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ベネズエラ・マンスリー経済情報(平成21年3月)

 

      


 

  経済概要

(1)経済一般

  • 4日、中央銀行は、3月の全国消費者物価指数(IPC)が1.3%、過去1年間のインフレ率が28.8%に低下したと発表した。
    カナン農業土地省農業経済担当副大臣兼ベネズエラ農業銀行総裁は、財務省を通じて最大40億ボリーバル・フエルテの国債を発行すると発表した。

  • チャベス大統領は、政府予算算定ベース石油価格の下方修正、付加価値税(IVA)の引き上げ等の新経済対策を発表し、右に基づき、09年度政府予算の修正、政策金利の変更等が実施された。

(2)対日関係

  • 19日、ラミレス・エネルギー石油大臣が訪日し、両国間の各種エネルギー協定に署名した。

(3)エネルギー・資源

  • ベネズエラ石油公社(PDVSA)は、アルゼンチン、ポルトガル、米国及び日本の企業と、天然ガスの液化及び輸送を行う合弁会社設立に関し、東デルタ・カリブ・プロジェクトに関する2つの仮操業協定に調印した。

  • エネルギー石油省は、ベネズエラの原油埋蔵量が1,720億バレルに増加したと発表した。

(4)国有化

  • チャベス大統領は、米国系Cargill社のについて、価格統制米を生産していないことを理由に、同社の精米工場接収を命ずる大統領令を公布した。

  • チャベス大統領が、Smurfit Kappa Carton de Venezuela社の土地を接収することを発表した。

  経済の主な動き

(1) 経済一般

(イ)インフレ率

  • 3日、中央銀行は、3月の全国消費者物価指数(IPC)が1.3%となり、IPC調査を始めた08年1月以来最低数値を記録したと発表した。また、これにより2ヶ月連続でインフレ率が低下したことになり、過去1年間のインフレ率も28.8%に低下した。

  •  前月比で物価上昇の減速が見られた分野は、食糧・非アルコール飲料(3.0%→0.2%)、アルコール飲料・タバコ(2.1%→0.4%)、住居賃貸料(1.0%→0.4%)、娯楽・文化(2.3%→1.5%)、教育サービス(1.7%→1.5%)、レストラン・ホテル(2.8%→2.6%)、保健(3.6%→2.8%)となり、中央銀行は、中でも食料価格低下は特に貧困層にとって重要であると指摘した。また、国内主要10都市及びその他の地域すべてにおいてインフレ率が低下した。

(ロ)国債発行

  • カナン農業土地省農業経済担当副大臣兼ベネズエラ農業銀行総裁は、財務省を通じて最大40億ボリーバル・フエルテの国債を発行すると発表した。

  • 同副大臣は、今次国債の販売代金は、ベネズエラ農業銀行及び社会主義農業開発基金の資本に組み込まれ、サモーラの農場、地域社会又は様々な戦略生産センターにおける政府の特別プロジェクトの一環として、生産者に有利な条件で貸付が行なわれると説明した。同副大臣は、上記金融機関の優遇措置として3%及び4%の金利、長い返済期間、及び6〜48ヶ月の支払い猶予期間を挙げた。また、政府の優先分野である白トウモロコシ、米、モロコシ、大豆、ヒマワリ栽培の他、トマト、タマネギ及びパプリカ栽培のための温室建設に重点が置かれるとされる。

(ハ)食品に関する価格統制品目の生産比率

  • 政府は、Polar社及びIancarina社の2つの精米工場に介入した後、2日付け官報において、食用油、米、砂糖、コーヒー(焙煎挽豆)、トウモロコシ粉、粉ミルク、低温殺菌牛乳、マーガリン、マヨネーズ、パスタ、チーズ及びケチャップに関する価格統制品目の生産比率(食用油、砂糖、コーヒー、チーズ、ケチャップ:価格統制品95%、トウモロコシ粉、粉ミルク、低温殺菌牛乳、マーガリン、マヨネーズ:同90%、米:同80%、パスタ:同70%)を発表した。当該措置は、1月13日に出された食糧に対する政府のコントロール・メカニズムを定めた決議を補完するものであり、例外を除いて農業に携わる全ての法人・自然人に義務づけられる。

