結果が出ていないことに対する失望が、チャベス派の選挙活動を担うPSUV党員にまで士気低下の影響を与えているのではないかとの見方が示されている。

           

      

2.国会執行部の選出

 5日、09年国会議長他が選出され、国会議長にはシリア・フローレス議員(ベネズエラ統一社会党:PSUV)が3期目の再選、第一副議長にはサウル・オルテガ議員(PSUV)が、第二副議長にはホセ・アルボルノス議員(「皆のための祖国」党:PPT)がそれぞれ再選され、2期目を務めることになった。

 

 

 

 

外 交

 

1.対ラ米関係

1.対ラ米関係

(1)対ボリビア関係

 25日、ベネズエラ政府は、同日ボリビアにおける国民投票で憲法改正案が可決されたことに対し、祝意を表明する外務省声明を発表した。

(2)対コロンビア関係

 24日、チャベス大統領は、コロンビア・カルタヘナを訪問し、ウリベ・コロンビア大統領と、両国間の外交関係緊密化、エネルギー及び食糧問題等多岐にわたる二国間プロジェクトの実施及び政治、経済及び通商関係強化を目的としたメカニズム構築にかかる会談を行った。両国大統領は、世界金融危機に対抗するための新たな協力関係の創設及び、現在二国間で進められている計画の再検討及び強化を目的として、二国間経済委員会を創設することに合意した。同日チャベス大統領は、07年11月以来空席となっている駐コロンビア・ベネズエラ大使にグスターボ・マルケス元統合・貿易大臣を任命した。同時にベルムデス・コロンビア外務大臣はフェルナンド・マリン駐ベネズエラ・コロンビア大使の後任として、マリア・ルイサ・チアプレ前コロンビア・ベネズエラ商工会議所会長が任命されたことを発表した。

(3)対ブラジル関係

 16日、ルーラ伯大統領がベネズエラを訪問し、チャベス大統領と首脳会談を行い、農業、食糧及びエネルギー等多岐にわたる13の各種協定に署名した。またルーラ大統領は、ベネズエラのメルコスール加盟に関して、ブラジル上院が遅くとも今年3月には承認するとの見込みを示した。

(4)対アルゼンチン関係

 22日、チャベス大統領はベネズエラ訪問中のフェルナンデス亜大統領と会談し、二国間協力の拡大を目的とした保健、インフラ整備、内務司法、経済、スポーツ、農業、航空、エネルギー、石油及び天然ガス等に関する12の協力文書及び、9の政府間合意を含む21の協力協定に署名した。なお、同亜大統領の当国公式訪問は08年3月以来2回目。

(5)多国間関係

 29日、チャベス大統領は、ブラジル・ベレンにて開催された第9回世界社会フォーラムに出席し、世界経済危機に対抗するには、社会プログラム、経済政策の推進の他に、統合を促進し、南米銀行やペトロスールといった統合のための機関創設を急ぐべきであると発言した。

 

  

2.対米関係

(1)15日、チャベス大統領は、オバマ次期米大統領がベネズエラ政府はコロンビア革命軍(FARC)のようなテロ集団と関係を持ち、ラ米の発展を阻害すべく力を奮い、テロ行為を輸出していると発言したとの報道に言及し、ラ米及び世界の発展を阻害しているのはブッシュ米大統領であり、こうした批判は2国間関係の悪化につながると懸念した。

(2)20日、チャベス大統領は、オバマ米大統領の就任について、米国が帝国であることに変わりはないゆえ幻想を抱くべきではなく、米の外交政策がどうであれボリーバル革命を進めベネズエラの独立を達成すると発言した。

            

       

3.対欧州関係

15日、ベネズエラに於いて、サンニーノ欧州委員会ラ米局長とフレミング外務省欧州担当次官が、ベネズエラにおける貧困及び格差の撲滅に対する欧州委員会の協力を定め、国家の近代化、経済多様化、社会参加、持続可能な成長等に関連するプログラムの促進を目的とした「09年から13年にかけての協力に関する欧州委員会及びベネズエラ政府との間の覚書」に署名した。

  

 

4.対イスラエル関係


(1)5日、チャベス大統領はイスラエルとハマス間の武力衝突に関し、イスラエルを批判し、これに続く6日、ベネズエラ政府は外務省声明において、当地イスラエル大使及び同外交団の一部を追放することを発表した。

(2)14日、外務省はコミュニケを発出し、イスラエルのパレスチナ攻撃に対し遺憾の意を表明し、同国との国交断絶を発表した。また26日、イスラエル外務省は在イスラエル・ベネズエラ大使館に対し、ベタンクール臨時代理大使及びベラスコ駐ラマッラ領事兼事務担当のペルソナ・ノン・グラータを通告し、72時間以内の国外退去を命じる旨通報した。

(3)30日深夜、カラカス首都区内にあるユダヤ教会、第一シナゴークが15名の武装者によって襲撃された。これに対してチャコン情報通信大臣は、政府はイスラエル政府のパレスチナ及びガザ地区攻撃に対しては強く非難をするものの、右は国内のユダヤ人社会との関係とは別であり、我々は彼らと十分な対話を有していると発言した。

          

 

5.対モロッコ関係

 15日、モロッコ外務省は、ベネズエラ政府がモロッコ王国の領土一体性に対して敵意を増幅させ、西サハラに対して支援を実施したこと等を踏まえ、在ベネズエラ・モロッコ大使館を閉鎖し、その機能を在ドミニカ共和国大使館に移転することを決定した。識者によると駐アルジェリア・ベネズエラ大使が西サハラに対し信任状を捧呈し、これをモロッコ側が内政干渉とみなしたことが原因であると見られている。

  

 

 

    

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