5.国民投票に関する各方面の反応
(1)チャベス大統領
今次憲法修正国民投票に於ける「賛成」の勝利は、国民の勝利であると強調し、反政府派が、憲法及び国民の指示を尊重し、さらに大統領の存在を謙虚に承認するという姿勢を、言葉だけでなく行動を持って示すのであれば、対話のために彼らを大統領府に迎えるつもりであると述べ、反政府側の姿勢如何では、政府が彼らとの対話及び相互理解を構築する用意があることを表明した。
(2)PSUV
(イ)ロハスPSUV第一副党首
今次憲法修正国民投票の結果について、「賛成」の勝利を得た政府派及び、支持者を増やした反政府派両者ともに勝者であり、今後の政治運営は双方が相反する計画を擁護するのではなく、合意の道を模索すべきであるとの考えを示した。
(ロ)ロドリゲス・リベルタドール市長(今回の選挙コマンド「シモン・ボリーバル」を指揮)
「賛成」の勝利は、PSUVが全国で展開した選挙活動を成功と評価すべきであるとし、近日中に「シモン・ボリーバル」運動を今後もPSUV内の機関として存続させるか否かも含めた会議を実施すると述べ、同時に選挙活動で使用した費用も公表するとした。また一ベネズエラ人として政府派及び反政府派の対話を望んでおり、今後の対応は反政府派の反応にもかかっているとの姿勢を示した。
(3)連立与党
(イ)アルボノス「皆のための祖国」党(PPT)書記長
憲法修正国民投票における「賛成」の勝因を、連立与党内で団結したこと及び、全ての公職者に対して再選制限を撤廃するというPPTの提案が受け入れられたためであると述べ、PSUVのみでは、勝利出来なかったであろうと述べた。また、チャベス大統領の15日の勝利宣言には、国内の重要な経済アクターとの協調を示唆するメッセージが含まれているとの見方を示し、チャベス派以外の人物を閣僚に起用することを提案した。
(ロ)フィゲラ・ベネズエラ共産党(PCV)書記長
今次勝利は政治及び民意の力が結集した成果であると評すると共に、こうした結集は特定のセクターの服従や消滅を意味するものではないと強調した。またPCVは、汚職撲滅に向けて力を注ぐと確約し、こうした不正を訴えるため、法的及び政治的場に出る用意があることを示した上で、右が政府に無視された場合は、民意に訴えていくことを強調した。
(4)野党
(イ)ボルヘス正義第一党(PJ)党首
今次国民投票の結果は、国民がベネズエラが抱えている問題に対する具体的かつ効果的な解決を望んでいることを示しており、そのためにも政府及び反政府派は共に施政に取り組まなければならないと発言した。さらに右を進めるためには、@大統領が所属政党にかかわらず全ての知事及び市長と協力関係を築くこと、A国民にとって最重要課題である治安問題に対して、全セクターが結集して取り組むこと、及び、B石油価格の下落を前にして、経済分野に関する双方間の対話を行うこと、の3点が必要であるとの考えを示した。
(ロ)プラナス・キリスト教社会党(Copei)党首
反政府派は政府の代表者らと対話をする用意があり、右に於いてベネズエラで憂慮されている問題につき戦略的な解決案を構築する必要性を訴え、具体的には治安問題を最優先課題に、失業、生活コストの上昇及び物資の供給遅延など、ベネズエラに確実に影響を与えるであろう世界金融危機に関する討論から取り組むべきであると発言した。
(5)検察
検察は投票プロセスにおける治安対策「プラン・レプブリカ」によって、全国で156名が、15日の憲法修正国民投票に関する違反行為で逮捕されたと発表した。
(6)国際監視団の反応
98名の国際機関及び選挙関連団体等の代表で構成される国際監視団の一員であるロドリゲス・エクアドル国会副議長は、今次投票プロセスはその明快さと正当性を持ってベネズエラ国民を支え、ベネズエラの民主主義を深化及び発展させたと述べた。
(7)国内NGOの反応
反政府系国内NGOである市民団体「Sumate」は、全14州及び首都に於いて、憲法修正国民投票の違反に対する訴えを受付したところ、15日夕方までに、1,996件の訴えが寄せられたと発表し、多くの人が投票機械が適切に機能していなかったと感じているが、これは投票プロセスの設備の問題であると批判した。 |