  • なお、精米工場への介入に関し、エドゥアルド・サマンIndepabis(注:「財及びサービスへのアクセス法」の監督官庁)総裁は、グアリコ州カラボソのPrimor社(Polar社の精米会社)の工場を再稼働すると伝えた。Indepabisは、プレスリリースで職員に対して一連の安全対策を指示し、多くの価格統制米の生産を再開するために同社施設の燻蒸消毒に着手したと発表した。Indepabisは、2月28日、チャベス大統領が価格統制米を生産していないことを理由に全精米工場への介入を命じたことを受け、同日よりPrimor社への介入を行っていた。ハウア農業土地大臣によれば、同社等は、加工米を生産することで価格統制を回避していた由。

  • 他方、カルロス・オソリオ穀物貯蔵庫監督庁長官は、ポルトゲサ州トゥレンのIancarina社の精米工場(Arroz Mary社)の査察を実施し、政府は工場の接収や経営の支配を行っているわけではなく、操業を監督していると強調した。オソリオ長官によれば、同社は価格統制品を90%、非価格統制品を10%生産しなければならず、この決議が2日に官報に掲載されると述べた。

  • また、同長官は、数ヶ月前に、生産を価格統制米が80%、その他が20%と口頭で合意されていたが、これを無視し生産ラインを逆に変更したいくつかの農産加工企業があったため、介入が命じられたと説明した。

  • カストロ・ポルトゲサ州知事は、介入によって工場の操業に変更はなく、政府と同社の代表で構成される混合委員会が90日間生産・供給部門を監督するだけであり、会社の経営に影響はないと述べた。

  • ハウア農業土地大臣は、今次介入は政府による私的所有権の否定を意味するものではなく、また生産の中断を意図したものではないと述べた。コントレラス軽工業貿易大臣は、Arroz Mary社及びPolar社が政府の要求を受け入れない場合、接収手続きを適用する可能性があると警告した。

(ニ)チャベス大統領による「新経済対策」の発表

  • 21日、チャべス大統領は、経済対策の一環として、09年政府予算の算定ベースである原油価格を60ドル/バレルから40ドル/バレルに引き下げ、付加価値税(IVA)の税率を現行の9%から12%に引き上げると発表した。また、OPECの減産決定により、09年の原油生産量の目標は、360万バレル/日から317.2万バレル/日に引き下げると述べた。

  • また、同大統領は、09年政府予算を1,674.74億ボリーバル・フエルテ(約778.94億ドル)から1,563.88億ボリーバル・フエルテ(約727.38億ドル)に6.7%削減すると発表したが、為替レートの切り下げ及びガソリン価格の値上げの実施については否定した。この他、今回発表された経済対策には借入の増額も含まれ、対内借入金額は当初予算の120億ボリーバル・フエルテ(約55.81億ドル)から340億ボリーバル・フエルテ(約158.13億ドル)に増加する。

  • 更に、右目標を達成するために大統領令が公布され、経費の厳密な運用、贅沢な出費の削減及び、公共機関及び政府高官の給与の調整が行われる予定である。チャベス大統領は、最高裁判所の判事及び全国選挙評議会の幹部の給与を見直すと述べるとともに、経済閣僚に対して、特に付加価値税(IVA)及び所得税の徴収効率を上げるよう求めた。

  • 他方、チャベス大統領は、最低賃金を5月1日と9月に2回に分けてそれぞれ10%引き上げると述べた。これにより09年末の最低賃金は967.06ボリーバル・フエルテ(約450ドル)となる。

  • また、ジョルダーニ企画開発大臣は、不可欠な輸入に外貨を充てるため、外貨管理委員会(CADIVI)のドルの割り当てを制限すると述べた。同大臣によれば、政府は更なる経済対策を発表する予定であり、同週経済担当閣僚は食糧、資本及び中間財等の優先分野に対するドルの引き渡しを確保するため、外貨割り当て制限計画をチャベス大統領に提出する予定であると述べた。ジョルダーニ大臣は、「外貨が不足しているため、優先輸入品を設定しなければならない。国民が必要としない品目を輸入する者は税金を支払うべきである」と述べ、政府が優先しない輸入品に対する追加的な税金が検討されていることを明らかにした。

(ホ)09年政府修正予算

  • 26日、国会は09年政府予算法、公的部門資金管理法及び借款法の修正を承認した。この修正は、チャベス大統領が、前週発表した経済危機に対応するための経済対策の一部で、今次予算の修正は、公布手続きのために大統領府に送られ、4月1月から発効する。

