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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成21年4月)

 

     


政 治 概 況

1.内  政

(1)7日、国会に於いて「カラカス首都地区特別法」が制定され、14日にはファリア・ベネズエラ統一社会党(PSUV)副党首が、新設されたカラカス首都地区長官に任命。

(2)21日、ロサレス・マラカイボ市長がペルー外務省で亡命申請し、27日にペルー政府は同市長の亡命を承認。

(3)28日、国会は、メレンテス元財務大臣を中央銀行(BCV)総裁に承認。

2.外 交

(1)2日〜4日、チャベス大統領はイランを訪問し、アフマディネジャード大統領らと会談。

(2)5日〜7日、チャベス大統領は日本を訪問し、麻生首相らと会談。

(3)17日、チャベス大統領はトリニダード・トバゴで行われた第5回米州首脳会議に出席し、オバマ米大統領と握手。駐米ベネズエラ大使の派遣を検討と発言。

 

             

内 政

1.中央集権化の動き

(1)「司法制度基本法」の制定

7日、国会に於いて「司法制度基本法」が制定された。同法には、国内司法システムにかかる政策及び計画を立案し、調整する目的で、最高裁判所長官を委員長として、9名の各公権力の代表者によって構成される、国家司法制度委員会の設立等が含まれている。

(2)「カラカス首都区地区特別法」の制定

(イ)7日、国会に於いて「カラカス首都地区特別法」が制定された。同法は、首都地区(リベルタドール市)における予算配分の見直し、大統領が閣議で指名するリベルタドール市を管轄する「行政長」職の設定及び、カラカス首都区長官権限の収縮等を規定している。特に予算配分に関しては、新設される「行政長」職に、カラカス首都区に対する国家予算からの配分、「特別配当法」による予算及び首都(リベルタドール市)への特別補助金を管轄する権利が与えられることになり、現在これらの予算は、カラカス首都区長官が管轄し、首都区を構成する5市の投資に使用しているものの、同法案成立後には全予算がリベルタドール市に配分されることになる。

(ロ)同日レデスマ・カラカス首都区長官は、自身は昨年11月の地方選挙で選出されたカラカス首都区における権限者であり、国会議員らが首都地区にかかる法令を修正したいのであれば、法的に権限を有している自身に諮るべきであるとし、全国選挙評議会(CNE)に対して、本件の是非を問う住民投票の実施を申請した。

(ハ)14日、チャベス大統領は、新設されたカラカス首都地区長官に、ジャクリーヌ・ファリアPSUV副党首(スリア州及びファルコン州担当)を任命することを発表した。

                  

      

2.反政府派に対する締め付け

(1)バドゥエル元国防大臣の逮捕

2日、バドゥエル元国防大臣が、在職中の国軍資金不正使用容疑において、国軍情報部(DIM)に逮捕された。セデーニョ国軍検察長によると、今次逮捕は、検察の調査の結果、同元大臣の容疑を立証するに十分な証拠が確定したため、身柄の拘束を要求したものであるとした。

(2)ロサレス・マラカイボ市長の亡命

(イ)20日、反汚職法違反容疑で身柄の拘束要請が出されていた、ロサレス・マラカイボ市長の予備諮問が予定されていたところ、同市長は出廷せず、バルボサ新時代党(UNT)代表が、市長は亡命を申請するため「友好国」におり、ベネズエラの民主主義闘争に寄与する活動を国外で行えるよう、UNT関係者が同市長の亡命を申請していると発表した。

(ロ)21日、ロサレス市長の弁護側は、同市長がペルー外務省で正式に亡命を申請したと発表した。一方同日、アイサミ内務司法大臣は、ロサレス市長が法廷に出頭しない場合には、裁判から逃走したとみなし、国際指名手配を行う考えを示した。

(ハ)22日、ロサレス市長は、リマからのテレビ中継を通して自身の汚職疑惑を否定し、自身は政治的迫害の被害者であると訴え、チャベス大統領を強く批判した。これに対してガルシア・ベラウンデ・ペルー外務大臣は、いかなる外国人もペルーを政治的基盤として利用できないと表明し、右行為は政治亡命認定の本質に抵触していると発言した。

(ニ)27日、ペルー政府はロサレス・マラカイボ市長の同国への亡命を承認した。同日ベネズエラ政府は、これをベネズエラ国民に対する侮辱であると批判し、ラグーナ駐ペルー・ベネズエラ大使の召喚を命じ、23日に新しく任命されていたメディナ大使の任命手続きを中断すると発表した。

