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  ベネズエラ・マンスリー政治情報(平成22年7月)

 

政 治 概 況

1.内  政

(1)5日,チャベス大統領は,ウロサ・カラカス枢機卿は社会主義を支持・推進している国民に恐怖を与えるため,枢機卿として相応しくないと発言。

(2)27日,ウロサ枢機卿は,国会議会調整委員会に招致され、非公開討論の場で、チャベス大統領が進める社会主義計画を批判。

(3)28日,カルロス・オソリオ・サンブラーノ氏が食糧大臣に任命。
 

2.外 交

( 1)13日,外務省は,蘭空軍機がベネズエラ領空を侵犯したとして,蘭政府に対し断固抗議するとした文書を発出。14日,蘭政府は右事実を否定。

(2)21日,ココイトゥイ・南オセチア大統領及び,バガプシュ・アブハジア大統領がそれぞれ当国を公式訪問し,23日にはチャベス大統領と三者会談を実施。

(3)22日,コロンビア政府がベネズエラ国内でのコロンビアゲリラ潜伏を討議するようOAS緊急会合の開催を要請したことに対し,チャベス大統領は,コロンビアとの外交関係を断絶すると発言。

             

内 政

1.チャベス大統領とカトリック教会の対立

(1)5日,チャベス大統領は,自分はカトリック教会を尊重しているとしつつも,ウロサ・カラカス枢機卿は社会主義を進める国民に恐怖を与え,枢機卿として相応しくないと述べ,当地バチカン大使に対して,このような司教らのために,我々国民と教会との距離が離れてしまったと発言した。

(2)7日,ローマを訪問中のウロサ枢機卿は,自身への攻撃を拒絶した上で,政府が社会主義モデルを推進していることで民主主義がないがしろにされていることに懸念を表明していると批判した書簡を発出した。

(3)11日,チャベス大統領は,教会が暴力的な環境を生み出し,長年にわたり国家を支配し続け,政治的な役割を担ってきたと批判した。これに対し,同日ローマから帰国したウロサ枢機卿は,政府とのこれ以上の論争は望まず,和平と国民の連帯のために代弁することが自分の役割であると発言した。

(4)13日,チャベス大統領は,マドゥーロ外務大臣に対し,1964年にベタンクール大統領(当時)の元で合意されたバチカンとの協定を専門家らと共に見直すよう要請し,カトリック教会だけがこの協定によって特権を有しており,右は憲法を侵害しているとの考えを示した。

(5)20日,チャベス大統領は,ドミニク・マンベルティ・バチカン外務長官よりマドゥーロ外務大臣が電話を受け,同大統領が昨今言及しているバチカンとの協定見直しについて多大な懸念が表明された旨明らかにした。

(6)27日,国会議会調整委員会がウロサ枢機卿を招致し、非公開討論を行った。右において,同枢機卿は、同大統領が進める社会主義計画を批判する文書を読み、意見を述べる権利を訴えつつも,チャベス大統領に対する批判を行ったことはなく、国家組織を尊重している旨強調した。これに対し、フローレス国会議長は、議員の様々な意見を聞くウロサ枢機卿の姿勢を評価し、同枢機卿の招致は良いものであったと一度は評価したが,29日になり国会は,ウロサ枢機卿によるチャベス大統領及び国家組織に対する組織的な攻撃を批判するコミュニケを発出した。

                  

      

2.2010年国会議員選挙

 当地調査会社であるHinterlaces社(比較的中立)による、9月26日に予定されている国会議員選挙に対する動向は以下の通り。投票に行くと回答した割合が80%を超えており,国民の高い関心が伺える。

(1)国会議員選挙に投票に行くか
  ア.投票に行く       70%
  イ.おそらく投票に行く   11%
  ウ.まだわからない      8%
  エ.おそらく投票に行かない  4%
  オ.投票に行かない      6%
  カ.回答          1%

(2)国会議員選挙における投票傾向
  ア.チャベス派候補     27%
  イ.反政府派候補      28%
  ウ.独立派         22%
  エ.無回答/投票しない    13%
  オ.未定          10%

 

 

 

3.閣僚の交替

 28日,政府は,フェリックス・オソリオ大臣に替わり,カルロス・オソリオ・サンブラーノ氏を食糧大臣として任命した。

 

4.キリスト教社会党(Copei)の新党首任命

 20日,Copeiは,5月2日に行われた党内選挙によって選出されたロベルト・エンリケス氏を党首として任命した。

 

外 交

1.対ラ米関係

(1)対コロンビア関係

ア.15日,シルバ・コロンビア国防大臣は,軍諜報部の調査により,FARC及びELNの幹部らがベネズエラ領内に潜伏しているとの情報をビデオ等による証拠を元に公表した。

イ.16日,ベネズエラ外務省は,ウリベ政権による新たなベネズエラに対する攻撃を拒絶するとしたコミュニケを発出した。また,チャベス大統領は,新コロンビア政権とは良い関係を構築する意志と信頼があると発言したものの,ウリベ政権のようなベネズエラに対する攻撃が続けられるようであれば,二国間関係の断絶もあり得ると警告した。

ウ.22日,コロンビア政府が本件に関してOAS緊急会合の開催を要請したことを受けて,チャベス大統領は,コロンビアとの外交関係を断絶する旨発言し,外務省は南米諸国連合(UNASUR)緊急外相会合の開催を議長国エクアドルに要請した。