  • 09年政府予算の変更には、石油価格の引き下げ(60ドル/バレルから40ドル/バレル)、付加価値税(IVA)の税率の引き上げ(9%から12%)及び借入の増加(120億ボリーバル・フエルテから370億ボリーバル・フエルテに増加、チャベス大統領が発表した金額より30億ボリーバル・フエルテ多い)が含まれている。

  • しかし、修正予算ではIVAの税率は承認されたものの、チャベス大統領が発表した予算額の削減は承認されていない。政府は、国会に対して、歳入と歳出の関係を記載した予算書第2章の変更を可能にする資料を提出しなかった。サンギーノ国会財務委員会委員長は、確定した数字ができていないため、国家予算局(Oficina Nacional de Presupuesto)が必要な調整を行うと述べた。

  • 同委員長によれば、借入が増加したことから、予算総額は、チャベス大統領が発表した金額より30億ボリーバル・フエルテ多い1,593.8億ドルになる見込みである。これによれば、政府当初予算は、チャベス大統領が発表した6.7%ではなく、5%削減されることになる。

  • 政府が国会に提出した資料によれば、石油収入は当初予算比51.4%減の378.2億ボリーバル・フエルテ、非石油収入は同9%増の842.3億ボリーバル・フエルテになる。非石油収入の増加は4月1日からのIVAの税率の引き上げによるものであり、同税収は68.3億ボリーバル・フエルテ増加の417.5億ボリーバル・フエルテとなる。

(ヘ)天然ガス対応自動車の販売開始

  • 31日、エネルギー石油省は、4月1日より自動車輸入会社、製造会社及び組立会社は、天然ガス対応自動車(天然ガス及びガソリンの両方に対応できる自動車)の販売を開始しなければならないと発表した。

  • 08年7月7日付官報第38967号によれば、各社は、09年12月31日までに、生産及び輸入台数の最低30%、10年までに同40%、11年までに同50%を天然ガス対応にしなければならない。
    PDVSAは、天然ガス対応に必要な装置の取得・輸入に係る費用を負担する。

(ト)政策金利の変更

  • BCVは、新経済対策に基づき、経済成長を支え、雇用を維持し、生産活動への資金供給を促進するため、以下のとおり政策金利の変更を決定した。今次変更は、4月1日より実施される。

@BCVによる通貨の回収金利(28日間:8%、56日間:9%)

ABCVの市中銀行に対する貸付金利(32%→31.5%)

B市中銀行の最高貸付金利(26%)

Cクレジットカードの最高貸付金利(32%→31%)

D普通預金最低金利(13%→14%)、定期預金最低金利(14%→16%)

    

(2)対日関係

  • 19日訪日したラミレス・エネルギー石油大臣兼PDVSA総裁は、麻生総理との会合の後、ベネズエラの石油・ガスプロジェクトへの日本企業の進出が拡大する見込みであると述べた。

  • ラミレス大臣の麻生総理との会合は、同大臣と二階経済産業大臣との間でエネルギー協力協定が調印された後に実現した。この協定により、両国は人材の養成、技術支援、石油・ガスの探鉱、生産及び供給の分野で協力する準備が整った。また、精油所及び石油化学工場の拡張・操業に関する協力についても合意がなされ、関係の緊密化が確認された。

  • ラミレス大臣は、日本はベネズエラの膨大な埋蔵量を利用できると述べ、日本企業が多く進出すれば、同国への原油供給が確保されるであろうと述べた。また、二階経済産業大臣は、「ベネズエラは天然資源が豊富な国であり、日本のエネルギー企業は世界最大の原油埋蔵量があるオリノコ・ベルト地帯の開発に高い関心を持っている」と述べた。

  • 更に、ラミレス大臣は、訪日の第1日目に、渡辺JBIC総裁及び与謝野財務大臣と会合し、ビジネス機会のレビューを行った。

  • また、ラミレス大臣との会合で、多くの日本企業がベネズエラにおけるエネルギー・プロジェクトの実施に関心を示した。ラミレス大臣は三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、JOGMEC及びINPEXの社長と会談し、石油・ガス及び石油化学分野等における共同事業の機会について話し合った。

  • ラミレス大臣は、「両国間関係はより高いレベルのものとなるであろう。日本は石油の大消費国であり、ベネズエラは大産油国である。よって、ベネズエラは日本が必要とする多くの石油を供給することができる」と述べた。

   

 