 

 

 

3.閣僚交代及び省庁名称変更

(1)閣僚交代

(イ)6日、ヌリス・オリウエラ・ゲバラ科学技術・中工業大臣に替わり、ジェシー・チャコン・エスカミージョ通信情報大臣が右大臣を兼任する旨、発表された。

(ロ)15日、ジェシー・チャコン・エスカミージョ通信情報大臣に替わり、ブランカ・エクカウトViveTV局社長が通信情報大臣に任命された。

(2)省庁名称変更

13日、「女性問題担当省(ministerio para la mujer)」が「女性・ジェンダー担当省(ministerio para la mujer y la igualdad de genero)」に名称変更された。

 

 

 

.中央銀行総裁の任命

28日、国会は、ガストン・パラ・ルサルド前中央銀行(BCV)総裁の死去(08年12月14日)により空席となっていた同行総裁に、チャベス大統領が推薦していたネルソン・ホセ・メレンテス・ディアス元財務大臣を承認した。

 

 

 

 

外 交

     

1. チャベス大統領訪日に関するベネズエラ政府プレスリリース概要

(1)6日、麻生総理大臣との会談を終えたチャベス大統領は、「総理は経済、科学技術それぞれの分野における協力を分析するためのワーキング・グループ結成を提案した」と発言し、日本からの投資は確実であり、今後日本企業がオリノコ・ベルト地帯におけるフニン第11鉱区の調査及び開発に参加するためのエネルギー分野に於ける9合意が結ばれる予定であることを明らかにし、今次会談を生産的で輝かしいものであったと評した。また統一国際通貨の重要性を強調するとともに、円が強固な通貨の一つであることから政府として外貨準備の一部を円で所有する可能性を検討すると述べた。

(2)同日、チャベス大統領は経団連の会合において、ベネズエラの優先プロジェクトはオリノコ・ベルト地帯及び液化天然ガスであると述べた。オリノコ・ベルト地帯及び石油種まき計画について同大統領は、2013年には1250億ドルの投資を見込んでいるが、国内投資が十分ではないことから、外国企業との合弁会社設立を優遇する法律が策定されており、日本企業とも同地帯の採掘・開発において合弁企業設立を合意したいとの意図を示した。他方、液化天然ガスについては、3年後には液化天然ガスを輸出できる状態となっているとし、この2プロジェクトは国民の生活レベル改善のためであると述べた。

(3)7日、チャベス大統領は、日本企業と合弁会社を設立する形で12の協力協定を締結したと述べ、液化天然ガス処理については投資額100億ドルの今後5年に向けた合意が結ばれ、また石油化学分野に80億ドル、精製分野に15億ドル、日・ベネズエラ戦略基金に40億ドルが投資される見込みである他、マリスカル・スクレ・プロジェクトの中で投資額60億ドルのガス・プロジェクトが合意され、これらの進捗状況を評価する委員会が創設されたと発表した。また米国の友好国である日本と関係を築くことの利益について問われたのに対し、ベネズエラは米国内に7カ所の製油所、石油関連ターミナル・港、燃料流通システムを有しており、燃料スタンドは8千以上にのぼる、とコメントした。

         

              

2.対ラ米諸国関係

(1)対コロンビア関係

14日、チャベス大統領は、ベネズエラを訪問したウリベ大統領と首脳会談を行い、エネルギー協力、二国間基金創設等に関する5協定に署名した。また両国間の海上境界画定について検討するために1990年に設置され、ここ数年間開催されなかった「国境確定混合委員会」を5月第2週に、同じく「水域共同使用に関する包括研究のための二国間技術委員会」を6月に再開することで合意した。

(2)対エクアドル関係

26日、チャベス大統領は、コレア・エクアドル大統領再選に対する祝辞を発表した。

(3)対キューバ関係

10日、チャベス大統領は、外遊先の中国から急遽キューバを訪問し、ラウル・カストロ議長及びフィデル・カストロ前議長と会談した。キューバ側は今次訪問を、16日にベネズエラで実施されるボリーバル米州代替構想(ALBA)首脳会談に関する準備会合のためと発表している。

(4)対グレダナ関係

23日、マドゥーロ外相は、ベネズエラを訪問したデービッド・グレナダ外相と二国間外相会談を実施し、両国の協力関係深化のため、二国間混合委員会の設立が合意されたことを明らかにした。またグレダナ外相はALBA加盟への関心を表明した。

