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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成21年 2月)

 

     


   

政 治 概 況

1.内  政

(1)2日、チャベス大統領は就任10周年を迎え、同日行われた第4回米州ボリーバル代替構想(ALBA)特別首脳会合に参加した各国首脳陣らと共に祝意を表明。

(2)15日、全公選職者の再選制限を撤廃する憲法修正国民投票実施。全国選挙評議会(CNE)の第一回目の投票結果では、憲法修正賛成が54.36%、憲法修正反対が45.63%となり賛成が勝利。

(3)20日付臨時官報5908号において、全公選職者の無制限再選を可能にする新修正憲法が公布。

2.外 交

(1)3日、コレア・エクアドル大統領がベネズエラを訪問し、チャベス大統領と会談。35の各種合意に署名。

(2)17日及び18日、習近平中国国家副主席がベネズエラを訪問し、チャベス大統領と会談。各種合意の締結。

(3)20日及び21日、チャベス大統領はキューバを訪問し、フィデル・カストロ前議長及びラウル・カストロ議長と会談。

             

内 政

1.チャベス大統領就任10周年

 2日、チャベス大統領は大統領就任10周年を迎え、同日大統領府(ミラフローレス宮殿)に於いて行われた、第4回ALBA特別首脳会合に出席した各国首脳陣と共に祝意を表明すると共に、09年2月2日から19年2月2日まで、第3次ボリーバル革命が開始されると強調した。

                  

      

2.チャベス大統領の治安問題への言及

(1)7日、チャベス大統領は、政府系過激派組織である「La Piedrita」指導者が、反政府系メディア等に対する攻撃を行ったことを認めたことを受け、同組織、及び同じく過激派グループを率いるリナ・ロン女史に対して暴力行為を中止するよう警告した。

(2)8日、チャベス大統領は、国内の治安問題は政府が結果を出せていない問題の一つであり、国民が犯罪のために甚大な被害を被っているとの認識を表明し、自身の残りの4年の任期中における最大の課題の一つであると発言した。

 

 

 

3.国民投票に向けた諸動向

(1)7日、カラカス首都区において、憲法修正反対を訴える市民100万人以上(主催者側発表)が参加した反政府派によるデモ行進が平和裡に実施された。

(2)10日、チャベス大統領は、国民投票に於いて、「賛成」が勝利した場合、反政府派が右を承認しない可能性について警告するとともに、自身及び与党はどのような結果も受け入れると表明した。

(3)11日、反政府派学生組織が13日に計画していた、「反対」を呼びかけるデモ行進の許可申請が内務司法省によって却下された。

(4)12日及び13日、チャベス大統領は、カラカス首都区において憲法修正賛成を呼びかけるデモ行進に参加した。

 

 

 

4.国民投票結果の発表

(1)15日21時30分頃、ルセーナCNE委員長は、開票数11,242,717票(開票率94.20%)時点での第一回目の投票結果を、憲法修正賛成が6,003,594票(54.36%)及び、憲法修正反対が5,040,082票(45.63%)と発表した。また棄権率は32.95%、無効票は199,041票であった。

(2)15日21時40分頃、チャベス大統領はCNE第一回結果発表を受け、大統領府バルコニーから勝利宣言を1時間20分にわたり行った。

 

 

 

5.国民投票に関する各方面の反応

(1)チャベス大統領

 今次憲法修正国民投票に於ける「賛成」の勝利は、国民の勝利であると強調し、反政府派が、憲法及び国民の指示を尊重し、さらに大統領の存在を謙虚に承認するという姿勢を、言葉だけでなく行動を持って示すのであれば、対話のために彼らを大統領府に迎えるつもりであると述べ、反政府側の姿勢如何では、政府が彼らとの対話及び相互理解を構築する用意があることを表明した。

