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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成21年5月)

 

     


政 治 概 況

1.内  政

(1)7日、反政府系テレビ局「グロボビシオン」局の報道に対して、国家電気通信委員会(Conatel)が3回目の立ち入り検査を実施。

(2)14日、チャベス大統領は、電気通信省を廃止し、同省の機能を科学技術・中工業省に移管する旨発表。

(3)27日、全国選挙評議会(CNE)は、現在国会で審議中の「選挙プロセス基本法」案が承認されるまでは、今年の選挙の実施を停止する旨決定。

2.外 交

(1)15日、チャベス大統領はアルゼンチンを訪問し、フェルナンデス大統領と会談。

(2)23日、チャベス大統領はエクアドルを訪問し、コレア大統領と会談。

(3)26日、チャベス大統領はブラジルを訪問し、ルーラ大統領と会談。

             

内 政

1.社会主義化政策の推進

(1)私有財産を巡る動き

(イ)10日、チャベス大統領は、バリーナス州の6つの大農園を含む農地を接収するよう国立土地庁(INTI)に命じ、こうした大土地所有制がベネズエラの発展を阻害する最も大きな要因の一つである批判した。

(ロ)13日、ゴンサレス・ベネズエラ経団連(Fedecamaras)会長が、現行憲法が有効な限り、私有地は存在すると述べるとともに、私有地制度を変更したければ、再度憲法改正に関する国民投票を行うべきとの見方を示した。これに対して同日、チャベス大統領は、社会主義プロジェクトは民間セクターを排除するものではなく、憲法の枠内において、民間セクターの経験、実行を必要としていると述べ、私有財産を認める見解を示した。

(2)教員労働組合との団体契約締結

(イ)12日、チャベス大統領は、8日に一部の教員労働組合及び教育省との間で合意された団体契約の署名式典において、ボリーバル教育推進を呼びかけ、新時代の人材を育成するためには、学校で児童達に政治について教える必要があると発言した。

(ロ)同日、上記団体契約に合意しなかった教員労働組合らは、今次契約は教育省が教員の指導技術よりも「思想」を重要視する教員養成課程を導入するとものとして批判した。

(3)メディアに対する攻撃

(イ)7日、4日未明にカラカス近郊で発生した地震に関する、反政府系テレビ局「グロボビシオン」局の報道に対して、国家電気通信委員会(Conatel)が立ち入り検査を行った。同日、ラベル同社長は、同局に対する検査は3回目であり、今次閉鎖の処罰が下されれば、同社の通信ライセンスも無効にされるであろうと発言した。

(ロ)10日、チャベス大統領は、民間メディアは恐怖を煽り、情報を操作していると非難し、政府に放送権の更新を判断する権利があることを忘れないようにと述べた。また15日にも、テロ行為を行っているメディアに対して政府が然るべき措置を講ずることは当然であると述べた。

                  

      

2.省庁編成

14日、チャベス大統領は、電気通信省を廃止し、同省の機能を科学技術・中工業省に移管する旨発表した。これに伴い、シモン・ボリーバル衛星、ベネズエラ電話公社(Cantv)及び同社傘下の携帯電話会社(Movilnet)の管轄も同省に移管される一方、Conatelは公共事業・住宅省に移管されることととなった。

 

 

 

3.ベネズエラ統一社会党(PSUV)執行部の改変

7日、チャベス大統領はPSUV第一副党首に、ミューレル・ロハス氏に代わり、シリア・フローレス国会議長を任命した。ロハス氏は今後党内の戦略委員会で顧問役を務める見込みである。また同時に、各地域担当副党首の数を削減し新たに副党首を任命した。

(1)ラファエル・ラミーレス・エネルギー石油大臣

(西部:スリア、タチラ、メリダ、トゥルヒージョ各州)

(2)フランシスコ・アメリアッチ国会議員

(中西部:ララ、ヤラクイ、ファルコン、カラボボ各州)

(3)ディオスダード・カベジョ公共事業・住宅大臣

(中央部:アラグア、ミランダ、首都区、バルガス各州)

(4)エリアス・ハウア農業・土地大臣

(平原部:アプーレ、バリーナス、ポルトゥゲサ、コヘーデス、グアリコ各州)

(5)アリストブロ・イストゥリス元教育・スポーツ大臣

(東部:アンソアテギ、モナガス、スクレ、ヌエバ・エスパルタ各州)