(3)エネルギー・資源

(イ)天然ガス液化施設仮契約に係る仮契約の締結

  • PDVSAは、アルゼンチン、ポルトガル、米国及び日本の企業と、天然ガスの液化及び輸送を行う合弁会社の設立における重要な進捗の一部として、東デルタ・カリブ・プロジェクトに関する2つの仮操業協定に調印した。

  •  ラミレスエネルギー石油大臣は、2億ドルの投資が必要とされる基本技術設計は09年に終了し、天然ガス液化施設(LNG施設)の建設には総額120億ドルが投下されると説明した。

  • 2つの合弁会社が、それぞれ各1系列のLNG施設及びパイプラインの設計、建設及び運営を行い、LNG施設はスクレ州グイリアのグラン・マリスカル・デ・アヤクーチョ(CIGMA)コンビナート内に建設される。LNG施設は288億立方フィートの天然ガスを処理し、この内、140億立方フィートはデルタナ・プラットフォーム、148億立方フィートはマリスカル・スクレから供給される予定である。

  • 合弁企業の株式所有比率は、第1生産系列がPDVSA60%、Galp Enegia SGPS(ポルトガル)15%、Chevron Global Technology Services(米国)10%、 三菱商事・三井物産5%、第2生産系列は、PDVSA60%、Galp Energia SGPS15%、Energia Argentina10%、伊藤忠商事10%、三菱商事・三井物産5%である。

  • 仮操業協定は、調印した企業の権利・義務を定めるものであり、合弁企業の設立及び運営のための契約の基となるものである。仮契約期間に、技術概念設計、基本技術設計、天然ガス生産者及びLNGの顧客との間の仮売買契約の締結等が行われる予定である。

  • 東デルタ・カリブ・プロジェクトの総投資金額は、海洋のブランキージャ及びトルトゥガ鉱区の開発、並びにLNG第3生産系列を含めると、196億4900万ドルと見積もられる。第1生産系列の投資額は64.1億ドル、生産能力470万トン/年、第2生産系列は投資額52.09億ドル、生産能力470万トン/年が予定されている(投資額にはガス田開発費用も含まれる)。第1及び第2生産系列の商業生産は2014年から始まり、輸出先は、南米、ヨーロッパ、カリブ及びアジアが予定されている。

  • LNG合弁会社の設立は、「石油の種まき計画」における「ガス革命」の一部を実現するものであり、これによりベネズエラは、天然ガス埋蔵国として世界第8位から第4位となり、天然ガス生産量は07年の63億立方フィート/日から2012年には115億フィート/日に増加する見込みである。

  • (ロ)原油埋蔵量の引き上げ

  • エネルギー石油省は、従来の地域及びオリノコ・ベルト地帯(アヤクーチョ第6鉱区、カラボボのSINOVENSA及びPDVSA BITORの合弁企業の鉱区、フニン第5、6鉱区等)の209.58億バレルが加わり、ベネズエラの原油確認埋蔵量が1,723.23億バレル(注:2008年12月末現在)に達したと発表した。08年にベネズエラの原油確認埋蔵量は741.43億バレル増加した。

  • 同省によれば、ベネズエラの原油確認埋蔵量は、ボリーバル革命が始まった1998年には僅か761.08億バレルであり、2005年までは800億バレルへの微増のみであった。しかし、オリノコ・ベルト地帯オリノコ・マグナ・レセルバ社会主義プロジェクトの評価・確認作業の結果、カラボボ第1、2、3及び4鉱区における200億バレルが追加され、確認埋蔵量は2006年に997.73億バレルに達した。

  • オリノコ・マグナ・レセルバ社会主義プロジェクトは、2009年に1,414.32億バレルの追加埋蔵量を予定しており、これによってベネズエラは3,140万バレルの原油確認埋蔵量を有する世界最大の原油埋蔵国となる見込みである。

 

(4) 国有化

(イ)米国系Cargill社精米工場の接収

  • 4日、チャベス大統領は、米Cargill社の精米工場が、価格統制米を生産していないことが明らかになったとし、新たに定められた基準である80%の価格統制米を生産していないことを理由に、Cargill社の精米工場接収手続きと違法行為による司法調査の開始を命じ、その後、同社の精米工場を接収する大統領令を公布した。官報第39150号によれば、同工場の資産(設備・土地等)は、政府のものとなり、Corporacion Venezolana Agraria社(ベネズエラ農業公社)がその取得手続きを行う。また、大統領令は、同工場を食卓用の白米生産工場に転換すると定め、同工場が社会的な利用や地域の内的開発に供されることが明確にされている。

