平成20年5月8日
鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザについて
鳥インフルエンザの最近の状況についてお知らせします。
まず、広域感染情報をお知らせします。次にベネズエラ政府の鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザの対応状況について関係省庁に問い合わせたところ、保健衛生省より以下3.の回答を得ましたので、お知らせします。
1.最近の流行状況
2003年11月以来、東南アジア、中央アジア、欧州などの広い地域において高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が発生しています。現在も引き続き、世界各地でトリへの感染やトリからヒトへの感染が確認されていますので、御注意ください。
(1)ヒトへのH5N1型鳥インフルエンザ感染状況
世界保健機関(WHO)によると、2008年4月8日以降、エジプト(ブハイラ県、カイロ県及びシャルキーヤ県)において3人が感染(2人が死亡)したことが確認されています。また、2007年12月に確認されたパキスタン(ペシャワル)における家族内感染事例について、新たに2人が感染していたことが確認され、家族内に限定されたヒト−ヒト感染であったと考えられる旨発表されました。なお、韓国保健福祉家族部の4月22日の発表によれば、トリからヒトヘの感染疑いについて現地紙の報道がありましたが、現時点では調査中であり、結果が判明するまでには、1〜3週間かかるとのことです。
2003年以降でヒトへの感染が確認されている国・地域は、以下のとおりです。
(2008年4月17日現在:出典 WHO)
インドネシア |
感染者数 132人(うち、107人死亡) |
ベトナム |
感染者数 106人(うち、52人死亡) |
エジプト |
感染者数
50人(うち、22人死亡) |
中 国 |
感染者数
30人(うち、20人死亡) |
タ イ |
感染者数
25人(うち、17人死亡) |
トルコ |
感染者数 12人(うち、
4人死亡) |
アゼルバイジャン |
感染者数 8人(うち、 5人死亡) |
カンボジア |
感染者数 7人(うち、 7人死亡) |
イラク |
感染者数 3人(うち、 2人死亡) |
ラオス |
感染者数 2人(うち、 2人死亡) |
パキスタン |
感染者数 3人(うち、 1人死亡) |
ナイジェリア |
感染者数 1人(うち、 1人死亡) |
ミャンマー |
感染者数 1人(うち、 0人死亡) |
ジブチ |
感染者数 1人(うち、 0人死亡) |
計14か国 |
感染者数 381人(うち、240人死亡) |
(2)トリへのH5N1型鳥インフルエンザ感染状況
国際獣疫事務局(OIE)によると、2008年4月以降、韓国、インド及びロシアにおいてトリへのH5N1型鳥インフルエンザの感染が確認されています。
現在までに、H5N1型鳥インフルエンザの発生が確認されている国・地域(61か国・地域)は以下のとおりです。
アジア(15): |
インド、インドネシア、カンボジア、タイ、韓国、中国、香港、日本、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス |
欧州(26): |
アゼルバイジャン、アルバニア、イタリア、ウクライナ、英国、オーストリア、カザフスタン、ギリシャ、グルジア、クロアチア、スイス、スウェーデン、スペイン、スロベニア、スロバキア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フランス、ブルガリア、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ルーマニア、ロシア |
中東(9): |
アフガニスタン、イスラエル、パレスチナ、イラク、イラン、クウェート、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン |
アフリカ(11): |
エジプト、ガーナ、カメルーン、コートジボワール、ジブチ、スーダン、トーゴ、ナイジェリア、ニジェール、ブルキナ・ファソ、ベナン |
2.感染地域でトリに接触した日本人が、発熱や咳症状を発症して帰国した事例(結果的にはH5N1型ウイルスに感染していなかった)も確認されていますので、鳥インフルエンザの発生国・地域では不用意にトリに近寄ったり触れたりせず、衛生管理にも十分注意してください。
また、帰国時に高熱、咳症状がみられる場合には検疫所の健康相談室にお申し出ください(帰宅後に同様の症状が現れた場合には、最寄りの保健所に相談し、感染地域に渡航していた旨をお知らせください。)。
その他、感染地域滞在の注意事項については、「海外渡航者のための鳥及び新型インフルエンザに関するQ&A」を御参照ください。
(http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/sars_qa.html)
3.ベネズエラの流行及び対策状況
(1)ベネズエラでは今まで鳥インフルエンザの発症は報告されていません。すなわち農業省によればH5N1型鳥イフルエンザウイルスの人間感染もトリ感染も報告されていません。
(2)死因不明の動物の死体は農業省の国立農業調査研究室に送られ、調査されます。
(3)感染症が死因として疑われる人間の死体については特定の公立の病院にて検査されます。保健衛生省では新型インフルエンザを早期発見できるように全国の病院に死体の扱いのプロトコールを作成して指導しています。
(4)H5N1型インフルエンザの感染が明らかになった時点で、保健衛生省により専門家の作成したプロトコールに基づき感染が疑われる患者及び感染危険性の高いと思われる者に対して治療薬としてOseltamivir(タミフル)が配られます。
(5)新型インフルエンザ発症した場合、その汚染区域については隔離手段が取られます。但し、交通を完全に遮断するのでなく、予防医学の観点から交通の制限をかけるに止まります。
(6)検疫については適宜実施します。
(7)新型インフルエンザ感染者に対して対応出来る病院を31カ所既に選別しています。但し鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザのみの特別な施設は現在ありません。パンデミックの際には保健衛生省が病院網を再整理して緊急事態に対応する事になります。
(8)Oseltamivir(タミフル)の備蓄を現在進めています。しかし、現状では市場で購入することは出来ません。Oseltamivir(タミフル)は保健衛生省の管理下にあります。パンデミックの際にもプロトコールに基づき同省により配られる事になります。
(9)ベネズエラで鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザについての情報についてさらに詳しく知りたい場合には保健衛生省のホームページ(http://www.mpps.gob.ve/)が利用できます。
4.各国・地域におけるヒトへの感染状況等の詳細については、以下を始めとする各在外公館のホームページを御参照ください。
在インドネシア日本国大使館:
http://www.id.emb-japan.go.jp/osh_bflu_idjky.html
在ベトナム日本国大使館:
http://www.vn.emb-japan.go.jp/html/jmedical_tori_influ.html
在エジプト日本国大使館:
http://www.eg.emb-japan.go.jp/j/consulate/birdflu/index.htm
在中国日本国大使館:
http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/birdflu_top_j.htm
在パキスタン日本国大使館:
http://www.pk.emb-japan.go.jp/
(問い合わせ先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2850
○外務省海外安全相談センター
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2902
○外務省海外安全ホームページ:
http://www.anzen.mofa.go.jp
○鳥インフルエンザに関する情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
○新型インフルエンザ対策関連情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
○海外渡航者のための感染症情報(厚生労働省検疫所)
http://www.forth.go.jp
○高病原性鳥インフルエンザ(国立感染症研究所感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/tori/index.html
○Avian influenza(世界保健機関(WHO))
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/
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