1.対ラ米関係
(1)対コロンビア関係
ア.15日,シルバ・コロンビア国防大臣は,軍諜報部の調査により,FARC及びELNの幹部らがベネズエラ領内に潜伏しているとの情報をビデオ等による証拠を元に公表した。
イ.16日,ベネズエラ外務省は,ウリベ政権による新たなベネズエラに対する攻撃を拒絶するとしたコミュニケを発出した。また,チャベス大統領は,新コロンビア政権とは良い関係を構築する意志と信頼があると発言したものの,ウリベ政権のようなベネズエラに対する攻撃が続けられるようであれば,二国間関係の断絶もあり得ると警告した。
ウ.22日,コロンビア政府が本件に関してOAS緊急会合の開催を要請したことを受けて,チャベス大統領は,コロンビアとの外交関係を断絶する旨発言し,外務省は南米諸国連合(UNASUR)緊急外相会合の開催を議長国エクアドルに要請した。
エ.29日、エクアドルは、ベネズエラ・コロンビアの外交関係断絶問題を取り扱うため、UNASUR緊急外相会合を開催したものの,本問題解決の最終合意には至らず,両国関係は緊張が続いている。
(2)対エクアドル関係
ア.5日,コレア大統領は,ベネズエラを訪問し,チャベス大統領と共にベネズエラ独立199周年記念式典に出席し,その後議会の特別セッションで演説を行った。
イ.6日,チャベス大統領は,コレア大統領と3ヶ月ごとの定期会合を行い,政治的対話及び二国間関係の強化,ALBA及びUNASUR等の地域間メカニズムの推進,国産品促進及び食糧主権の保障を目的等について議論し,協力合意が締結された。また,同日から両国間でのSUCRE取引が開始され,初取引はベネズエラCASAコーポーレーションがエクアドル貿易振興銀行から5,400トン分の籾殻付き米の購入,総額189万4,015SUCRE(615万4,200BsF=236万7,000USD相当)となった。
(3)対ガイアナ関係
21日,当国を公式訪問したジャグディオ・ガイアナ大統領が,チャベス大統領と会合し,ベネズエラから5,000バレル/日の原油供給の合意を始めとする,11項目からなる共同宣言を発表した。また,チャベス大統領は両国間の領土係争地域に関しては,国連の仲介メカニズムにより本問題の議論が再開することは喜ばしく,仲介として任命されているジルバン氏をベネズエラに招待していると発言した。さらにジャクディオ大統領がALBAへオブザーバー参加を行う意志を表明したと述べ,更にボータッセ次期スリナム大統領も同様の可能性を示していることを明らかにした。
(4)対エルサルバドル関係
ア.マドゥーロ外務大臣とマルティネス・エルサルバドル外務大臣との会談
4日,マドゥーロ外務大臣は,当国を訪問していたマルティネス・エルサルバドル外務大臣と会談し,「ミッション・ミラグロ」をエルサルバドル人に対しても行う協定を含む,政治及び社会分野での相互協力に関する3つの合意に署名した。
イ.フランシスコ・チャベス・アバルカの逮捕
(ア)2日,チャベス大統領は,キューバ政府に対するテロリストとして知られるルイス・ポサーダ・カリーレスと共に,同国でテロ活動を行っていたとされるエルサルバドル人のフランシスコ・チャベス・アバルカを偽造パスポート所持の疑いで,1日,カラカス・マイケティーア空港で逮捕したと発表した。
(イ)7日,アイサミ内務司法大臣は,外務省及び内務司法省によって,同容疑者をキューバに引き渡したと述べ,同容疑者がベネズエラ当局によって誘拐されたと主張する同容疑者の妻の訴えを否定した。
(5)多国間関係
3日,カラカス市内において,北米抜きのラ米・カリブ地域機構の創設を目的とするラ米・カリブ首脳会合に向けた準備会合であるラ米・カリブ外務大臣会合(CALC)が開催された。同準備会合において,ラ米・カリブ諸国共同体(Comunidad
de Estados Latinoamericanos y Caribenos:CELAC)の創設が同意され,ベネズエラ及びチリが2010−2012年の共同議長となることに合意し,右共同体を支援する作業グループを創設する旨決定した。 |