  • 同大統領によれば、Cargill社は2,400トンの味付け米及びその他の製品を製造し、価格統制米の2倍の価格で販売していた。

  • また、ハウア農業土地大臣は、接収手続きについて、国が経営及び操業のコントロールを得るためにまず工場を一時的に占拠すると説明した。同大臣によれば、「農産食品の安全と主権に関する基本法律」(昨年7月、大統領授権法に基づいて公布された大統領令のひとつ)において、食糧の生産事業は公共性があるとされるため、接収に関する大統領令に国会承認は不要であり、大統領の署名のみで足りると述べた。

  • チャベス大統領は、長年ベネズエラで工場を保有している外国企業を監視するよう求めるとともに、関係機関にトウモロコシ粉や米等の食品加工業者及びトイレット・ペーパー生産者に対する査察を強化するよう命じた。また、同大統領は、法律に違反する者は接収されるであろうと繰り返し述べた。

  • Cargill社は、市場において、油の50%、パスタの50%、パン屋用小麦粉の50%、米の7%(パーボイル米の25%)を供給しており、同社製品の30%はMercal及び社会プログラムに卸されている。

(ロ)Smurfit Kappa Carton de Venezuela社の土地の接収

  • 5日、チャベス大統領は、Smurfit Kappa Groupに属するSmurfit Kappa Carton de Venezuela社が所有するララ州エル・ピニャルの土地1,500ヘクタールに介入したと発表した。同大統領は、この土地ではユウカリが栽培されているが、国有化後はカラオタ豆、トウモロコシ、モロコシ、ユカ、ヤマノイモを生産する土地に変えると述べた。同大統領によれば、同州シモン・プラナス市の土地2,237ヘクタールの接収も予定されているが、所有者名は明らかにされていない。

  • Smurfit Kappa Carton de Venezuela社は、Smurfit Kappa Groupのベネズエラ現地法人であり、当国で1954年から工場を所有のうえ操業を行っている。Smurfit Kappa Groupは、アイルランドに拠点を置く梱包用紙材の大手企業であり、ヨーロッパの22カ国及びラテンアメリカの9カ国で事業を行っている。

  • チャベス大統領は、再度、Polar社を接収する可能性について言及し、「同社は憲法に違反しており、独占は許されない。同社は食品を生産してるため、同社の工場に介入した」と述べた。

(ハ)Banco de Venezuela、セメント産業国有化問題

  • 20日、チャベス大統領は国営テレビVTV局の放送において、国家公共銀行システム強化のため、サンタンデール・グループ(スペイン)系列の銀行Banco de Venezuelaの国有化を進めると発表した。大統領は右決定を軍事戦略に例え、国内外の困難な状況を前に立ち止まることはできないと述べた。

  • これに対してソルベス・スペイン経済・大蔵大臣は、ベネズエラにおける国有化の理由は正当化できるものではないと述べ、各企業は投資を行うにあたり、このような政府決定を考慮に入れるものだと指摘した。他方、ヒメネス中南米担当スペイン外交長官は、チャベス大統領は同銀行買収の意図を1年以上前から表明しており、サンタンデール・グループ側も価格について合意があれば同行売却に関心があるとしていた旨指摘し、懸念の必要はないと述べている。

  • また、Holcim社(スイス)は、同社のセメント・プラント国有化に対する補償支払いがなされておらず、右が93年11月に締結されたベネズエラ・スイス間相互投資促進保護協定に反するものであるとして、世銀国際投資紛争解決センターにベネズエラ政府に対する訴えを提起した。

  • 同社は昨年8月、ベネズエラ政府との間で国有化に係る補償支払いに関する覚書を結び、政府は同社プラントの株式85%の取得に対して5.52億ドルを支払うことで合意していた。Holcim社によれば、その後何ら合意は結ばれず、支払いもなされていなかったところ、昨年10月以降ベネズエラ政府からの連絡が途絶えたため、今回の措置に踏み切った由である。

 

 

  主要経済指標

(1)対外部門

(イ) 外貨準備高 (出所:ベネズエラ中央銀行(BCV))  

( i ) 中央銀行準備高 (億ドル)  

2008年                                                                         2009年

3月

4月 5月 6月 7月 8月 9 10月

11月

12月

1月 2月 3月
309.18 304.16 306.17 335.60 342.90 369.39 383.80 396.40 386.85 422.26 290.68 288.15 277.45