エ.29日、エクアドルは、ベネズエラ・コロンビアの外交関係断絶問題を取り扱うため、UNASUR緊急外相会合を開催したものの,本問題解決の最終合意には至らず,両国関係は緊張が続いている。

 

(2)対エクアドル関係

ア.5日,コレア大統領は,ベネズエラを訪問し,チャベス大統領と共にベネズエラ独立199周年記念式典に出席し,その後議会の特別セッションで演説を行った。

イ.6日,チャベス大統領は,コレア大統領と3ヶ月ごとの定期会合を行い,政治的対話及び二国間関係の強化,ALBA及びUNASUR等の地域間メカニズムの推進,国産品促進及び食糧主権の保障を目的等について議論し,協力合意が締結された。また,同日から両国間でのSUCRE取引が開始され,初取引はベネズエラCASAコーポーレーションがエクアドル貿易振興銀行から5,400トン分の籾殻付き米の購入,総額189万4,015SUCRE(615万4,200BsF=236万7,000USD相当)となった。

 

(3)対ガイアナ関係

 21日,当国を公式訪問したジャグディオ・ガイアナ大統領が,チャベス大統領と会合し,ベネズエラから5,000バレル/日の原油供給の合意を始めとする,11項目からなる共同宣言を発表した。また,チャベス大統領は両国間の領土係争地域に関しては,国連の仲介メカニズムにより本問題の議論が再開することは喜ばしく,仲介として任命されているジルバン氏をベネズエラに招待していると発言した。さらにジャクディオ大統領がALBAへオブザーバー参加を行う意志を表明したと述べ,更にボータッセ次期スリナム大統領も同様の可能性を示していることを明らかにした。

 

(4)対エルサルバドル関係

ア.マドゥーロ外務大臣とマルティネス・エルサルバドル外務大臣との会談

 4日,マドゥーロ外務大臣は,当国を訪問していたマルティネス・エルサルバドル外務大臣と会談し,「ミッション・ミラグロ」をエルサルバドル人に対しても行う協定を含む,政治及び社会分野での相互協力に関する3つの合意に署名した。

イ.フランシスコ・チャベス・アバルカの逮捕

(ア)2日,チャベス大統領は,キューバ政府に対するテロリストとして知られるルイス・ポサーダ・カリーレスと共に,同国でテロ活動を行っていたとされるエルサルバドル人のフランシスコ・チャベス・アバルカを偽造パスポート所持の疑いで,1日,カラカス・マイケティーア空港で逮捕したと発表した。

(イ)7日,アイサミ内務司法大臣は,外務省及び内務司法省によって,同容疑者をキューバに引き渡したと述べ,同容疑者がベネズエラ当局によって誘拐されたと主張する同容疑者の妻の訴えを否定した。

(5)多国間関係

 3日,カラカス市内において,北米抜きのラ米・カリブ地域機構の創設を目的とするラ米・カリブ首脳会合に向けた準備会合であるラ米・カリブ外務大臣会合(CALC)が開催された。同準備会合において,ラ米・カリブ諸国共同体(Comunidad de Estados Latinoamericanos y Caribenos:CELAC)の創設が同意され,ベネズエラ及びチリが2010−2012年の共同議長となることに合意し,右共同体を支援する作業グループを創設する旨決定した。

   

       

2.対欧州関係

(1)対オランダ関係

ア.蘭空軍機のベネズエラ領空侵犯疑惑

(ア)13日,外務省は,7月4日から7日にかけてベネズエラ警備・防衛システムが,3度にわたり,蘭空軍機の領空侵犯を認めたとして,蘭政府に対し,良好な両国関係のためにも,このような挑発的行為をやめるよう断固抗議するとした文書を発出した。

(イ)14日,チャベス大統領は,蘭軍機の領空侵犯には証拠があると発言すると共に,米国が基地を利用しているアルーバ及びキュラソー島(両島とも蘭領)における戦闘機数が増加していると指摘した。これに対して,同日,ラ・ハージャ蘭国防省スポークスマンは,今次抗議は「ばかげたこと」であり,蘭軍機はベネズエラ領空を侵犯してもいないし,近づいてもいないと発言した。

イ.フェルハーヘン蘭外務大臣の当国訪問

 16日,マドーゥロ外務大臣は,当国を訪問したフェルハーヘン蘭外務大臣と会談し,経済,社会,安全,麻薬撲滅等両国間で関心のあるテーマに関し,共同声明を発出した。今次会合に関し,マドゥーロ外務大臣は,ベネズエラ及びアルーバ,キュラソー島間の航空協力協定締結に向けて共同作業を開始すると発言し,フェルハーヘン外務大臣もこのような会合が両国関係の強化を図るものであると評した。

 

(2)対セルビア関係

 6日,イェレミッチ・セルビア外務大臣が当国を訪問して,マドゥーロ外務大臣と会談し,農業・食糧分野での計画を立案するための二国間作業部会の設置等,両国が関心のあるテーマについて議論し,政治及び教育分野にかかる2つの協力文書に署名した。

 

(3)対南オセチア及びアブハジア関係

21日,ココイトゥイ・南オセチア大統領及び,バガプシュ・アブハジア大統領が各々当国を公式訪問し,23日にはチャベス大統領と共に三者会談を行い全8文書に署名した。

 

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