最近の犯罪発生状況
当国における主な犯罪発生認知状況は、日本との比較はもちろん、一般的に治安が悪 いと言われている中南米地域と比較しても非常に高い犯罪認知率となっています。
2005年中における重要犯罪の発生状況
(1)殺人事件(既遂)
当国における殺人事件の発生件数は近年急激に増加して、2003年中の殺人事件総認知件数は、過去最高を記録するとともに、統計史上初めて1万件を突破しました。2005年通年の認知件数は9,834件と対前年(2004年)比で115件の増加と、統計史上2003年に次いで多発した年となりました。
【参考】
年 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
2004年 |
2005年 |
件数 |
5,963件 |
8,022件 |
7,960件 |
9,570件 |
11,330件 |
9,719件 |
9,834件 |
※人口約2,500万人足らずの当国で1日平均27件の殺人事件(既遂)が発生していることになります。これは、他の中南米諸国と比べても類を見ない数字です。
なお、殺人事件について、当国と日本における2005年中(人口10万人当たり)の認知件数を比較した場合、当国は日本の約33.1倍の発生率で、カラカス首都区と東京を比較した場合は、カラカス首都区は東京の約87.8倍の発生率でした。
(2)強盗事件(含む自動車強盗)
2005年中の強盗事件総認知件数は54,856件で、昨年(2004年)と比べ6,033件減少しました。
強盗事件について、当国と日本における同年中(人口10万人当たり)の認知件数を比較した場合、当国は日本の約43.2倍の発生率であり、カラカス首都区と東京を比較した場合は、カラカス首都区は東京の約75.0倍の発生率でした。
(3)誘拐事件
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2005年中の略取誘拐事件発生件数は730件でしたが、その内、身代金目的誘拐事件発生件数は205件(対前年比24件減)と、統計史上3番目に多い発生件数となりました。なお、最近、東洋人及びイタリア系住民は身代金の払いが良いという噂が犯罪組織内に広まっているという情報もありますので、引き続き注意が必要です。
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短時間誘拐につきましては、394件発生し(過去最高を記録した2004年を2件上回りました。)、過去最高を更新しておりますので、今後も十分な注意が必要です。
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略取誘拐事件につき、当国と日本の同年中(人口10万人当たり)の認知件数を比較した場合、当国は日本の約13.5倍の発生率であり、カラカス首都区と東京を比較した場合は、カラカス首都区は東京の約14倍の発生率でした。
(4)侵入盗事件
2005年中の侵入盗犯は43,297件(対前年比−4,666件)で、相変わらず高水準で推移していますので、引き続き注意が必要です。
(5)他都市との比較
中南米の中でも特に治安が悪いとされている都市(ボゴタ、サンパウロ、リオデジャネイロ、メキシコシティー)とカラカスを比較(人口10万人あたりの認知件数)した結果は下記のとおりでした(未だ2005年の統計が集計されていない都市が大部分でしたので、下記は2004年の統計結果の比較です。)。
(a) カラカスとボゴタとの比較
比較対照とした主要犯罪(殺人、傷害、強盗、窃盗、誘拐、車両盗)については、全ての犯罪でカラカスはボゴタより発生率が高く、特に、殺人は約3.8倍、強盗は約135倍で、誘拐についても2.3倍発生しております。
(b) カラカスとサンパウロとの比較
傷害、強盗、窃盗、車両盗については、サンパウロの発生率がやや上回ったものの、治安のバロメーターとも言える殺人についてはカラカスはサンパウロの約3.2倍発生し、その他、誘拐(サンパウロの約14.7倍)、強姦(同約2.1倍)もカラカスの発生率が上回りました。
(c) カラカスとリオデジャネイロとの比較
傷害、強盗、窃盗については、リオデジャネイロの発生率が高かったものの、殺人(リオの約2倍)、誘拐(同44倍)、短時間誘拐(同1.4倍)、強姦(同2.7倍)、車両窃盗(同1.9倍)とカラカスの発生率が上回りました。
(d) カラカスとメキシコシティーとの比較
傷害、強盗については、メキシコシティーの発生率が高かったものの、殺人(メキシコシティーの4.9倍)、強姦(同1.5倍)とカラカスの発生率が上回りました。 |