 

( ii )マクロ経済安定化基金FEM、億ドル)  

2008年                                  2009年

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月 3月

8.16

8.18

8.19

8.21

8.23

8.24

8.26

8.28 8.28 8.28 8.28 8.28 8.29

 

(ロ)石油輸出価格 (ドル/バレル、出所:エネルギー石油省(MEP)) 

2008年                                  2009年 

3月

4月

5月

6月

7月

8月 9月 10月

11月

12月

1月 2月 3月

95.1

88.38

109.68

117.4

129.5

107.1 93.5 69.5 44.9 31.6 36.2 36.1 42.7

   

(ハ)原油生産量 (万バレル/日、出所:石油輸出国機構(OPEC))  

2008年                                     2009年

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月 9月 10月

11月

12月

1月

2月
239.2 233.3 234.3 234.5 230.9 231.6 233.4 235.0 232.1 230.1 223.7 219.7 214.4

 

(ニ)非伝統輸出品 (百万ドル、出所:国立統計院(INE)(  

2007年       2008年

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月 9月 10月 11月
1,219 688 445 380 494 493 457 526 418 477 314 224 224

 (※)公共部門の石油及び鉄製品を除く。

 

(ホ)輸 入 (百万ドル、出所:INE)

 2008年                                                   2009年

2

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月
3,261 3,114 3,511 3,360 3,627 3,812 3,638 3,997 4,744 4,508 4,344 3,681 2,834

 

(ヘ) 対内直接投資 (百万ドル、出所: ベネズエラ中央銀行(BCV))(※)  

2005年2006年           2007年               2008年

4th Q

1st Q

2nd Q

3rd Q

4th Q

1st Q

2nd Q

3rd Q

4th Q

1st Q

2nd Q

3rd Q

4th Q
664 -1,431 566 -203 478 111 -795 949 381 639 1,391 -33 -282

 (※)国内収支ベース

(2)金 融

(イ)通貨供給量 (M2、 百万ボリーバル、出所:BCV)  

2008年                           

2月 3月 4月 5月 6月

7

8月
151,250 151,423 155,664 157,405 161,134 165,687 166,267

                                                   2009年 

9月 10月 11月 12月 1月 2月
171,117 178,533 190,085 194,274 193,288 194,833

 

(ロ)金利 (6大商業銀行平均金利、出所:BCV)

( i ) 貸出金利 (年間、年率%)   

2008年                                      2009年    

2月

3

4

5

6

7

8月 9月 10月 11月 12月 1月

2

22.68

22.44

22.64

22.98

22.38

23.47

22.83 22.31 22.62 23.18 21.67 23.00

22.89

   

( ii )預金金利 (90日、年率%)  

2008年                                      2009年

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

12.44

14.00

14.22

17.17

17.79

17.13

17.35 17.05 15.00 17.29 17.63 17.29 17.06

 

(ハ)カントリー・リスク指数 (bp, 出所:BCV)(※)  

 2008年                                     2009年

2月

3月

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
514 654 615 585 589 642 624 912 1,416 1,457 1,870 1,729 1,446

(※)ベネズエラ政府の発行する外貨建て国債と米国債との利回り格差を標示。カントリー・リスク改善により格差が縮小すると解釈されている。1bp=0.01%

(3)中央政府財政 (億ボリーバル、出所:財務省(MF)、BCV)

(イ)一般歳入  

 2007年    2008年

11月

12月

1月

2

3月

4月

5月

6月 7月 8月 9月 10月 11月
134.0 289.0 90.0 72.5 115.9 122.36 89.75 132.08 133.31 161.88 130.83 130.17 69.25

  

(ロ)一般歳出  

 2007年   2008年

11月

12月

1月

2

3月

4月

5月

6月 7月 8月

9月

10月

11

162.0 138.0 98.0 107.5 126.73 160.04 135.88 145.01 175.48 125.69 137.91 129.58 192.63

   

(ハ)一般財政収支  

 2007年    2008年

11月

12月

1月

2

3月

4月

5月

6月 7月 8月

9月

10月

11
-28.0 151.0 -8.0 -35.0 -10.83 -37.68 -46.13 -12.93 -42.17 36.19 -7.08 59.0 -123.38

(4)経済活動

(イ)物価

( i )消費者物価上昇率 (出所:BCV)(※)

2008年                                                                           2009年