(2)PSUV

(イ)ロハスPSUV第一副党首

 今次憲法修正国民投票の結果について、「賛成」の勝利を得た政府派及び、支持者を増やした反政府派両者ともに勝者であり、今後の政治運営は双方が相反する計画を擁護するのではなく、合意の道を模索すべきであるとの考えを示した。

(ロ)ロドリゲス・リベルタドール市長(今回の選挙コマンド「シモン・ボリーバル」を指揮)

 「賛成」の勝利は、PSUVが全国で展開した選挙活動を成功と評価すべきであるとし、近日中に「シモン・ボリーバル」運動を今後もPSUV内の機関として存続させるか否かも含めた会議を実施すると述べ、同時に選挙活動で使用した費用も公表するとした。また一ベネズエラ人として政府派及び反政府派の対話を望んでおり、今後の対応は反政府派の反応にもかかっているとの姿勢を示した。

(3)連立与党

(イ)アルボノス「皆のための祖国」党(PPT)書記長

 憲法修正国民投票における「賛成」の勝因を、連立与党内で団結したこと及び、全ての公職者に対して再選制限を撤廃するというPPTの提案が受け入れられたためであると述べ、PSUVのみでは、勝利出来なかったであろうと述べた。また、チャベス大統領の15日の勝利宣言には、国内の重要な経済アクターとの協調を示唆するメッセージが含まれているとの見方を示し、チャベス派以外の人物を閣僚に起用することを提案した。

(ロ)フィゲラ・ベネズエラ共産党(PCV)書記長

 今次勝利は政治及び民意の力が結集した成果であると評すると共に、こうした結集は特定のセクターの服従や消滅を意味するものではないと強調した。またPCVは、汚職撲滅に向けて力を注ぐと確約し、こうした不正を訴えるため、法的及び政治的場に出る用意があることを示した上で、右が政府に無視された場合は、民意に訴えていくことを強調した。

(4)野党

(イ)ボルヘス正義第一党(PJ)党首

 今次国民投票の結果は、国民がベネズエラが抱えている問題に対する具体的かつ効果的な解決を望んでいることを示しており、そのためにも政府及び反政府派は共に施政に取り組まなければならないと発言した。さらに右を進めるためには、@大統領が所属政党にかかわらず全ての知事及び市長と協力関係を築くこと、A国民にとって最重要課題である治安問題に対して、全セクターが結集して取り組むこと、及び、B石油価格の下落を前にして、経済分野に関する双方間の対話を行うこと、の3点が必要であるとの考えを示した。

(ロ)プラナス・キリスト教社会党(Copei)党首

 反政府派は政府の代表者らと対話をする用意があり、右に於いてベネズエラで憂慮されている問題につき戦略的な解決案を構築する必要性を訴え、具体的には治安問題を最優先課題に、失業、生活コストの上昇及び物資の供給遅延など、ベネズエラに確実に影響を与えるであろう世界金融危機に関する討論から取り組むべきであると発言した。

(5)検察

 検察は投票プロセスにおける治安対策「プラン・レプブリカ」によって、全国で156名が、15日の憲法修正国民投票に関する違反行為で逮捕されたと発表した。

(6)国際監視団の反応

 98名の国際機関及び選挙関連団体等の代表で構成される国際監視団の一員であるロドリゲス・エクアドル国会副議長は、今次投票プロセスはその明快さと正当性を持ってベネズエラ国民を支え、ベネズエラの民主主義を深化及び発展させたと述べた。

(7)国内NGOの反応

 反政府系国内NGOである市民団体「Sumate」は、全14州及び首都に於いて、憲法修正国民投票の違反に対する訴えを受付したところ、15日夕方までに、1,996件の訴えが寄せられたと発表し、多くの人が投票機械が適切に機能していなかったと感じているが、これは投票プロセスの設備の問題であると批判した。

 

 

 

6.憲法修正案の公布

 19日、国会は憲法修正案をチャベス大統領に提出し、大統領は右に署名した上で官報に掲載するよう命じた。これを受け、20日付臨時官報5908号において、全ての公選職にある者の無制限再選を可能にする新修正憲法が公布された。