(5)多国間関係

16日、ベネズエラにおいて第7回ALBA諸国首脳会合が開催され、加盟国からチャベス大統領、オルテガ・ニカラグア大統領、モラレス・ボリビア大統領、セラヤ・ホンジュラス大統領、、ラウル・カストロ・キューバ国家評議会議長、スケリット・ドミニカ国首相、招待国としてルゴ・パラグアイ大統領、ゴンザルベス・セントビンセント及びグレナディーン諸島首相、ファルコニ・エクアドル外務・貿易・統合大臣が参加し、17日からの米州首脳会議における共同声明の拒否、域内統一通貨の創設、セントビンセント及びグレナディーン諸島のALBA加盟の承認等に合意した。

   

       

3.対米関係

(1)17日、トリニダード・トバゴで行われた第5回米州首脳会議に出席したチャベス大統領は、開会式前にオバマ米大統領に歩み寄られ握手を交わした。チャベス大統領はオバマ大統領に対し「この同じ手で8年前にブッシュと握手した。君の友達になりたい。」と述べ、両国関係の改善に期待を示した。またチャベス大統領は、オバマ大統領が親愛の情を示してくれた返礼として、「オバマへ、親愛を込めて」とサインしたエドアルド・ガレアーノ著「収奪された大地−ラテンアメリカ五百年(Las Venas Abiertas de America Latina)」を贈呈し、この本をもって我々が再構築しようとしているラ米の歴史を学んで欲しいと発言した。

(2)18日、南米諸国連合(UNASUR)加盟諸国及びオバマ米大統領との会議を終えたチャベス大統領は、クリントン国務長官と話し、新駐米ベネズエラ大使の任命を検討し始めると発言し、更にその数時間後、ロイ・チャデルトンOAS大使を駐米大使の候補とし、新大使任命の準備を始めるようマドゥーロ外務大臣に指示したと発表した。

(3)22日、クリントン米国務長官は下院外交委員会公聴会において、オバマ大統領の対ベネズエラ政策は、孤立政策がうまくいかないのであれば、先日の第5回米州首脳会議で開始した接近政策等、他の方法を採るべきであり、ベネズエラと協調できる方策を模索する中で、どのような結果が得られるか注意していかなければならないと述べた。

(4)24日、チャベス大統領は、先般行われた米州首脳会議に於けるオバマ米大統領とのやりとりについて言及し、両国関係は改善しつつあるとしたものの、米国では未だ帝国主義が続いており、ベネズエラは社会主義化を進めると発言した。

    

 

       

4.対中東関係

(1)対イラン関係

(イ)2日、チャベス大統領はイランを訪問し、アフマディネジャード大統領と首脳会談を行い、国際金融危機に対して両国が協力して対応することで合意した。また、米国に共同して対抗すること、新国際秩序形成を目指すこと、及び国連安保理改革の必要性について認識を一致させた。

(ロ)3日、両大統領は、両国における生産プロジェクトに資金を融資する目的で、両国が各1億ドルを出資し、2億ドルの資金で創設するイラン−ベネズエラ二国間銀行開行式に出席した。

(ハ)4日、チャベス大統領とアフマディネジャード大統領は、Pertopars社が新たにオリノコ・ベルト地帯のアヤクーチョ鉱区における原油採掘に関わる旨の合意に署名した。またチャベス大統領は、ハメネイ・イラン最高指導者と会談し、同氏はチャベス大統領が権力の座に着いたことで、ラ米の歴史に新たな章が開かれたと述べた。

(2)対パレスチナ関係

27日、マドゥーロ外相は、ベネズエラを訪問中のアル・マルキ・パレスチナ自治政府外務庁長官と、両国の外交関係樹立を定める共同声明に署名した。

 

 

.対中国関係

(1)8日、チャベス大統領は、滞在先の中国で胡錦涛国家主席と首脳会談を実施した。両首脳は、2012年までにベネズエラから中国に100万b/dの石油を輸出する協定に署名し、また、新たな提案について検討する委員会を設立することを合意した。

(2)9日、チャベス大統領は、習近平国家副主席、陳元・同中国国家開発銀行董事長と会談した。また、中国共産党とPSUV間の幹部教育協力について検討するため、中国共産党中央党校を訪問し、李君如副学長と会談した。

(3)22日、ダサ国会外交委員長は、中国人民政治協商会議の代表団との会談を終えた後、日程、メンバー等の詳細は未定ながら、PSUV党指導部の100人名が上海を訪問し、政治イデオロギー、社会主義の特徴等、幹部教育の研修を受ける予定であると発表した。

 

 

 

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