3月

4月

5月

6月

7月

8月 9月 10月 11月 12月 1月

2

3

1.7

1.7

3.2

2.4

1.9

1.8 2.0 2.4 2.3 2.6 2.3

1.3

1.2

(※)2007年までは1997年基準、2008年以降は2007年基準、全国指数

  

(ii)卸売り物価上昇率 (出所:BCV) (※)

2008年                                                                           2009年

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月 10月 11月 12月 1月

2

3

1.8 1.7 1.8 1.5 1.4 1.7 3.6 3.2 3.4 3.7 2.3 0.2 1.3

(※)2007年までは1997年基準、2008年以降は2007年基準、全国指数

 

(ロ)標準食品バスケット価格 (ボリーバル、出所:INE)(※)

2008年

2月

3月

4月

5月

6月 7月 8月
682.46 703.00 713.00 742.28 761.80 781.78 802.50

                                                                         2009年   

9月 10月 11月 12月

1月

2月

820.96 838.75 866.08 895.06 916.23 918.02

(※)ベネズエラにおける典型的な家庭(5人家族)の1ヶ月の栄養摂取必要量に応じた食品バスケット価格である。

 

(ハ)失業率 (%、出所:INE)

2008年                                                                             2009年

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
7.6 7.6 7.9 7.0 7.6 7.2 7.1 7.2 6.7 6.1 6.1 9.5 7.4

 

(ニ)インフォーマル・セクター就業者比率 (対全就業者比、%、出所:労働省)(※) 

2007年 2008年

12月

1月

2月

3月

4月

5

6月

7月

8月 9月 10月 11月 12月
43.8 42.2 43.7 44.4 44.6 43.7 42.8 42.5 43.2 43.2 44.1 42.9 43.7

(※)インフォーマル・セクター就業者は、(i)大学卒業資格に応じた職業に従事していない自営業者、(ii)構成員4名以下の企業の経営者及び労働者、又は、(iii)家内労働者のうち何れかに該当する者である。

 

(ホ)民間製造業生産指数 (生産量: 1997年=100、出所:BCV)

2007年2008年

12月

1月

2月

3月

4

5月 6月 7月

8月

9月 10月 11月 12月

99.32

101.25

123.4

117.98

130.44

130.00 129.38 136.22 130.84 132.07 140.73 130.94 104.29

    

(へ)小売販売量指数 (販売量: 1997年=100、出所:BCV)

 

 2007年2008年

12

1月

2

3月

4

5月 6月 7月 8月 9月 10月

11

12月

363.28 234.44 233.71 250.04 247.72 262.65 246.38 254.74 259.89 261.24 258.59 290.31 388.81

   

( ト)電力消費量 (千Gwh、出所:電力網システム操業室(OPSIS)) 

2008年                                        2009年

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月 8月 9月 10月 11月 12月

1月

9.3 8.8 9.41 9.72 10.2 9.91 10.17 10.29 10.0 10.23 9.91 9.75 9.83

 

( チ)鉄鉱石生産量 (千トン、出所:CVGフェロミネラ・デル・オリノコ) 

2007年                              2008年

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

1,772 1,881 1,775 1,204 1,208 1,687 1,584 1,235 1,344 1,460 1,494 1,372 1,445

 

( リ)アルミニウム生産量 (千トン、出所: Alcasa、Venalum) 

(i)アルミニウム生産量

2007年                  2008年

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月 5月 6月 7月
52.8 51.7 47.8 53.8 50.2 53.1 52.1 49.1 52.6 51.0 52.7 50.5 51.2

 

(ii)アルミニウム輸出量

2007年                   2008年

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月 5月 6月 7月
36.8 48.6 29.9 25.1 44.1 11.8 32.9 25.4 18.9 13.9 11.5 26.3 34.5

 

(iii)アルミニウム国内消費量

2007年                  2008年

7月

8

9

10月

11月

12月

1月

2月

3

4月 5月 6月 7月
18.3 21.9 20.6 24.6 22.7 27.7 28.3 31.4 25.7 26.9 22.9 24.9 28.7

 

(ヌ)自動車販売高 (台、出所:ベネズエラ自動車工業会(CAVENEZ)) 

2008年                                   2009年

3月

4月

5月

6月

7月

8月 9月 10月 11月 12月

1月

2

3月

23,705 29,137 24,118 21,427 21,309 18,416 18,393 22,874 16,789 19,247 15,916 15,187 18,161

 

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