 

 

外 交

     

1.対ラ米関係

(1)対キューバ関係

(イ)11日、チャベス大統領は、フィデル・カストロ前キューバ国家議長から憲法修正国民投票を支持する書簡を受け取ったと発表し、さらにカストロ前議長の署名を提示し、同前議長の容体悪化説を否定した。

(ロ)20〜21日にかけて、チャベス大統領は、マドゥーロ外相、ラミレス石油エネルギー大臣、レジェス大統領府大臣と共にキューバを電撃訪問し、20日にはフィデル・カストロ前議長と、21日には同前議長及びラウル・カストロ議長と三者会談を行った。

(2)対エクアドル関係

 3日、チャベス大統領はベネズエラを訪問したコレア・エクアドル大統領と二国間会談を行い、食糧安全保障、エネルギー主権、知的財産、社会プロジェクト、生産及び金融に関する35の各種協力合意に署名し、さらに昨年設立が合意された二国間基金にベネズエラから計5千万ドルを出資した上で、食糧生産に関する二国間プロジェクトの資金とすることを合意した。

(3)多国間関係

 2日、チャベス大統領は自身の就任10周年記念の一部として第4回ALBA特別首脳会合を招集し、モラレス・ボリビア大統領、オルテガ・ニカラグア大統領、セラヤ・ホンジュラス大統領、スリケット・ドミニカ国首相、マチャード・キューバ国家評議会第一副議長が出席した。右会合では、(イ)ALBA諸国及びペトロカリブ加盟諸国間で食糧生産を増進し、食糧安全及び主権を保証するためのALBA食糧イニシアティブ創設、及び(ロ)食糧生産に関する技術協力プロジェクトを調整し、食糧生産にあたる会社の創設、を定める2協定が締結された。

         

              

2.対米関係

 17日、ドゥギード米副報道官は、ベネズエラにおける憲法修正国民投票について「投票は完全に民主的なプロセスで進められたと理解している。反政府派に対する脅しがあったとの情報もあるが、全体として民主的に行われた。」と発言した。

   

       

3.対欧州関係

(1)ワレサ元ポーランド大統領のベネズエラ訪問の中止

 12日、ワレサ財団理事長は、13日にワレサ元ポーランド大統領が、カラカスにおいて、人権団体、学生、教会関係者等と、政治性のない私的な会合を持つためベネズエラ訪問予定であったが、ベネズエラ政府からの圧力により、同訪問を中止すると発表した。右に関しては、10日、チャベス大統領が同元大統領への対応を検討するよう指示する旨、発言していた。

(2)欧州議員の国外追放

 14日、憲法修正国民投票の国際監視を行う目的で来訪していたエレロ欧州議会議員(スペイン)が、CNE及びチャベス大統領を批判する発言をしたことで国外追放措置を受けた。

    

 

       

4.対イスラエル関係

 4日、マドゥーロ外務大臣は、ベネズエラ・イスラエル協会連合代表らと1月30日に発生したシナゴーク襲撃に関する会合を行い、チャベス大統領の支持者及び政府関係者の本件への関与を否定し、政府及びユダヤコミュニティ間の連絡を維持していくと発言した。

 

    

 

5.対イラン関係

 9日、ベネズエラ政府は、外務省声明を通じてイラン革命30周年への祝辞を発表した。 

 

 

 

6.対中国関係

 17日及び18日、習近平中国国家副主席が、中南米諸国外遊の一環としてベネズエラを公式訪問し、チャベス大統領と会談を行い、経済、貿易、サービス、観光、投資に関する、両国の国営・民間企業間の協力を促進するための二国間企業委員会の設立及び、石油関係の各種合意が締結された。また、中国共産党とベネズエラ統一社会党(PSUV)は、党の幹部教育に関する協力を行うことで合意した。

 

 

    

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