(6)ニコラス・マドゥーロ外務大臣

(南東部:デルタ・アマクーロ、ボリーバル、アマソナス各州)

 

 

 

4.全国選挙評議会(CNE)による本年の選挙停止

27日、CNEは、現在国会で審議中の「選挙プロセス基本法」案が承認されるまでは、選挙の実施を停止する旨決定した。今年中に実施が予定されている選挙は、(既に2010年への延期が見込まれている)全国市議会及び地区議会選挙の他に、(昨年11月の地方選挙で実施されなかった)アマソナス州知事、アプーレ州アチャグアス市長、カラボボ州ミランダ市長、ミランダ州カリサル市長、ヤラクイ州マヌエル・モンヘ市長選挙、またロサレス・マラカイボ市長のペルー亡命に伴う同市長選挙及び、市長の死去により空席となっているヌエバ・エスパルタ州アリスメンディ市長選挙である。

 

 

 

5.世論調査

28日付当地エル・ウニベルサル紙は、チャベス大統領及び政府の施政に関する世論調査を報じている。(実施期間:5月2日〜17日、実施機関:アルフレッド・ケラー社、対象人数:人口2万人以上の69都市に居住する1,200名、誤差率:2.89%)

(1)チャベス大統領は独裁者である

(イ) そうである 51%
(ロ) そうではない 47%
(ハ) わからない/無回答  2%

(2)チャベス大統領の施政は良いものであり、続けていくべきである

(イ) そうである 45%
(ロ) そうではない 52%
(ハ) わからない/無回答  3%

(3)道路、橋、空港、病院及び学校の中央政府への管轄移行等の中央集権化政策によって、生活の質は改善するか悪化するか

(イ) 下位低所得者層 (@) 改善する 44%
    (A) 悪化する 43%
         
(ロ) 上位低所得者層 (@) 改善する  32%
    (A) 悪化する 53%
         
(ハ) 下位中所得者層 (@) 改善する 34%
    (A) 悪化する 49%
         
(ニ) 中間中所得者層 (@) 改善する 26%
    (A) 悪化する 64%
         
(ホ) 上位中所得者層 (@) 改善する 18%
    (A) 悪化する 75%

(4)政府の対応が不十分であると考える国内問題

(イ) 犯罪 80%
(ロ) 麻薬 64%
(ハ) 汚職 62%
(ニ) 物価上昇 61%
(ホ) 失業 53%
(ヘ) 貧困 49%
(ト) 住宅供給 43%

(5)国内状況に対する認識

(イ) 少しずつ良くなっている  46%
 

(本年度第1四半期

56%)
(ロ) 現時点における現状はあまり良くない/大変悪い 54%

 

 

 

 

外 交

     

1.ラミーレス・エネルギー石油大臣兼PDVSA総裁の訪日

29日、ラミーレス・エネルギー石油大臣兼PDVSA総裁が訪日し、チャベス大統領が訪日した際に締結したエネルギー協力に関する合意を進展させるため、麻生総理及び二階経済産業大臣と会談した。

         

              

2.対ラ米諸国関係

(1)対コロンビア関係

1日、チャベス大統領は、ウリベ・コロンビア大統領が4月29日にベネズエラとの国境付近におけるコロンビア国軍とFARCの武装対立後、FARC関係者が国境を越えてベネズエラ側に避難したとし、ベネズエラ政府に対して逮捕への協力を呼びかけていた件に関して、ベネズエラの主権を侵害する軍事侵入は認めないとの立場を維持するとし、ウリベ大統領に対し、ベネズエラ国軍がゲリラの越境を許容しないことを保証したいと述べた。

(2)対アルゼンチン関係

(イ)15日、チャベス大統領はアルゼンチンを訪問し、フェルナンデス大統領と首脳会談し、13の協定を締結した。

(ロ)27日外務省は、21日にチャベス大統領が亜Techint社が出資する製鉄企業の国有化を発表したことに関し、声明を発表した。

(3)対エクアドル関係

23日、チャベス大統領はエクアドルを訪問し、コレア大統領と会談し、過去に合意された各種文書の見直し及び、二国間協力に関する新合意文書への署名を行った。

(4)対ブラジル関係

26日、チャベス大統領はブラジルを訪問し、ルーラ大統領と会談し、12の合意に署名を行うと共に、同日に契約期限を迎えた、ベネズエラ石油公社(PDVSA)及びPetrobras間のアブレウ・デ・リマ精油所建設合意に関して、右計画が進展していないことから同合意の効力を90日間延長する旨決定した。

(5)対エルサルバドル関係

19日、フネス次期エルサルバドル大統領がベネズエラを訪問し、特にエネルギー及び公衆衛生分野に於ける二国間協力に関して、チャベス大統領と会談した。チャベス大統領は両国間協力プロジェクトを開始し進展させるため、二国間委員会を創設する旨発表した。また20日には、6月1日に行われるフネス大統領の就任式に出席する旨発表した。

(6)対グアテマラ関係

(イ)8日、ロダス・グアテマラ外務大臣がベネズエラを訪問し、マドゥーロ外務大臣と会談した。右会談では特にエネルギー分野を始めとする合意枠組みの中で、両国が関心のあるテーマについて再検討し、外交的及び技術的な協力を促進させ、二間関係の強化及び深化を図ることで合意した。

(ロ)13日、グアテマラで発生した弁護士殺害事件に関して、チャベス大統領はコロン大統領を支援する姿勢を示し、「国際的富裕勢力に支援されているグアテマラ極右勢力が、民主主義及び進歩主義の政府を攻撃している」と発言した。

(7)対ホンジュラス関係

13日、ロダス・ホンジュラス外務大臣がベネズエラを訪問し、マドゥーロ外務大臣と会談した。右会談では、特に経済、通商、エネルギー及び文化分野に於ける協力メカニズムを遂行するための二国間合意の再検討及び、米州ボリーバル代替構想(ALBA)を通した地域統合プロセスの推進等に関する議論を行った。

(8)対多国間関係

25日、カラカスにおいてALBA外相会合が開催され、マドゥーロ・ベネズエラ外相、チョケウアンカ・ボリビア外相、ロドリゲス・キューバ外相、ロダス・ホンジュラス外相、ティモシー・ドミニカ企画開発相、モンカダ・ニカラグアOAS大使、フランシス・セントビンセント及びグレナディーン諸島統一労働党党首、フランシスエクアドル外務省二国間問題担当次官が参加し、地域の関心テーマ、キューバの再加盟問題を含む次回OAS総会への対処方針、前回ALBA首脳会合の成果、域内各種会合におけるALBAの役割、経済危機の分析、共通通貨SUCREやALBA銀行の進展等について協議された。

 

   

       

3.対ロシア関係

4日、国会でロシアとの原子力協力協定が批准され、官報で公布された。同協定は、ウラン及びトリウムの探査・開発、核拡散防止条約に基づくその平和利用(核施設開発、核施設及び放射性物質の安全管理、核原子炉利用のための部品製造、放射性同位元素の製造及びその工業、医療、農業への利用等)に関する両国間の協力を定めている。

    

 

4.対南アフリカ関係

9日、ベネズエラ政府は、ズマ南アフリカ新大統領就任に対する祝辞を発出した。

 

 

5.対国際機関関係

(1)米州人権委員会(CIDH)の年次報告書

(イ)CIDHは08年年次報告を発表し、その中で5年連続でベネズエラを第4章「人権状況について特別な注意が必要な国」に位置づけ、キューバ、ハイチ及びコロンビアと並んで、人権擁護及び遵守の改善が必要であるとした。同報告書は、同年中、ベネズエラ国内に政治上の相違に対する敵対的風潮、表現の自由に対する障壁、NGOへの攻撃、司法の不透明性に対する訴え、犯罪率の高さが見られたが、これに対して政府が方策をとっていない点を指摘しており、また人権侵害状況調査のためにCIDHが現地を訪問することについて政府との間で合意に至らなかったことを強調している。

(ロ)9日、チャベス大統領は、CIDHによる報告書を拒否し、このような状態が続くのであればOASの存在自体に疑問を呈さなければならないと述べ、OASから脱退し、ラ米諸国による新たな機構を創設することを呼びかけることもありうると述べた。

(2)国連及びCIDHの共同声明

(イ)21日、ラ・ルエ国連表現の自由委員会委員及び、ボテロ米州人権委員会委員は、ベネズエラ政府によるグロボビシオン局及び他の国内民間メディアに対する昨今の対応について、同国の表現の自由を脅威にさらすとの懸念を共同声明に於いて発表した。

(ロ)同日バレロ国連大使兼北米・多国間問題担当外務次官は、右声明を拒絶すると表明し、加盟国を攻撃するためにこれら国際機関を利用することは容認できないと発言した。

 

 

 

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